読みたいものだけ読む、私の読書きろく。

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大河の一滴 [2007年09月23日(日)]
この本を読んだきっかけは、妹が書道の練習に書いていたものを見たことです。

彼女が書いたのは、

「なにも期待しないという覚悟で生きる」

という一文でした。

その時の私はいろいろなことを手放せずに、得ることばかりを考えていました。
それに加えて健康上の悩みも抱えていたとき、
妹が「お姉ちゃん、これ持ってて」と小さな額にしてプレゼントしてくれました。

それをキッチンの良く見える場所に飾りました。
それを目にするたびに、気持ちがラクになり、ラクになった分だけふつふつとエネルギーが沸いてきました。

こんな素敵な文章の入った本を読みたいと、一気読みしてしまいました。
その後、ゆっくりゆっくり熟読しました。

さまざまな凶悪犯罪など、目を覆いたくなるような現代社会。
五木さんは戦争を体験して、すさまじい状況をくぐり抜けてきた方です。
それを武勇伝ではなく、むしろ謙虚に自分の体験の中から「人生は苦しみの連続なのだ」「人間は大河に向かって流れる一滴のしずくだ」としずかに語られている…。日本を代表する偉大な作家であるにもかかわらず、生きることへの謙虚さに感動しました。

私は思います。
全てがシステム化されて、感情をあらわにしないことが美しいこととされている世の中。
一時期「癒し」ブームがありましたが、生きている厳しさを謙虚に受け止め、その中でほんの少し心温まる出来事があったのなら、それこそが「癒し」なのではないかと。
「癒し」は求めることではなく、結果的にうまれてくるものだと。

自分の体の声に耳をすまして、生きていることに感謝したい。
この本を読んで、朝夕、足を洗うことが日課になりました。

「大河の一滴」
五木 寛之 著  幻冬舎
14歳の君へ [2007年08月30日(木)]
夏休みは読書月間!といいながら、ここでの更新はほとんどなく、自分にあきれてます。
あ、でも読んでますよ。
お盆を過ぎて夕方の秋風に吹かれながらの、ごろ寝読書。
隣で子供たちがDSしてることだけが、唯一悲しいことです。

この本は前から気になっていました。
精神年齢が低い私にとって「哲学」への入り口になるのではないか、と。

しかし、一度読んですんなり入っていけた場所が少なかった。
暑さでアタマも煮えきってしまったのか?

それでもちょっとずつ繰り返し読んでいったら、著者が何を言わんとしているのかが分かってきました。

「君は14歳の人間であり、自然であり、白黒とか善悪をつけるのではなく、全ての事柄に『不思議』の目を持ち続けていて欲しい」ということを。
それを「戦争」や「勉学」「個性」などのキーワードから自分で考えることを導き出してくれているのです。

じっくりこの本と向き合っていくと、全く理解できなかったものが、実は私が送る毎日の中で既に学んでしまったことなんかもあったことに気づきました。
人間関係、言葉など。それは努力して手に入れたものではなく、さまざまな人とのかかわりの中で(それは楽しいことばかりではなかったけれど)、勝手に私を形作ってきたものです。

14歳じゃなくても、このブログを読んでいるみなさん。
あなたはあなた以外の何者でもなく、あなたはそれ以上それ以下でもないのですよ。
「生きているだけで素晴しい」って簡単に言いがちだけど、結局そういうことなのではないかな。

「14歳の君へ」
池田 晶子 著 毎日新聞社
再婚生活 [2007年07月28日(土)]
暑さから逃れるべく、図書館へ。
実を言うと、夏休みの図書館は人が多く苦手なのですが、やっぱり本に囲まれていると落ち着くな〜。

このところ、エッセイばかり読んでいる。
数日前に江國さんの甘い結婚生活のエッセイを読んだばかりだというのに。

「再婚生活」は、文字通り、山本文緒さんの「再婚してから」のお話し。
しばらく本を出されていないなーと思っていたら、文緒さんが病気療養をしていたとは!
しかも入院を2回なんて。。。

最近「うつ」に関するテレビ番組、雑誌の特集などが多い気がする。
気がするだけで、もともとあったのかも。

「うつは心の風邪」とか言われていたこともあったけれど、「風邪なんかじゃない!」とこの本を読んで思いました。
文緒さんは自分の状態をうまく表現できるけれど、実際にかかった人は、うまく処理しきれないジレンマに悩むかもしれません。

何より、文緒さんのダンナさま(余談:本ではダンナさまは「北関東」に住んでいて別居婚と書かれてあるけど、つくばだというのをどこかで見たことがある。もし本当ならちょっとうれしい)の優しさにびっくりした。それからアシスタントのマシマロさんの、文緒さんへの接し方。
長く病気をされていた文緒さんは大変だったと思うけれど、周りのサポートが何よりも大切なのだと思いました。

生きていれば。
生きていれば何とかなる。

文緒さんのありのままの、日々から多くのことを学びました。
そんなに期待しなくてもいいんじゃないかな、自分にも、他人にも、世の中にも。
そう考えると、やる気のない時でも、思い通りにいかないときでも、まるごと受け入れられそうな気がします。


「再婚生活」
山本 文緒・著  角川書店

いくつもの週末 [2007年07月22日(日)]
結婚直前に、既婚者の友達から、
「私はダンナとどんなにケンカしていても、出勤前には笑顔で見送るようにしてるんだ」
という話を聞いたことを思い出した。

もし、通勤途中に事故で死んだりしたら、「いってらっしゃい」は最後の姿になってしまうから、だそうだ。

すごい哲学だ、と思う。

その人その人なりの結婚観があり、理想があり、妥協があり。
そうやって、「他人」だった人と暮らしていく。
それが、結婚なんだなーと。
私にとっての「結婚へのこだわり」は、
お互いそれぞれの趣味(世界)を持つこと。
それを相手にも強要しないこと。

「いくつもの週末」は江國さんの結婚してからの「恋愛エッセイ」。
「冷静と情熱のあいだ」で、バスルームの場面から物語が始まっていたけれど、江國さん自身が非日常のような、ゆるりとした世界の中で生きているのだと納得した。

それにしても、(顔は分からないけど)、江國さんのご主人はうちのダンナに似てる。
「桜を見に行こう」と言って、ドライブに連れていってくれたり、お正月をそれぞれの実家で過ごす、なんてことはないけれど。

家に帰ると「オフモード」に完全に切り替わってしまうところとか。
限りなく私を甘やかしているところとか。

似ている、というより。
結婚するとみんな同じような傾向になってしまうのか・・・?

結婚が「空気のような」ものになっても、どうせなら「高原の澄み切った」質の高い空気でありたいです。


「いくつもの週末」
江國 香織・著  集英社文庫





箸の上げ下ろし [2007年05月18日(金)]
日常のこだわりを考えた時、「衣食住」の中でもっとも個々のこだわりが違うのは、「食」ではないでしょうか。
こだわりがあるから人との会話の中で当たり障りなく、かつ一番盛り上がります。
とても便利なジャンルだったりします。

子供の頃に食べたもの。給食、風邪の日のお粥。あこがれの果物。
自分の家庭での妙な掟。家の台所にあるもの。
初めてのデートで食べたものから、その時の思い出がよみがえってきたりするかも知れない。

この本には、さまざまな切り口で酒井さんの「食生活」が描かれている。
主に4つのジャンル?に分かれていてそれぞれに興味深い。
私が特におもしろかったのが「郷愁いろいろ」。
酒井さんにとって「お弁当」とは「食べるもの」。
主婦である私にとっては、どちらかと言えば食べるものというよりは「作るもの」だ。
かわいい弁当箱を見つけ、買おうとした時に、自分で作った弁当を自分で食べる図を思い描き、しらけてしまうというエピソードなど。
同じお弁当でも見ている角度が違えば、思いも変わってくる。
だれもが一度は食べている「手作り弁当」。それを「無責任時代の象徴」とばっさり言い切ってしまうのは気持ちが良い。

お弁当以外にも、たくさんのシーンのたくさんの食にまつわるエピソードが満載です。
「あるあるある〜!」というものから、「へぇー、そうなんだ」といものまで、酒井さんの「一見小心者」風なのに、キレのある文章をお腹いっぱい堪能できるコラム集です。

「箸の上げ下ろし」
酒井 順子・著  NHK出版
そして私は一人になった [2007年01月10日(水)]
肉体的な疲労ではなく、ココロの芯がどわーっと疲れてしまう夜がある。
眠たいのに、疲れすぎて眠れない。
そんな時、布団に包まりながらこの本のページをめくる。

本書は山本さんの離婚してからの生活が日記形式で綴られている。
今でこそ「ブログ」でみんなが日記を公開しているが、
この本が出た当時、他人の「普段着の私生活」というものは気が抜けるほどおもしろく感じた。

病気になってふらふらになった上、ぎっくり腰になり、通りかかった人に助けてもらい病院へ行ったこと。
引っ越し先でまず、美味しい蕎麦屋を見つけることが楽しみであること。
不安定さ、自由さの両面を感じながらのフリーの作家生活。

「うらやましい」というのともちょっと違う。
だけど、一人でいること=自分と向き合うことって大切だと思う。
山本さんはこの当時だって「決して一人」ではない。
実家の家族はいるし、友達だっている。
だからこそ「一人になった」というタイトルの意味というのは深い。

現在山本さんは再婚されて、公式のホームページではこの本の続編のような日々が綴られている。
もちろん「一人」ではないけれど。
最近小説を書かれていないのは寂しいけれど、ご活躍を期待せずにはいられません。


「そして私は一人になった」
山本文緒・著 KKベストセラーズ



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