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禁箸の扱い [2008年02月27日(水)]
 
箸を扱うなときには、してはいけない所作があります。それを禁箸といいます。人前でそれをすることは、とてもみっともない所作であります。もちろん、誰もいない一人での食事の時も自分自身を向上させるために、この禁箸はしないようにしましょう。

一般的に禁箸をすることは「みっともない」「汚らしい」「はしたない」「いやしい」「縁起悪い」などといわれます。この中の「縁起が悪い」といわれるのは『立て箸』『二人箸』『箸渡し』の三つが代表的です。

その土地の習慣や宗派によって違いますが、亡くなった方の枕元に置く枕御飯や仏壇にご飯を供えるとき、ご飯の上に箸をまっすぐ刺して置くきます。このことを『立て箸』『仏箸』といいます。

人が亡くなり火葬したあと「骨あげ」「収骨」といった遺骨を扱う行為には、長さの異なった竹と木の箸で二人一組になりお骨を取り上げる所作をします。この儀式を『はしわたし』といいます。この所作に似ていることから、一つの食器の上で、二人一緒に同じ料理をはさむ『二人箸』と、箸ではさみあげた料理を別の箸で取ったり、箸と箸で料理のやり取りをする『箸渡し』を縁起が悪いと嫌います。また、種類・材質の異なる箸を一対で用いることも同じ意味から嫌います。

この禁箸は一般常識の一つですが「縁起が悪い」という表現ですが正しくありません。この所作は決して縁起が悪いのではなく、仏にする『仏箸』『はしわたし』という尊い所作をしてはいけないのです。私たちは謙って禁箸としているのです。

このほかの禁箸は殆どが縁起ではなく行儀が悪い所作です。

●まよい箸・・・どの料理から手をつけようかと迷い、料理の上であちこち動かす所作。
●うつり箸・・・食材を一度取り、他のものに替える所作。
●ちぐり箸・・・汁物などのとき、椀の中をかきまぜて中身を探る所作。(探り箸)
●かき箸・・・・茶碗や器のふちを直接口にあて、箸でかきこむ所作。(犬食い)
●よせ箸・・・・箸で皿や器を引き寄せる所作。
●さし箸・・・・箸で食材をつき刺して食べる所作。また、食事中に箸で人を指す所作。
●よこ箸・・・・箸一膳を揃えて、食材を掬いあげる所作。
●なみだ箸・・・箸先から汁をたらす所作。
●振り箸・・・・箸先に着いた汁などを振り落とす所作。
●こみ箸・・・・箸で食材を口に押し込む所作。
●ねぶり箸・・・箸をなめる所作。ロの中に深く入れる所作。
●たたき箸・・・箸で器をたたく所作。地方によっては人を呼ぶときの所作でもある。
●受け箸・・・・箸を持ったまま器を受け取りする所作。
●握り箸・・・・箸一膳を掌で握りしめ食事する所作。箸の頭を親指で押さえ握り込むと攻撃の意味となる。
●ほじり箸・・・盛りつけられた食材を下の方からほじくり出す所作。
●すかし箸・・・魚を食べるとき、中骨を通して下の身を突く所作。
●空箸・・・・・食材に箸を一度につけておきながら食べずに箸を置く所作。
●渡し箸・・・・食事の途中で箸を食器の上に渡しておく所作。
●くわえ箸・・・箸を下に置かず、口にくわえたまま手で器を持つ。

このほかにも切り無くありますし、作法は日々進化しますのでこれからも禁箸が創られるかもしれません。あんまり喧しくなると食事が楽しくなくなるので気をつけましょう。楽しく頂くことも作法のひとつ、美味しく頂くには少し目をつぶることも必要かもしれません。

これだけ禁箸が多いということは食生活が豊かな証拠です。日本文化に感謝ですね。

ではでは。

プロフィール
プロフィール
北見宗幸
社団法人茶道文化振興会講師。みやび流和装道マナー部師範。高田馬場で昭和25年から続く「茶道会館」でお茶の稽古や茶会を催すほか、テレビ、雑誌などでも幅広く茶道の指導を行う。『はじめての茶の湯―茶道の基本がよくわかる』(成美堂出版)監修。
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