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『千年の祈り』

2007-09-17 22:55:27
待っていました!
こんなふうに中国を表現してくれる若手作家の登場を・・・
中国人の現代作家イーユン・リーのデビュー作。



正直なところとても情報が少ないと思ってました。
現代の中国を本当に切り取ってくれている映画や小説のこと・・・
もっともっとあるはずなのにー。と。
悲しいかな新聞やニュースに流れる負の情報ばかりが
どんどん私たちに刷り込まれてしまって
どんなにインターネットでたやすくアクセスできても
理解しようと思わない限りその地で暮らす市井の人々の生の声は
なかなか届きにくいのが現状のように思えます。

そんな中、この作品は“今”を呼吸している中国の人々の
暮らしや苦悩や喜びをものすごく繊細にー
でも軽やかにすくい上げています。
短編集なのだけれど一遍一遍を読みながら映像が浮かぶ感じで、
なんだろう、油絵というより水彩画な感じ。
そうかあ・・イマドキの中国はこんな感じなのねぇと唸ったり
でもところどころに長い中国の歴史が感じられたり独特の
政治体制が見え隠れして、うむー、なるほどー。と
とっても勉強になったりします。
そして、中国ならではの悠久の歴史を感じさせる格言や
ことわざにからめたウィットある会話が秀逸。。

・・・・中国で『修百世可同舟』といいます。
誰かと同じ舟で川を渡るためには300年祈らなければならない。
(中略)互いが会って話すにはー長い年月の深い祈りが必ず
あったんです。ここにわたしたちがたどり着くためにです。

(「千年の祈り」より)

「不毛な愛だ。わかっているんです。」
「『人はできると思えばなんでもできる。』
と、毛首席も言っていますよ。

(「黄昏」より)

ひとつひとつの作品すべてが人生劇場なり。。
今年読んだ本の中でもかなり面白い!と思えた1冊

統計上のいろんな数字や経済成長率etc.
国の大きな枠組みを知るにはとても大事。
一方でそこに暮らす人たちが実際どんな日常を営んで
どんな思いや願いを抱えているのか?
そういう意味で映画や小説やアートは
その国の生の声を理解する手立てになるなあと思っています。

混沌や喜びや希望や悲しみや怒り・・・
その国の社会を写す鏡ですね。

さて・・・次はどの国に目を向けようかな・・



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