おへそに手をあてて……

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フラダンサーのお道具その1 [2007年08月16日(木)]
「わぁ、これはなんのお花?」
「プルメリアですよ」
「えっ、プルメリアって、こんなお花だったかしら!」

こんな会話をすることになるきっかけは、ご存知の方も多い、あのプルメリアの花を使って作る大きな髪飾り。

ハワイではプルメリアの花がほぼ一年中木に花をつけています。白、黄色、ピンク、赤など色もさまざまで、それぞれの色が作る間色もいれるとかなりの色のものがあり、香りがとても強く、花びらもやわらかすぎないため、レイや髪飾りに最適な、愛すべき花。

そのプルメリアを十九個つなぎあわせて作るのが、この髪飾りなのです。



私は毎週月曜日に、ショウで踊るときにこれをつけるため、月曜日の午前中早めの時間、花が太陽の熱であたたまりすぎないうちに、花を摘みます。摘んだ後は少しおいて、プルメリア特有の白い樹液ができってしまうのを待ちます。

そして、お仕事バッグから取り出したるは、「つまようじ」。ヘアメイク道具にまざって、堂々とバッグにおさまっていたコレ、とっても大切なフラダンサーのお道具のひとつ。

次に、さぁさぁ、並んでね、と、十九個のプルメリアに整列の号令をかけます。並び方は、真ん中が小さい花、両端にいくにしたがって大きい花に。

並び終えたら、真ん中の小さい花をつまようじにさし、残りの十八個のプルメリアの五枚の花びらのうち一枚を取り去ります。そして、花びらを取り去った部分を真ん中の小さい花に向けて、左側と右側にさしていくのです。つまようじは長いものであれば一本、短いものであれば二本使います。

使う花の個数は、私のハラウでは大人は十九個、小さい子どもは十三個というのが約束になっていますが、大きさを自由に変えることができることはいうまでもありません。

出来上がったものを髪にとめ、フラダンサーの身支度完了、となるわけですが、髪に飾らなくても、テーブルに飾ったり、バスルームやベッドルームに香りにアクセントをつけるときも役立ちます。

でも、不思議なことに、確かにプルメリアは香りが強く、部屋に数個置いておけば香りを十分に楽しむことができる花なのですが、私が一番この香りに助けられるのは、踊り疲れたときなのです。

フラダンサーというのは、私にとって、今は職業です。職業ということは、踊りをみるためにお金を払ってくださっているお客様や、フラダンサーと写真と撮ったり、会話を楽しみたいお客様にとって、私は無条件でフラダンサーということです。

私のほうの条件、たとえば、踊りが難しい、体力が限界にきている、具合が悪い、集中できない、踊り手としての経験がまだたりない、生粋の日本人であること、などはまったく関係なし。

いつも、どこでも、経験豊かな、エネルギーに満ちた、こぼれるような笑顔で、見せるにふさわしい踊りを踊ることが私の仕事。苦痛にゆがみそうな顔や激しい息遣いは、表面に出さず、衣装をきて、それを脱ぐまでは、そしてフラダンサーを見たいという人の前にいる間は仕事を全うすることが大切なのです。

プルメリアの花は、そんな私のサプリメント。汗をかき、動悸が体中をめぐっているとき、花の香りはまるで私自身が花になったかのように、驚くほど強く香ります。深呼吸をすると、体のなかから手足の先にいたるまで、しびれるように香りが広がり、私の体がエネルギーをチャージするのです。

だから、いつもこうささやきかけるんですよ。

「一緒にがんばろうね」って。
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プロフィール
神宮寺愛
エッセイスト×フラダンサー
東京での出版社勤務を経て、現在はエッセイストとして活動。マウイ島ワイルク在住。著書『心と体がピュアになるハワイアンな暮らし』(青春出版社・刊)他。フラやハワイ語等を学ぶダンサーでもあり、カノエアウダンスアカデミー所属。現在カアナパリビーチホテルのディナーショーにレギュラー出演中。