吉村峰子のアフリカに遊びにおいで!

2007年09月
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圧力鍋 [2007年09月05日(水)]
 
私の台所には長く使い込んだ圧力鍋がある。

アメリカから帰国して、日本に帰り、就職したときに買ったものなので、かれこれ25年も使っている。この圧力鍋、日本とアフリカを往復する私にしっかり寄り添って、いろいろな国のいろいろな台所で活躍してきた。

長野県駒ヶ根市は中央アルプスの麓の田んぼの町。ここで協力隊の派遣前訓練の英語講師として働いていたころには、もっぱら玄米を炊くことに使っていた。日本の玄米の美味しさをじっくりと味わう幸せを思い出すと、いまでもうっとりする。

西アフリカのリベリア、モンロビアの台所は常時30度を越える暑さ。一年を通して高湿度、高温度の中、じっくり煮込み料理などしていたらこちらが茹で上がってしまう。家の他の部屋には冷房が効いていたけれど、キッチンはもちろん冷房なし。そんな場所での圧力なべは、煮込みを短時間で仕上がることができて大層重宝した。

エチオピアの首都、アディスアベバの台所は何と標高2400メートル。こんな高地はお湯の沸点がとっても低い。そうすると、お米も低い温度でしか炊けないため、炊飯器ではどうしても美味しくお米が炊けない。そこで、大活躍したのがこの圧力鍋。圧力なべは標高で沸点が左右されないらしい。

「……らしい」、というのは、実は、何回もこのことに関し、“科学的説明”を受けているのだが、いまいち、私の理解が追いつかないため詳しい説明ができない。ごめんなさい。

でも、こういう標高の高いところでも炊飯器やおなべでお米を炊けないわけではない。炊飯器で炊いたからといって、お米に芯が残るのではない。芯が残るのではなく、ふわふわとした正体のないお米ができあがるのだ。私はこれが駄目だった。でも、日本人のご婦人の中には、「芯があるわけじゃないから、炊飯器で炊くわ」という人もいた。このころのお米は、デンマークから通信販売で米国産の日本米を輸入していた。

さて、東京での、子どものいる働くお母さん時代。もう、これは文句なしに、煮込み料理の時間短縮に大活躍。カレー、シチュー、ミートソース。帰宅してから料理を並べるまでの勝負時間は毎日約40分。さまざまな器具を駆使して、野菜のたっぷり入ったこれらの煮込み料理を圧力鍋と共同作業していた。

南部アフリカ・マラウィの気候も爽やかな首都、リロングウェの台所。リロングェで嬉しかったのは、現地産の美味しいお米が入手できたこと。ただ、マラウィ米は、きっぱりとした短粒種の日本米ではなくて、長粒種の手前一歩、というようなもの。だが、これを圧力なべで炊くと、フンワリ、そしてしっとりねっとりとした「正しい日本のご飯」という風情のご飯が炊けるのであった。

そして、ここ南アフリカ・ダーバン。南アのお米は“パー・ボイルド”という工場で予め一回ゆでられてから流通に乗るというトンでもないお米。どうやらこの工程、虫の被害を防ぐために有効らしいが、お米本来の味はもう銀河系の彼方に飛んでいってしまっている。

炭水化物が大好きな私は、そんなお米では満足できない。そこで、見つけてきたのが、中国人の経営するアジア食材店。ここでオーストラリア産の短粒米が入手できるのだ。これを、もちろん、私の圧力鍋で炊くと、ふっくらねっとり、しっとりの美味しい日本のご飯となる。ちなみにこのオーストラリア米、25キロで160ランド(約2800円、10キロ当たり1120円)という値段がありがたい。

最後に圧力なべでのお米の炊き方を。これは、ガス代も節約できるし、時間が短いのが何よりも嬉しい。ぜひ、お試しあれ。

@お米は普通に磨いで、ザルにあげる。
A圧力なべにお米と同量か一割増しの水を入れて強火にかける。浸し時間の必要なし。
B圧力なべの重しが動き始めたら、弱火にして5分加熱し火を止める。
Cあとは15分ほど蒸らしてできあがり。



プロフィール
Profile
吉村峰子
(日本語/英語教師・ライター・通訳)
東京都生まれ。1980年頃より日本語・英語教育に関わる。教えた国は、日本、米国、デンマーク、ドイツ、リべりア、エチオピア、マラウィ、南アフリカなど。1986年頃より、アフリカと日本を交互に生活した後、2003年、南アフリカ・ダーバンに家族とともに移住。現在はダーバンで日本語・英語教育、執筆業、通訳業で大忙しの毎日を送る。
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