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炉開き [2007年11月08日(木)]
 
茶道界では秋から冬にかけて茶会のシーズンとなります。とくに11月は茶人の正月とも言われています。それは炉開きがあるからです。古くから陰暦十月の亥の日には炉開きをするのです。




茶室には囲炉裏から取り入れられた炉というものがあります。一尺四寸(約42.4センチ)四方の寸法で、茶室に切られている炉は、11月から4月の間には、釜を掛けてお茶を点てます。





冬になり、はじめて炉を開けて火を入れるので「炉開き」といいます。善哉や亥の子餅をいただきお茶をいただきます。善哉や亥の子餅はその地域、作り手によって様々な形がございますが、我が家の炉開きは7日間ありまして、まず初日は講師陣を招いて粟善哉を差し上げます。炭手前の後に善哉を頂き、濃茶、点心と一献、そして薄茶を差し上げます。次の日からは角餅の善哉で、稽古があるので点心と一献は差し上げられませんがお茶を差し上げる気持ちは変わりません。





農耕民族の日本人にとりまして、収穫に対する思いは大きいモノです。亥の日は収穫が終わり田にいた神が去っていく日と信じられ、刈り上げ祝いの行事として亥子祭があります。亥子祭の起源は「玄猪(げんちょ)」だそうで、「玄猪(げんちょ)」とは古来、中国から伝わり、平安時代より伝わる宮中の年中行事でもある玄猪の儀をいいます。亥の月の亥の日の亥の刻に無病息災や子孫繁栄を願って子宝の象徴でもある亥の子餅を食べるのです。


なぜ亥の日かと言いますと

火は食するモノを作り上げ、寒い冬を暖めるといった普段生活の中で欠かせない存在です。今でこそスイッチひとつで熾きますが昔はそうもいきません。ですから、火に対する意識は大きいものでした。そして、火が敵になることもあるのですから、一番おそれたことは火事です。火は大切なモノであり危険なモノであるのです。だからこそ、古来より人は火を重宝に扱ってきたのです。

陰陽五行では、亥は「水性の陰」となります。ですから火に勝つとされるのです。亥の日の亥は、火の災いが起こらないという信仰があります。そこから亥の月の亥の日に囲炉裏に火を入れれば、その冬は火事にならないと信じられていたのです。そんなことから、江戸時代には、一般家庭でも亥の日には炉や炬燵(こたつ)を開き火鉢を出す習慣があったのです。

陰暦十月の亥の日はちょうど寒さを感じる頃で暖が必要な時期でもあります。旧暦で考えるとよくわかりますが、季節と儀式が調和されてますね。

茶室の炉に火を入れることも同じこと、今では昔々の一般常識となってしまいましたが、今年の陰暦十月の亥の日は11月13日です。どうぞ、皆様もそれまで暖房器具は使わず、11月13日にスイッチを入れてみてください。

【今日のワイン】


Ch.デュ・テルトル1994
フランス/マルゴー/第5級
カベルネ・ソーヴィニヨン/メルロー/カベルネ・フラン
グラス・RIEDEL


ではでは。
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プロフィール
プロフィール
北見宗幸
社団法人茶道文化振興会講師。みやび流和装道マナー部師範。高田馬場で昭和25年から続く「茶道会館」でお茶の稽古や茶会を催すほか、テレビ、雑誌などでも幅広く茶道の指導を行う。『はじめての茶の湯―茶道の基本がよくわかる』(成美堂出版)監修。
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はじめての茶の湯―茶道の基本がよくわかる (和のお稽古BOOK)

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