ドラゴンの背に乗って楽しみました! [2008年10月27日(月)]
|
私には近所に数名の楽しい読書仲間がいます。
これは、“ブック・クラブ”という本好きのメンバーが集うグループでのことです。通常、ブック・クラブは、4〜10名くらいの少人数のメンバーが月一回集まり、本の批評をしたり、お互いの読んだ本の討論をしたりします。私は、これまでも各地のブック・クラブでお世話になりました。 米国などの先進国では、全員が同じ本を読み、ブック・クラブの討論に臨むのが一般的かもしれません。が、ここ南アフリカでは、本の値段があまりにも高いので、全員が同じ本を同時に読むことはありません。 私の所属しているブック・クラブは、総勢7名です。全員が女性で、最も若いメンバーは30歳くらい。私は最年長の一人です。この7人が持ち回りで、いわゆる巡回図書館のような役割をするのです。その月の担当者は、メンバーからの会費を集めて、自分の好きな書籍を購入します。 いま、私たちのブック・クラブの会費は70ランドです。このところの急激な為替相場の変動で、ランドの価値が急降下してしまいましたが、ついこの前までこの70ランドは日本円にすると1000円くらいの価値がありました。が、10月27日のレートでは、これがなんと580円くらいにまで大暴落してしまいました。これでは南アの本の価格も上がるでしょうね。 さて、7名のメンバーから集めたお金で、だいたいペーパーバックであれば、今まで、3〜4冊くらいの本が調達できました。約半年に一回まわってくる自分の順番に思いっきり好きな本を買える、という趣向です。全員がその本を読み終えたら、その後は自分の家に持って帰ります。 ブック・クラブに所属していると、自分では絶対に買おうとしなかった本などに遭遇することができるのが醍醐味です。 そして、月一回のミーティングには、その月担当のメンバーが軽食を出すのもクラブのお約束のひとつです。メンバーの中には、ケーキを作るのが上手な人も多くて、お菓子の誘惑にもフラフラしてしまいます。 もちろん!私の担当の月は、メンバーに巻きずしを期待されています。 さて、そんなメンバーの一人(もっと正確に言うと、彼女の14歳の息子)に紹介されたのが、クリストファー・パオリーニという若干25歳の米国の作家です。彼は『インヘリタンス・サークル』という4部作からなるファンタジーを書き進めています。 実は、2008年9月20日にこの『インヘリタンス・サークル』の三番目の本が世界同時に発売となりました。 私はその日、ちょうど仕事が入っていて、夜まで本屋さんに行くことができませんでした。でも、私は彼の大大大ファンで、この日を本当に楽しみにしていたのです。そこで、仕事が終わってから大急ぎで書店に向かい、たっぷり750ページからなる第三作目の『ブリシンガー』をドキドキしならが手にしました。 ![]() そして、嬉しいことに、このシリーズはこの巻が最終巻となる予定だったのですが、著者の構想があまりにも広がり、第四巻に物語の最終的な展開を託すことになったのです。私は先週末この第三巻を読み終わり、いまからこの第四巻が待ちどおしくてなりません。 この本は実は映画にもなっています。が、以前のこの欄でも書かせていただきましたが、映画はまったくの失敗作だと思います。同じ名前を使って欲しくないくらい原作を破壊していました。 『エラゴン』、というのは、このシリーズの第一作で、主人公エラゴンを中心に物語が進みます。エラゴンは自分の両親のことはあまり知らされずに叔父一家に育てられました。自分がこの世に残された最後のドラゴン・ライダーであることも知らずに。 ![]() そうなのです。この『インヘリタンス・サイクル』は、ドラゴンとそのドラゴンの背に乗ることを許されたドラゴン・ライダーの物語です。 皆さんはこういったファンタジーは苦手でしょうか。実は前述のブック・クラブでも大方はこういったファンタジーを嫌って読みません。「ファンタジーは苦手」とも言うのです。 私はそれが不思議でなりません。私にとって、読書とは、私を未知の世界に運んでくれる翼です。固い本も読みますが、ファンタジーも大好きです。かの『ハリー・ポッター』シリーズも私は何回も読み返したほど。このブログにも『ハリー・ポッターと死の秘宝』について書いています。私は、ハリーポッタの新しい巻が出る直前には、第一巻から物語を読みなおし、自分の記憶を新しくして最新刊を待ちました。 私がこの『インヘリタンス・サイクル』に惹かれる理由は、このドラゴン・ライダーのエラゴンの不器用なまでの素朴さ、かも知れません。彼は、彼のドラゴン、サフィーラと悪の権化のような魔法使いガルバトーリックスと戦うために、いろいろな試練を乗り越えていくのです。その彼とサフィーラを取り巻く他の登場人物もそれぞれのバックグランドがユニークに描かれていて見事です。ドラゴン・ライダーとドラゴンの結びつきの深さは溜息がでるほどです。自分以外の存在にこれほど自分を理解してもらい、なおかつ絶対的な信頼を得ていたら、どんなに素晴らしいことだろう、とうっとりします。 私はパオリーニの言語に関する知識や言語そのものに対する態度にも多いに共感しています。彼は物語の中で、現代社会の私たちがつい忘れがちになる、“言葉の持つ意味”や“言葉に伴う責任”といったものを随所に、そして丁寧に書き込んでいます。 登場人物たちは魔法も操るのですが、その魔法も「古代言語」によって継承されています。また、この古代言語で誓いを立てると、その誓いは破ることができません。 しかし!それにしてもこのクリストファー・パオリーニ、ものすごい才能の持ち主です。そもそも彼が第一作の『エラゴン』を最初に書いたのが、彼が15歳の時だった、ということに驚愕します。その後1年をかけて校正し、両親にその作品を見せました。 さて、彼の両親。彼らもまたすごいのです。実は、クリストファーは学校に一回も行ったことがありません。彼は“ホーム・スクーラー”として、両親の元、自宅で勉強をしていたのです。15歳で普通の高校卒業に匹敵するすべての課程を修了しています。 このホームスクールに関してはまた別の機会に詳しく書かせていただこうと思っていますが、これは“学校”という枠を超えて子どもの学びを支える動きです。私は子どもの学びに対して、常に「柔軟でいたい」と思っていますので、このパオリーニ一家のことは大変注目しています。 さて、『エラゴン』の原稿を読んだ彼の両親はそれを自費出版することに決めました。そして、2001年、自費出版の『エラゴン』が誕生しました。その自費出版本がめぐりめぐってランダムハウス系例の子どもの本の出版社Knopfの編集部に届き、2003年8月Knopfから、『エラゴン』が商業ベースの書籍として出版されたのです。 その後、シリーズの二作目『エルディスト』が2005年8月に出版されました。その後彼は全米、欧州などで講演会を行い、熱狂的なファンに支持されています。 ![]() ファンタジーは苦手、と思っている方、一回だまされた、と思って、この『インヘリタンス・サイクル』読んでみてください。その広大なスケールは、J.K. Rowling の『ハリ―・ポッター』を上回る、と私は思っています!日本語にも最初の二冊は翻訳されています。 そして、現在、たったの25歳の著者クリストファー・パオリーニ。これから彼がどんな物語を創造していくか、とっても楽しみです。私はひそかに、彼の成長を見守る“パトロン”になった気でいるのです。 |













