昼も夜も芝居づけ

2007年09月
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イキウメ『散歩する侵略者』青山円形劇場 [2007年09月16日(日)]
イキウメは、いま若手で注目を集める劇作家のひとり、前川知大さんが作演出する劇団です。
ここ数年、あちこちから面白いよ、との評判を聞き観に行ってみて大正解!
なかなかに、想像力を刺激するおもしろい作品でした。

夏祭りの夜から姿を消していた男・加瀬真治(安井順平)が3日後に保護されるが、性格が一変していた。
医者から脳の障害だと告げられた妻・鳴海(岩本幸子)は、別人のようになった夫に戸惑いながら、少しずつ心を開いていく。
じつは2人の関係は、真治の失踪前にすでに破綻していたのだった。
再び一緒に暮らし始めた2人は、新しい関係性を築けるようになっていた。
そんななか、鳴海の妹・明日美(前田晶子)が、姉妹という関係性の概念を失ってしまう病気にかかる。
そして、街には同じような症状を持つ患者が増え始め……。

設定といい展開といい、SFホラーの要素が満載。でも、間違いなくこれは愛の物語でした。
最初に「宇宙人」とか「UFO」なんて言葉がセリフの中に登場したときには、正直、引き気味だったのですが、じつはそれすらも計算されているという、非常に手の込んだ戯曲。

ネタバレしてしまうと、真治は地球で言うところの宇宙人で、真治の身体の中に入り込み、地球人の概念を収集しているという。
収集された人はその概念を失ってしまい、それが原因となって性格が一変したり、信念がねじ曲げられたりしてしまっていたのだ。
鳴海は、朧げながらに真治のその正体に気づき始め、一方でそんな真治に惹かれるようになっていった。
そしてまた、真治以外に2人の宇宙人がいることがわかる。
収集の任務が完了したら、地球から去ってしまうことを知った鳴海は……。

すごい。何がすごいって、この「概念が奪われる」という設定が。
そして、ある概念が失われた時どうなるのか、という展開が。
妹の明日美は姉妹という概念を、医者の車田(宇井タカシ)は自己と他者の概念を、右派だった青年は「所有」という概念を失う。
観ながら考えたのは、上記に挙げた概念を失ったとき、自分はどうなるのだろうということ。
普段、何気なく感じている物事、感情、それを概念という言葉に置きかえ、具体的なモノとして舞台で見せる。
この見えないモノを見せるテクニックにただただ感心。
戯曲はもちろんですが、役者も上手いな、と。自分だったら、どう演じていいのか皆目見当がつきませんので。

終盤の真治と鳴海が心を通わせるシーン。
いやあ、泣かせる。といっても、私は泣いてはいないんだけれど、かなりグッとこみ上げるものがありました。
ここまでまったく愛について語らずに、これだけ愛の深さを訴える舞台って、これまでにあったかな、と思ったら、前川さんのセンスに脱帽です。
ある意味、お芝居というよりは上質なSFミステリーを読んでいる雰囲気。
いやー、いい芝居というか、おもしろい作品でした。

現在上演中。9月16日(日)まで、青山円形劇場にて上演。
9月29日(土)・30日(日)は大阪・HEP HALLにて上演。
イキウメのHP:http://www.ikiume.jp/
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プロフィール
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望月リサ。ライター。女性誌やWebサイトでインタビューやカルチャー関連の記事を担当。締め切り間際でも観たい舞台は絶対にハズさないステージフリーク! 「ライブじゃなきゃ味わえないこと、いっぱいあります。ハマるとこんなにすばらしいものはないです。劇場にもっともっと足を運びましょっ。」
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