「裸のシェフ」として日本でも有名になったジェイミー・オリヴァー。イギリスではまだまだセレブシェフとしてテレビにレシピ本にと大活躍を続けています。
イギリスのセレブは社会的な活動に熱心なものですが、ジェイミーはとくにこれが活発。「裸のシェフ」シリーズで人気者になり、大手スーパーとの長期契約などでお金が手に入ると、自分のレストランで、ドラッグや犯罪で荒れまくっている無職の若者を見習いとして雇用、一人前に育てることを始めました。すでに9年目ですね。

大手スーパー、セインズベリーが出しているジェイミー・オリヴァーブランドのパスタソース。この収入などでジェイミーは食育のための自身のNGOも立ち上げています。
また、ニンジンやタマネギを見せてもそれが何なのか知らない子どもが多いイギリスの食文化の貧しさに一念発起、「Feed me Better(もっといいもの食べさせて)」という食育キャンペーンを立ち上げ、学校に給食の改善を迫ったり、栄養の基礎知識を伝えたり、家庭でも料理は簡単につくれることを訴えたりしてきています。
こういった活動はそれぞれテレビシリーズとして展開もされ、とくに学校給食と食育の活動シリーズ「Jamie's School Dinners」はかなり大きな話題になっていました。子どもに毎日ファストフードを食べさせて平気な人が多いイギリスということもあり、この貢献は本当に偉大だったのです。
そのジェイミーが今活動しているのは、『FISH FIGHT』というキャンペーン。立ち上げたのは、ヒュー・ファーンリー・ウィッティンストールという別のセレブシェフ(サイトのメガネの男性)ですが、賛同仲間として同名の現在放送中のテレビシリーズに登場しています。

Fish Fightのキャンペーンサイト。北海で獲られた魚のおよそ半分がそのまま海に捨てられている現状を伝え、またイギリスで伝統的に食べられてきたタラなどの消費を減らし、魚の投棄を法律で禁止するなどを目標に掲げている。かなり攻めのキャンペーン。
このフィッシュ・ファイト番組、日本人としてとてもいいなぁと思ったのでご紹介したいのです。残念ながら日本からだと規制がかかって動画が見られないようなので、言葉で。
マグロやタラなど人気の高級魚が世界中で激減していることは日本でも報道されていると思います。イギリスの場合、魚食文化があまり豊かでないので、食用にされる魚はマグロ、タラ、サーモンなどほんの数種類で、残りは雑魚として多くが海に捨てられています(アジやイワシ、カニなどもかなり捨てられているらしい!)。これはもったいない、マグロやタラ以外もおいしく食べ、その分マグロやタラの消費を減らそうというのがこのキャンペーンの要旨です。
でも、ただ「おいしく食べましょう〜」「この魚もおいしいですよ」と呼びかけるだけでないのが、魚食文化は貧しくても市民活動文化が豊かなイギリス。「地元の国会議員に、魚資源を国会で議題にする議員発議に署名するよう連絡しよう」「近くのフィッシュ・アンド・チップス店にサバフライをメニューに加えてと頼もう」と行動を促しています。これが素晴らしい!

Channel 4で放映中のFish Fightシリーズのサイト。ジェイミーのレシピは日本からでも見られます。
ジェイミーも番組内で「明日、近くの魚屋さんにこの魚はないの?って聞こうよ。そういうみんなの声が需要を生んで、業界が変わるんだ」と相当アツく語っています。フライパンでジュージューと魚を焼きながら。その姿はすでに料理もする環境アクティビストです。「子どもや孫においしいマグロやタラを食べさせたかったら、行動しましょう」と。
日本の朝のワイドショー番組などでは「マグロは日本の食文化だ、外国に何か言われる筋合いじゃない」というような声すら聞きますが、その外国は自分たちの行動や食文化を変えようとしているのです。日本の食業界や流通、マスコミももうちょっと積極的に動いてもいいかな?と思わずにはいられないわけです。