透明な光をはらむアクアブルーの水の底に灰色に横たわる細長いもの。凪いだサンゴ礁の海は、ちゃぷちゃぷとささやかな音を立てるだけ。
顔立ちの整ったちょっと勝気そうな女の子が、質問の答えを考えるときにふと視線をそらす。緻密な肌に髪の毛を貼りつかせる潮っぽい湿気。少女が走るペタペタという音。
全編にわたって、BGMどころかナレーションさえない映画『ビューティフル アイランズ』。南太平洋に浮かぶ島国ツバル、世界遺産ベネツィア、ベーリング海に面したシシュマレフという3つの島の空気感をそのまま切り取ったような作品です。


ビューティフル アイランズ
恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開
監督・プロデューサー・編集 海南友子
エグゼクティブプロデューサー 是枝裕和
●Beautiful Islands公式サイト>
この3つの舞台にピンと来た方も多いと思います。そう、地球温暖化と気候変動のために、近い将来消えてしまうかもしれないと言われている島々です。
とはいっても、この映画は温暖化の危険性を説教をするわけではなく、ただひたすら、まるで自分がそこを訪れているように淡々と旅のリアルな質感を届けてくる。
それなのに、私は3つの島を経て、再びツバルに戻ってきたカメラが写す島の人々の民謡の合唱のシーンで、声を上げて嗚咽したいほどに泣けて泣けてたまらなかったのです。悲しくてではなくて、美しさや命の愛しさ、切なさに。
この映画が、今日封切りになりました。東京は恵比寿のガーデンシネマで。そのほか北海道から沖縄まで、全国で順次公開になります。
お近くの映画館で上映が始まったら、ぜひ、足を運んでいただけたらと思います。気候変動で地球にどんな変化があらわれているのかを知ることができるし、もう少し気楽に観ても楽しい。リアルな旅気分を味わいながら、自然やそこに暮らす人々のバリエーションの豊かさなどを堪能できます。
アクアブルーの水の底に沈んでいるものが何なのか、ぜひ謎をといてください。
cafebloで、ミヤモトヒロミさんもこの映画を紹介されています!
●美しい島が沈む前にできることは? 『ビューティフル アイランズ』