キッチン用のミニほうきが欲しくて、
キッチン雑貨の100円ショップのようなところに行った。
入り口辺りにそれはあって、屈んで取ろうとしたら、
横のカゴから沢山の目が私を見ていた。
「僕を連れて帰ってください」。
そう看板に書かれて、ミニ熊たちがわっさわっさとカゴにいた。
気づけばがさがさと、かわいい子を目がけてカゴをあさる私。
はたと、目があった子を持ち上げて「一緒に来るか?」と訊けば、
「行く」という。腰をあげると、ミニ椅子が目に留まる。
これはと思ってミニ熊に「いるか?」とまた問えば、
「いる、僕はディスプレイ熊だから」とさらりと言う。
気づけば300円払って、ミニ熊とミニ椅子を買っていた。
帰って早速椅子に座らせる。ほくそ笑む。
すれば、後ろから鋭い視線が突き刺さり、振り向けば、
本家の熊が「またつれて帰ってきたな」と怒っている。
「すいません、でもこれ、ディスプレイ熊なんです」と謝った。
ディスプレイ熊も調子こいて「そうなんです」と笑ったので、
怒った本家熊は、ディスプレイ熊を羽交い締めにした。
嫉妬は嫉妬を呼ぶので、はて困ったと思い、本家熊を抱き寄せ、
「これまでも、これからも、一番なのはあなただけ」
とどこかの台詞をもじったようなことを潤んだ目で言った。
本家熊はディスプレイ熊を椅子に戻して、
「あっちしまってきなさい。許してあげるクマ」と笑った。
いや、浮気はよくありません。
あくまで、チープなディスプレイ熊なら歓迎です。
もちろん、ほんとに愛するは本家の熊さんだけ。
mixi日記より、特別抜粋。