昼も夜も芝居づけ

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五反田団『生きてるものはいないのか』こまばアゴラ劇場 [2007年11月07日(水)]
五反田団、ってなんか気になる名前ですよね。
主宰で作演出の前田司郎さんが、五反田出身とのことでこの名前なんだそうです。
数年前に「おもしろいよー」という話を聞き、そこからすっかりあのにゅる〜い前田ワールドにはまってしまっております。

ちなみに、前田司郎さんは現在作家としても活躍しており、『恋愛の解体と北区の滅亡』で三島由紀夫賞候補に、『グレート生活アドベンチャー』で芥川賞候補にノミネートされたりしております。
劇作家としても『キャベツの類』や『さようなら僕の小さな名声』で、岸田國士戯曲賞候補になったりしています。
残念なのは、どれもノミネート止まりなんですよね。
でも、もはや賞に最も近いところにいる、といっても過言じゃないと思っています。

そんな五反田団の新作は、とにかく人が次々と死んでいく物語。
まあ、タイトルが「生きてるものはいないのか」ですからね。

喫茶店で結婚を約束した恋人と、男の子供を妊娠した女に挟まれている男。
2人から今後の進退を問われるが、男はのらりくらりと返答するのみでどこか真剣味に欠ける。
一方、大学のキャンパスでは、都市伝説研究会に所属する女や、友人の結婚式の余興で披露するダンスを練習する面々らがいる。
そんななか、突如、都市研究会の女は咳込んだかと思うと苦しみ出し、突然死を遂げる。
その後、原因不明のまま人が次々と死んでゆく。

他人の話をまったく聞かずに自分の興味のある話題だけをしてゆく女、オチがない話題をだらだらと続ける男。
噛み合っていないのにも関わらず、誰もがそこに気を止めることも無くだらだらと続いていく大学生たちの会話のリアルさに感心。
いやー、うまいす。何気ない光景というか、「あるある」と思わず膝を打ってしまうような光景。傍から見ると滑稽すぎて苦笑い。

原因不明のままにバタバタと人が死んでいくなか、死の恐怖におびえる人々。
そんななか、病院に入院中の死を身近に感じていた少女はひとり冷静に眺めている。
周りのみんなが元気なのに、なぜ自分は死ぬ運命にあるのか。ずっとそんな疑問も自問自答し続けていた彼女にとっては、周りが死んでいく現実では、死の恐怖がなくなっているのかもしれない。

舞台の上に、次々と死体の山が築き上げられていく。
いってみれば、ものすごくシュールな光景であるにも関わらず、観客であれう我々は、死を目前にした断末魔の叫びに思わず笑ってしまったりする。
実際、こんな光景を目にしたならば、どんなにそれが滑稽であっても、笑うことは許されないだろうし、笑えないハズ。でも笑ってしまうのは、彼らが演劇の世界で死ぬ、ということが我々にはわかっているからだ。
これも、演劇的な嘘を逆手にとった演出なのかもしれない。

前田さんの作品は、どこまで意図的なのかわからない、だらだらとしたゆるさがある。
それゆえに逆に、すべてがすべて意図的に考えられたことなのかも、と思ったりもする。
真相はどうなのか、本当のところは前田さんに伺ってみないことにはわからない。
でも、そうやっていろんな方向から解釈できる作品という意味で、非常に演劇的でもあると思う。

なんだか、何気ない会話に笑ったり、笑った自分を振り返って怖くなったり。
いろんなことを考えることができる作品でした。いや、よかったー。
チケット代が2000円とお安く設定しているので、興味がある方は映画1本分と思ってぜひ劇場へ。
なかなかに刺激的な体験です。

公演は、11月12日(月)まで、こまばアゴラ劇場。
HP:http://www.uranus.dti.ne.jp/〜gotannda/
こちらから、チケットの予約が可能だったりします(当日券もあり)
Posted at 22:07 | 小劇場系 | この記事のURL
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プロフィール
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望月リサ。ライター。女性誌やWebサイトでインタビューやカルチャー関連の記事を担当。締め切り間際でも観たい舞台は絶対にハズさないステージフリーク! 「ライブじゃなきゃ味わえないこと、いっぱいあります。ハマるとこんなにすばらしいものはないです。劇場にもっともっと足を運びましょっ。」
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