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ビクトリア・ベッカムの「私の一週間」

2006-06-24 23:29:39
私の一週間
ヒューゴ・リフキンドによるビクトリア・ベッカムの日記
The Times 2006年6月10日
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-2218743.html


■月曜日
「なんだよこれはよぉ?」

夫がそう言いながら、両脇に子どもたちを抱えてキッチンにズカズカ入ってきた。彼はビッグゲームが迫ってくると、いつもひどく頭が混乱するみたい。

「やだー、子どもたちじゃない、忘れないでってゆーかー」と私。「ほら、あなたが子どもたちの名前を忘れないようにって、あなたの背中に彫ったじゃん?」。

「ってゆーか……」夫が子どもたちを床に降ろして、片方の腕(に書かれた文字を)読んで言う。「……ビクトリア、俺は子どもたちのこと聞いてんじゃねぇよ。あいつらが着てるもののことだし」。

私は飲みかけの青汁ローカロリーヨーグルトのグラスを置いた。「シャツよ。超カワな黄色のシャツ」。

「カワイイ黄色のブラジルのシャツじゃん」。「あんなの着せられねぇよ。イングランドのを着せろよ。俺ってばもう行かなきゃ。ドイツ行きの飛行機があと1時間で出ちゃうから。じゃあ週末にね。子どもたちが黄色のシャツ着てるのを誰にも見られるなよ、な?」。

何がいけないのか全然意味わかんない。デイビッドだっていつもスペインのシャツを着てるくせに。


■火曜日
朝、テオ・ウォルコット(訳注:大抜擢された17歳の新鋭選手)のガールフレンドのメラニーが電話してきた。あの子、とっても素直でかわいい。

「ったく!」とメラニー。「覚えなくちゃいけないことだらけ! あなた以外に誰にも聞けなくて。だって、人前で間違ったこととか言えないじゃない? えーと、チームは11人なのよね?」。

私はさっとくるぶしに入れたタトゥを確かめる。「そうよ、各チーム11人」。

「オッケー、で、ゲームは90分なのよね?」

私はさっと二の腕の内側をチェック。「そうよ」。

「ありがとう! ちゃんとメモっとくわ。じゃぁ、オフサイドっていうルール、あれってどういうこと?」

私は首をひねって右の肩越しに背中を見て……グキッ。

「あぁ、ごめん。それは教えてあげられないわ。首をおかしくしちゃったみたい。ナンシー(訳注:スヴェン・エリクソン監督のガールフレンド)に電話してみなさいよ」

「番号教えてくれる?」とメラニー。

「ちょっと待って。ここに……つま先に書いてあるから」


■水曜日
ホテルにいるデイビッドに電話をした。

「ベイビー、元気?」と彼。

私は大きなため息をついて言った。「大問題なの。私、パーソナルカラーを勉強しているんだけど」

「あぁ?」と夫。

「ブルックリン(訳注:長男)は、秋のパースニップ(訳注:根菜の一種)なのよ」と説明をしてあげる。「ロミオ(訳注:次男)は真冬のオイルって感じ。ねぇ、私の言ってる意味わかる?」。

デイビッドはわかってないみたいだから続ける。「つまりぃ、あの子たちにぃ、白は着せられないってことよ。赤もダメ(訳注:イングランドのユニフォームは白か赤)。無理に着せたら、チャクラの流れを妨げちゃうのよ!」

「ひとりはブラジルかスウェーデンのシャツなら着られるわ。もうひとりは、できれば、っていうかマジでスコットランドなの。嬉しくないニュースだってことくらいはわかっているのよダーリン、でも人生我慢しなくちゃいけないこともあるし」

「スコットランドはクオリファイもされてないんだぜ……」と夫が弱々しくつぶやいた。

「いいわ、じゃあフランスでもなんとかなるから。私だってしたくてやってるんじゃないのよ、ダーリン。でもひとつだけ言っていい? あなたもアルゼンチンのチームだったら、もっともっとカッコよく見えるんだけど」

デイビッドは、それだけはできないって言った。


■木曜日
鳥のつばと砂利のマクロビオティックのランチを食べ終わる頃、コリーン(訳注:ルーニーの婚約者)がケータイにかけてきた。

「あらダーリン」と私。コリーンのことは「ダーリン」って呼ぶことにしてる。私のほうが彼女よりハイソな育ちってことを忘れさせないようにね。

「ああよかった!」といつものマジヤバにハマってる風の声のコリーン。「あー電話つながって助かったわ。今、メラニーと話してたんだけど、あなたならオフサイドのルールを知ってるっていうから。悪いけど、私にも説明してくれない?」

「かわいいダーリン、」と私。「ナンシーに聞いてくれないかしら?」

「かわいいダーリン、ナンシーに聞けたらもう聞いてるわ。でも、ナンシーの話って、私ひとっことも理解できないの(訳注:ナンシーはイタリア人)。ねぇお願い!」

私は鏡の前で肩越しに振り返って、できるだけのことはした。「かわいいダーリン、天使ちゃん、」と私。「あなたも、私みたいにタトゥを入れるといいわよ。すぐ覚えられるから」。

コリーンはクスッと笑った。「ダーリン、天使ちゃん、かわいこちゃん、素敵な人、タトゥなんてあり得ないよ。もうフツーすぎるって感じだと思わない?」。

コリーンって、だい嫌い。


■金曜日
バーデン・バーデンの空港に迎えに来てくれたデイビッドは短パンにTシャツだった。

「やぁ……」と、腕の内側をチラっと見て夫。「……ビクトリア。なんでそんなにデカいコートを着てるわけ? マジ暑くねぇ?」。

私はウェイン・ルーニーがコリーンと抱き合っているのにガンを飛ばしつつ、「っていうか、今すごくファッショナブルなのよ」。「あなたの分も持ってきたの」。

原典/
My Week
Victoria Beckham according to Hugo Rifkind
The Times June 10, 2006
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-2218743.html

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