おへそに手をあてて……

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「体」仲間=仕事仲間 [2008年01月25日(金)]
宝物が重くなって、スーツケースの数を増やして帰る、ライターの内田あやさんを空港で見送り、私のコーディネーターのお仕事が一段落しました。

今回の宝物探しの探検家の後姿を眺めながら、雑誌のお仕事はやっぱり楽しいなと実感。忙しい二週間を共にした二人の探検家が、一人は空へ、一人は海へと旅立ち、ほっと一息ついたところで、仕事の初日にゼロにしておいた車の走行距離メーターを見ると、なんと2300マイル(約3701キロメートル)を示していました。



ライターの内田あやさんとは、編集長の紹介ではじめてお会いすることになったのですが、年齢もほぼ同じで、出版社を退社後、書き仕事をしながら、体を動かす仕事をしているなど、共通点が多く、初対面とは思えないほどすぐに打ち解けました。

「ライターとして働くとき、もちろん体力は必要だし、取材、執筆、どれも体を使うけれど、ブレインワークとボディワークのどちらか、と聞かれれば、ブレインワークですよね、愛さん!」

あやさんは、ライターでありながら、ジャイロトニック、ジャイロキネシスというボディワークのインストラクターとして活躍中。私は、ダンサーと執筆業を両立中ということで、まずはその話題からはじまりました。
(ジャイロトニック、ジャイロキネシス、あやさんの活動を読んでみてください!)

「そうよね、私も、編集や書く仕事って、ブレインワークだけど、すごく体力がいるのよって、いつも思っていたし、みんなにもそう言っていたのね。でも、午前中は書き仕事、午後はダンサーとして働くようになってもう二年。ダンサーとして働いてみてはじめて、仕事で体を使うってこういうことなんだなってわかったの。あやさんは、小さいときからバレエをしていたから、私よりはボディワークに理解があったんじゃない?」

「う〜ん、でもボディワークを仕事として選んでから、わかったことがたくさんあるんですよ」

この取材日程の二週間、あやさんはライターの仕事に、私はコーディネーターの仕事に集中するため、普段のボディワークはお休みし、宝物探しに専念しました。あやさんとカメラマンさんと私の三人は、「読者が雑誌を読んだときに、私もマウイ島で宝物探しをしたいって思えるページを作ろう」を合言葉に、島のなかを朝から晩まで行ったり来たり、となったわけです。

宝物のためなら、雲ゆきを見つめて数時間、寒さに震えて数時間、視界を三百六十度に広げんばかりに目を見開いて数日、時には三人で話し合いを繰り返しながら……、探検隊は一日、一日を大切に過ごしました。宝物は、物ばかりではありません。マウイ島で暮らす、あの人、この人、インタビューの数々。人も物も、その存在は私たちに、言葉ではない想いを雄弁に語ってくれました。



実は、私はコーディネーターをしながらも、数日はショウに踊りにいかなくてはならず、その事情を理解してくださったあやさんのおかげで、「あ〜、体を動かしたい!」と唸らずにすんだのです。あやさんだって、唸りたいに決まっているのに。

ところがある日、あやさんを迎えにホテルの入り口に車をつけた途端、「あ、何かしたな」とはっきりわかるほど、あやさんの顔がすっきり、あやさんから漂う雰囲気も軽いのです。

「ホテルにジャイロトニックのクラスがあったので参加してみました!」と笑顔が。

長い取材のスケジュールのなかで、時間を上手に使って、リフレッシュを図るのは大事なことです。

「よかった〜、やっぱり体を動かすと気持ちがいいよね〜。実は私もショウで踊ってきたら、体が軽いもの」

ダンサーの仕事をはじめたころ、日々変わっていく体の変化に驚いたものです。お気に入りの道具を使い込んでいくと、愛着がわき、形も整い、風合いもでて、とてもしっくりと使い手に馴染むように、体も使い込むと自分のものになっていきます。自分の体は自分のものに決まっているのに、「ああ、私の体なんだな」という気持ちがむくむくと湧いてくるのです。

そうすると、自分の体の隅々にまで、自分の魂が満たされて、動くたびに、ぴったりと吸いついてきます。形のある体という存在に、形のない魂が満ちていく感覚。人は体を動かしていなくても、いろいろ考え事をしたり、何かを気遣っているでしょう。魂は休むことなく動いているのに、体は動かさなければ動かないのです。

「愛さんの体は、とってもバランスがいいですよ」と体を診るプロのあやさんに言われて、小躍りした私ですが、あやさんのような人と自分の体の話をできる機会はない、とばかりに質問攻め。

「バランスがいいと言われるとうれしいんだけど、でも、私、ゆっくり左にスピンをするときに、よっぽど集中していない限り、バランスが崩れるから、自分の体のバランスはよくないのかもと思っていた」と告白。

すると、「ゆっくりのスピンってすごく難しいからですよ。早いほうが簡単でしょう?」とあやさん。

「あとね、私、右中心に振付けられた踊りを、左中心に振りうつすときに、自分でも笑っちゃうくらい迷うの。あと、いつもこっちが前と思っている方向を向いて踊るのは楽なのに、じゃあ今度はそれを後ろむいてやってと言われると手間取ったりね」

「視覚で確認しているのに、それが確認できないことで不安になるんでしょうね。愛さんは鏡を使って練習しているの?」

「鏡はないの。見るときは周りの人を見て、あとは耳をすますだけ」

「それはいい練習の方法。だって、私のところにくるお客さまに、なんとか私を見て同じように動いてもらおうと思っても、人って鏡にうつっている自分をみて、動きを確認したくなってしまうみたいだから」

あやさんとの「体」談義はつきませんでした。

この宝物探しの旅のなかで、探検隊の三人がどんな宝物を見つけ、あやさんが重そうにひっぱっていたスーツケースの中身が何なのかは、三月になって、雑誌が発売になってからのお楽しみ。そのときには、宝物発見の裏側をみなさんにこっそりお伝えしますね。



私が見つけた宝物は、私が島時間を十倍速で駆け抜けた二週間の間、私を支え続けてくれた家族と友人たち、そして、新しい「体」仲間のあやさんでした。
この記事のURL

http://www.cafeblo.com/piko/archive/25
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プロフィール
神宮寺愛
エッセイスト×フラダンサー
東京での出版社勤務を経て、現在はエッセイストとして活動。マウイ島ワイルク在住。著書『心と体がピュアになるハワイアンな暮らし』(青春出版社・刊)他。フラやハワイ語等を学ぶダンサーでもあり、カノエアウダンスアカデミー所属。現在カアナパリビーチホテルのディナーショーにレギュラー出演中。