おへそに手をあてて……

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雪や、こんこん [2008年01月31日(木)]
寒い冬の朝、遠くの山の頂の白さを眺めながら歩くと、吐く息もまた白く……。

ふっふっふ。

みなさん、「えっ、どこの山?」と、不思議な気分になりませんでしたか?

なんと、マウイ島の最高峰、ハレアカラに雪がつもりました!



「ハレ・ア・カ・ラー」とはハワイ語で、太陽の家を意味。標高約3055メートルの世界有数の休火山、その大きな火口には大小の丘があり、丘陵のうねりは現代も多くの人を魅了し、文学から映画までに描かれるほどです。



いにしえの時代、マウイという名前の神様が、ハレアカラに住んでいた彼の祖母マフイエの助けをかりて、太陽を捕まえ、綱でしばり、ウィリウィリの木に結びつけ、太陽の足を早く走れないようにしたという言い伝えからも、この山が太陽の家という名にふさわしい場所であることがわかるような気がします。



そこに、いまは雪が!

毎年とは言えないものの積雪のあるハレアカラ。標高のことを考えると、雪が降るほどの寒さに頷けるものの、サーフィンのできる海と雪の帽子をかぶった山が並ぶのは、はじめは妙な気分だったのですが、いまは私にとって、晴れた空に舞う風花のような趣、マウイの季節の移り変わりを感じさせてくれる風景のひとつです。

今年も「雪が積もったよ!」という一声に、みんながハレアカラを見つめていました。

ところが、今年はどうしたことか、雪を降らせているに違いないずっしりとした雲が、ハレアカラの頂に被さったまま、なかなか動かないのです。「雪が見えない〜」とはじめは不満をもらしていたマウイの人々、だんだん心配になってきたのです。



もしかして、ハワイ島からポリアフが来て、リリノエと喧嘩しているのかも。雪の女神の家族が仲良くおしゃべりを楽しんでいるといいけれど。

ハレアカラの頂上、もしくはマウイ島の東側から見ることのできる、隣のハワイ島の山々、マウナケア、マウナロア。この「マウナ・ケア(白い山)」には、山の名前からもわかるように、ほぼ毎年雪が積もります。ポリアフとはこの山に住む雪の女神、リリノエとはマウイ島ハレアカラの雪の女神。あまりに動かない雪雲に、ポリアフとリリノエの雪合戦を思いついたというわけです。

本日、めでたく晴天。以前より少し暖かい風が心地よく吹いています。

日本の文化は、特に冬から春への季節の移り変わりを、風によって表し、欧米の文化ではそれを光によって表すといわれていますが、ここハワイは日本の文化に近いのではないかと思います。

「春風や、白き長きを、吹流し」と調子よく。

また少し季節が変わったことを感じる一日でした。

「体」仲間=仕事仲間 [2008年01月25日(金)]
宝物が重くなって、スーツケースの数を増やして帰る、ライターの内田あやさんを空港で見送り、私のコーディネーターのお仕事が一段落しました。

今回の宝物探しの探検家の後姿を眺めながら、雑誌のお仕事はやっぱり楽しいなと実感。忙しい二週間を共にした二人の探検家が、一人は空へ、一人は海へと旅立ち、ほっと一息ついたところで、仕事の初日にゼロにしておいた車の走行距離メーターを見ると、なんと2300マイル(約3701キロメートル)を示していました。



ライターの内田あやさんとは、編集長の紹介ではじめてお会いすることになったのですが、年齢もほぼ同じで、出版社を退社後、書き仕事をしながら、体を動かす仕事をしているなど、共通点が多く、初対面とは思えないほどすぐに打ち解けました。

「ライターとして働くとき、もちろん体力は必要だし、取材、執筆、どれも体を使うけれど、ブレインワークとボディワークのどちらか、と聞かれれば、ブレインワークですよね、愛さん!」

あやさんは、ライターでありながら、ジャイロトニック、ジャイロキネシスというボディワークのインストラクターとして活躍中。私は、ダンサーと執筆業を両立中ということで、まずはその話題からはじまりました。
(ジャイロトニック、ジャイロキネシス、あやさんの活動を読んでみてください!)

「そうよね、私も、編集や書く仕事って、ブレインワークだけど、すごく体力がいるのよって、いつも思っていたし、みんなにもそう言っていたのね。でも、午前中は書き仕事、午後はダンサーとして働くようになってもう二年。ダンサーとして働いてみてはじめて、仕事で体を使うってこういうことなんだなってわかったの。あやさんは、小さいときからバレエをしていたから、私よりはボディワークに理解があったんじゃない?」

「う〜ん、でもボディワークを仕事として選んでから、わかったことがたくさんあるんですよ」

この取材日程の二週間、あやさんはライターの仕事に、私はコーディネーターの仕事に集中するため、普段のボディワークはお休みし、宝物探しに専念しました。あやさんとカメラマンさんと私の三人は、「読者が雑誌を読んだときに、私もマウイ島で宝物探しをしたいって思えるページを作ろう」を合言葉に、島のなかを朝から晩まで行ったり来たり、となったわけです。

宝物のためなら、雲ゆきを見つめて数時間、寒さに震えて数時間、視界を三百六十度に広げんばかりに目を見開いて数日、時には三人で話し合いを繰り返しながら……、探検隊は一日、一日を大切に過ごしました。宝物は、物ばかりではありません。マウイ島で暮らす、あの人、この人、インタビューの数々。人も物も、その存在は私たちに、言葉ではない想いを雄弁に語ってくれました。



実は、私はコーディネーターをしながらも、数日はショウに踊りにいかなくてはならず、その事情を理解してくださったあやさんのおかげで、「あ〜、体を動かしたい!」と唸らずにすんだのです。あやさんだって、唸りたいに決まっているのに。

ところがある日、あやさんを迎えにホテルの入り口に車をつけた途端、「あ、何かしたな」とはっきりわかるほど、あやさんの顔がすっきり、あやさんから漂う雰囲気も軽いのです。

「ホテルにジャイロトニックのクラスがあったので参加してみました!」と笑顔が。

長い取材のスケジュールのなかで、時間を上手に使って、リフレッシュを図るのは大事なことです。

「よかった〜、やっぱり体を動かすと気持ちがいいよね〜。実は私もショウで踊ってきたら、体が軽いもの」

ダンサーの仕事をはじめたころ、日々変わっていく体の変化に驚いたものです。お気に入りの道具を使い込んでいくと、愛着がわき、形も整い、風合いもでて、とてもしっくりと使い手に馴染むように、体も使い込むと自分のものになっていきます。自分の体は自分のものに決まっているのに、「ああ、私の体なんだな」という気持ちがむくむくと湧いてくるのです。

そうすると、自分の体の隅々にまで、自分の魂が満たされて、動くたびに、ぴったりと吸いついてきます。形のある体という存在に、形のない魂が満ちていく感覚。人は体を動かしていなくても、いろいろ考え事をしたり、何かを気遣っているでしょう。魂は休むことなく動いているのに、体は動かさなければ動かないのです。

「愛さんの体は、とってもバランスがいいですよ」と体を診るプロのあやさんに言われて、小躍りした私ですが、あやさんのような人と自分の体の話をできる機会はない、とばかりに質問攻め。

「バランスがいいと言われるとうれしいんだけど、でも、私、ゆっくり左にスピンをするときに、よっぽど集中していない限り、バランスが崩れるから、自分の体のバランスはよくないのかもと思っていた」と告白。

すると、「ゆっくりのスピンってすごく難しいからですよ。早いほうが簡単でしょう?」とあやさん。

「あとね、私、右中心に振付けられた踊りを、左中心に振りうつすときに、自分でも笑っちゃうくらい迷うの。あと、いつもこっちが前と思っている方向を向いて踊るのは楽なのに、じゃあ今度はそれを後ろむいてやってと言われると手間取ったりね」

「視覚で確認しているのに、それが確認できないことで不安になるんでしょうね。愛さんは鏡を使って練習しているの?」

「鏡はないの。見るときは周りの人を見て、あとは耳をすますだけ」

「それはいい練習の方法。だって、私のところにくるお客さまに、なんとか私を見て同じように動いてもらおうと思っても、人って鏡にうつっている自分をみて、動きを確認したくなってしまうみたいだから」

あやさんとの「体」談義はつきませんでした。

この宝物探しの旅のなかで、探検隊の三人がどんな宝物を見つけ、あやさんが重そうにひっぱっていたスーツケースの中身が何なのかは、三月になって、雑誌が発売になってからのお楽しみ。そのときには、宝物発見の裏側をみなさんにこっそりお伝えしますね。



私が見つけた宝物は、私が島時間を十倍速で駆け抜けた二週間の間、私を支え続けてくれた家族と友人たち、そして、新しい「体」仲間のあやさんでした。

年のはじめの宝物探し [2008年01月07日(月)]
すっかり口説かれてしまったのです。

「マウイで何か大切なものが見つけたいです。それを一緒に探してくれませんか」と、なかなかお仕事のお誘いとは思えないこの言葉に、恋に落ちてしまった私。

普段はあまりお引き受けすることのない、雑誌の取材コーディネートの仕事を、松の内もあけきらないうちから、二週間に渡ってすることになりました。



雑誌の取材コーディネートのお仕事とは、まず、雑誌の編集者さんやライターさんと、マウイ島についてのページをどのように作っていくかを話し合い、日本にいる編集者さんやライターさんに、ページのコンセプトに合うマウイ島のニュース、人物、物、場所などを紹介。

取材をする内容を決めた後は、取材依頼、交渉をし、スケジュールを組んでいきます。実際、取材がはじまると、取材クルーのスケジュール管理、移動、取材時の通訳など、取材をスムーズにすすめるための縁の下の力持ちになるというわけです。

ハワイには場所柄、日本のメディアに対応するたくさんのコーディネーターさんがいらっしゃるのですが、私はそのなかでも本当に小さい存在で、普段、コーディネートの仕事はあまりしていません。書き仕事とダンサーの仕事で精一杯ですし、私にとって、コーディネーターとは、自分の身を激しく削る仕事だからです。

今回、私がどうして、この仕事をお引き受けしたかというと、編集長のお人柄を知っていたからです。私のライフスタイル、仕事に対する姿勢などを十分に理解してくださったうえでの、とても彼女らしい仕事依頼のメールが届いたとき、私のなかでは「彼女からの仕事を断わることなんてできない」と答えが決まってしまっていました。

編集長から紹介のあったライターさんは、とっても心根がまっすぐな女性。すぐに意気投合し、どんどん湧き上がってくるお互いのアイデアが、面白いように企画になっていきました。

そんななかで、「マウイで、何か大切なもの、そう、宝物を探せたらいいな」という言葉が彼女からでたのです。

取材をすることは、宝物探し。ライターさんやフォトグラファーさんたちは探検家、コーディネーターさんは宝物探しに必要な地図を書く人になれるでしょう。

「でも、この宝物探し、ちょっと大変かもしれないですね」というライターさんの声は遥か遠く、すっかりこの言葉に口説き落とされてしまった私。数秒後には、目をつぶったまま、耳もふさいだままだというのに、「大変だって、やりましょうよ、宝物、見つけましょうよ、きっとできるはず」とお腹の声、そして、「絶対、見つかるんだもん」と根拠のない自信に満ちていました。

お店に並んでいる宝物を買おうというのではなく、迷うことのない確かな地図もまだなく、それでも一歩を踏み出すのは危ないのでしょうか。

私にはそうは思えませんでした。

一歩がでなければ、十歩もでないのです。ほんの小さな一歩でも、一歩であればそれは前進、十歩につながっていくのだと信じています。

新しい年のはじめに、宝物探しをはじめるなんて、ワクワクしますね。

みなさんは、どんなはじまりですか?

宝物探し、みなさんと一緒にできるように、書き綴ってみます。

どうぞお楽しみに!

プロフィール
神宮寺愛
エッセイスト×フラダンサー
東京での出版社勤務を経て、現在はエッセイストとして活動。マウイ島ワイルク在住。著書『心と体がピュアになるハワイアンな暮らし』(青春出版社・刊)他。フラやハワイ語等を学ぶダンサーでもあり、カノエアウダンスアカデミー所属。現在カアナパリビーチホテルのディナーショーにレギュラー出演中。