日本の子どもたちに伝えたかったこと [2008年01月15日(火)]
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今回の帰国時にお話をする機会があったうち、ふたつが高校生と幼い子どもたちへ向けてのものでした。
「エイズの話を高校生や幼い子どもたちに?」 と、不思議に思われるでしょうか。 私にとってエイズの話を子どもたちにすることは、不思議なことでも、“早すぎる”トピックでもありません。幼い子どもたちや高校生たちが、私の話す内容を彼らなりのそれぞれの理解で受け止めてくれればいいからです。 また、どんなに幼い人であっても、その出来事や話が、印象的であれば、それは年月を超えてその人の記憶に刻まれることになるのではないでしょうか。 今回、私の話を聞いてくれた若い人、子どもたちは、高知県立高知東工業高等学校の500名にも上る生徒さんたちと、名古屋のモンテッソーリ瑞穂子どもの家の園児とその卒業生でした。 ![]() 高知県立東工業高等学校正門前 高校生には、「エイズを含む、性感染症は自分で防ぐのよ〜!自分には関係ないと思わないで、セックスをするときにコンドームをするのは、妊娠を防ぐためだけではないことを覚えておいてね。性感染症を防ぐためには、よく知らない人とセックスをしない、そして、万が一、そういう状態に陥ったとしても、セックスをするときには、必ずコンドームをつけるんだよ!!」と思春期真っ盛りの500名の生徒にがんがんと語り掛けました。 話の途中、南アフリカのある一人の女性に対する質問を考えてもらいました。彼女のきれいな笑顔の写真を見せて、「彼女があなたの隣にいたら、どんなことを聞きたいですか」というものです。 そのとき、数名の生徒から出てきたのが、「将来の希望は何ですか」というものでした。質問を考えてもらったときは、実は彼女がエイズを発症して亡くなっていることをあえて言いませんでした。 ![]() 体育館の大きなスクリーンに映された笑顔満面のこの女性が、もうエイズによって亡くなっている、ということを伝えたとき、寒い体育館の床に座らされて下を向いていた生徒たちの多くの顔が、一瞬、上を見上げました。エイズで亡くなる、という切ない現実が生徒さんの胸に届いたことを期待します。また、「自分の身体を守って欲しい。エイズに限らず、性感染症は自分で防ぐことのできる病気なのだ」というメッセージが伝われば嬉しいです。 そして、モンテッソーリ瑞穂子どもの家の子どもたち。当日集まってくれたのは、その在園生と卒業生グループ24名と保護者の方々16名でした。この子どもたちには、まず、日本、南アフリカ、そして、園とそして交流がある、モンゴルの場所を世界地図で確認しました。 ![]() そして、子どもたちに、遠い国に住んでいても日本に住んでいても、一人ひとりの子どもには、きちんと名前があって、家族がいることなどを説明しました。私は、子どもたちに、「遠い国に住む顔も知らない外国の子どもも、隣の席に座る友達も同じように大切な命を生きている」ということを理解して欲しいと思っているからです。 このことを実感してもらうために、子どもたち一人ひとりに“みかん”を渡しました。そして、自分の手のひらにある“みかん”を「自分の友達を知るようによ〜く、観察してね」と伝えました。子どもたちは、「私のみかんは、ここにへこみがある」とか、「ボクのみかんはここがとんがっている」と夢中でみかんを観察しました。 子どもたちが、「これは私のみかんだ」という確信ができていることを確認してから、改めて、みんなのみかんを中央に集めました。そして、子どもたちに、このみかんの山の中から自分の“みかん”を探し当てるようお願いしました。 すると、大多数の子どもたちが難なく、“自分のみかん”を見つけ出しました。24名の子どもたちですから、一見、同じようにみえるみかんの山から、全員が“自分のみかん”を探しだすのはそう簡単ではありません。案の定、数名の子どもたちが、自分の手にしたみかんを「これは、自分のみかんじゃない」と言い出しました。一人の子どもはちょっと泣きそうな気配。すると、何名かの子どもが、「もしかしたら、これ、私のみかんじゃないかもしれない」と言い出しました。 最終的には、子どもたち一人ひとりが“自分のみかん”と再会しました。ついでに、英語で、「これは私のみかんです」という意味の “This is my orange!”を英語で練習しました。私は英語の教師として、言葉を発する、というのは自分の感情を乗せるのだ、ということを常に訴えてきています。この時は、子どもたちに、多くのみかんの中から、自分のみかんを探し出し、それを「これは自分のみかんです」と自信を持って言うことを体験してもらいました。幼い子どもたちでも、自分のホンモノの感覚を英語でも発信できるのだ、ということを実感してくれたと思います。 その後、私の自著である、子どもの絵本、『首の長い大きな犬』を朗読しました。これは、マラウィのマザーテレサの子どもの家に実際にいた少年、エマニュエルの物語です。エマニュエルは、動物が大好きな少年でした。雑誌の切れ端に載っていたキリンのことをキリンという名前の動物である、ということを知らずに育ったアフリカの少年でした。でもこの首の長い大きな動物に大そう興味を持ったエマニュエルは、キリンを“首の長い大きな犬”と呼んで、いつか自分の目で見たい、と思っていました。 が、エマニュエルはたったの7歳でその短い生涯をエイズによって終えました。エマニュエルの両親もエイズで亡くなっていました。 瑞穂子どもの家の子どもたちは、このエイズで亡くなった自分たちと同じような年齢の子どものことを絵本で知り、エイズ、という病気がどんなに残酷に人々の命を奪っていくかを学びました。 幼い人たちに、遠いアフリカのエイズで亡くなった少年のことをいきなりお話しても、「ああ、そうなのか」という感想がせいぜいでしょう。が、人々を大きな数字や、○○人、という概念で捕らえるのではなく、隣にいるお友達のように、自分たちと同じように名前もある、家族もある、一人の子ども、という認識を持つことで、私が一番伝えたいと考えている、「共感する心」が育つのではないか、と考えます。 現在、私は日本の子どもたちに直接授業をする機会に頻繁に恵まれているわけではありません。でも、こういった機会があるたびに、アフリカのこと、エイズのことを多くの人に伝えていくことがいかに大切であるか、を改めて実感しました。 私に話しをする機会を与えてくださった、多くの関係者の皆さま、改めて御礼申し上げます。また、多くの方々に、エイズの患者さんが作成したビーズを購入していただきました。どうもありがとうございました。 |








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