今から20年ほど前のこと、わたしは大阪市民大学という公開講座を受講しました。
講師には、猪瀬直樹、落合信彦、桐島洋子、木村治美、薬師寺の棟梁の西岡氏、その他名前を忘れてしまいましたが、美味しい精進料理を食べさせて下さる滋賀県の尼さん、認知症に詳しいお医者さん等がおられました。
全ての講義内容を覚えているわけでは有りませんが、今も鮮明に格講師の方々の姿や言葉が脳裏に焼き付いております。
得に印象深かったのは、
薬師寺の棟梁だった故
西岡常一さんです。
西岡氏によると、奈良時代に建てられた神社仏閣は、山一つそっくり使って建造されたとの事でした。
つまり、北に生えていた木は神社仏閣の正面玄関にあたる南側に、北の木は北側の建築に、東は東、西は西の木を使って建造されたという事です。
西岡氏曰く、木にはそれぞれ生え方のくせがあり、その木のくせを組み合わせる事によって、釘一本使わずに1500年以上も姿形を保てる頑丈な建造物を作る事ができたという事です。
従って南に生えていた木と、北に生えていた木を組み合わせると、自然とガッチリとからみあう。だから釘一本使用していないに関わらず、1500年もの間、姿形を保つ事ができた。よって現代建築のように、釘だらけでしかも35年程で建て替えなければならない。と現代建築を批判されていたのが印象的です。
奈良時代に建てられた建造物は、南の木は南側(正面)の建築に使樓ましたが、平安時代になると、この南側の木は北側に使われ、北側の木は南側に使われたそうです。
理由は、北で育った木は南で育った木よりも、木の節も少なく、見た目が美しいからだと。だから、南向きが正面として建てられた神社仏閣の正面玄関の概観が、より美しく見えるからだと言われていました。
しかし、木の癖を無視し、美しい見た目を追求する事によって、平安時代の建造物は奈良時代の建造物に比べ、弱くなったそうです。
だから奈良時代の神社仏閣の方が見た目も荒く力強く、剛健な建物なのだといわれていました。
20年前に聞いた言葉であるのに、今も鮮明にわたしの脳裏にある、西岡氏の言葉です。
私は京都も好きですが、どちらかと言えば奈良の方が好きです。華美なものは全くありませんが、あの力強さが好きです。なんとも言えない、いにしえの時を感じます。
見た目の美しさも大事ですが、本来の性質を大事にする事は、もっと大事なようです。
この事は人間にも当てはまるのでしょうか。
Joey
