何度かここでも少し書いてきましたが、ロンドン郊外の家のそばに市民農園を借りています。
30坪弱の区画で、育てているのはごく普通の作物。ジャガイモ、ネギ、ブロッコリーやズッキーニ、トマト……などなどです。4年目に入り、雑草だらけで荒野のようだった区画もようやく畑らしくなってきました。
でも今年気付いたことがひとつ。毎年、うるさいほどやってくるミツバチの姿がとても少ないのです。庭のリンゴの木にもミツバチがあまり来ていません。

去年のミツバチ。ネギ系ハーブ、チャイブの花が大好きでよく集まっていました。
2006年頃から、ミツバチが巣から忽然と失踪するCCD(コロニー崩壊症候群)現象が相次いでいるというニュースを耳にするようになりましたよね。不思議なCCD以外でもミツバチは減り続けていて、北米やイギリスなどではミツバチが3割ほども減ってしまったとか。
日本に昔からいるニホンミツバチはとくに数が減っていないらしいのですが、養蜂家の多くは蜜を集める能力の高い同じセイヨウミツバチを使っているため、日本でもミツバチの激減現象は起きているそうです。
ミツバチの減少は即農業への大打撃なので、原因究明の努力がかなり払われているようなのですが、今のところ特定できていません。農薬説、ウイルス説、電磁波説……どれも疑わしいけれど、決定的ではない。
最近の研究発表では、上記の原因はおそらく大きな要素ではなく、気候変動による異常気象が主な原因ではないかとしているそうです。
今年は日本も気温変化が極端ですよね。イギリスもです。冬の間、備蓄した蜜で生きのびてきた働きバチは、さぁ春!と思って外に飛び出していったけれど、花の時期がズレていてそこに蜜や花粉はなく、エネルギー切れで巣に戻れなくなるものが多いのだろうとのこと。なんだか切ない。
自分の見ている前でも、着々と地球の様子が変わって行く。何か怖いことを目撃しているのかもしれないなぁと、ちょっと心塞ぐ春です。
やっぱり行者ニンニクだそうです!
前回、マーケットで見かけた謎の野菜が行者ニンニクに見えると書いたところ、この記事を読んでくださったブラチスラヴァでお友だちになったCさんから、
「Cafeglobe拝見しました。ベアラウフ(熊のネギ)=行者ニンニク 大正解です!http://de.wikipedia.org/wiki/B%C3%A4rlauch」
というツイートでの連絡をいただきました。
そしてここでもウィーン在住のmiaさんからコメントで教えていただきました。ありがとうございます! 「熊のネギ」なんてなんだかいいネーミングですね。

これこれ。写真をアップにしてみましたよ。
ヨーロッパでも食べられているんですね。この季節の山菜として親しまれてきているようです。日本語でWikipediaを引くとヨーロッパのものは同じ仲間だけど別の植物とありますが、似ています。日本のはサクサクした歯ざわりの茎が目当てだけれど、こちらのは葉が目当てという感じです。
Cさんにレシピのページも紹介してもらいました。
●行者ニンニクの手打ちパスタ
●スープや行者ニンニクで作るジェノヴェーゼ風スパゲティ
んー、おいしそう。チーズやクリーム、バターとの相性がいいようです。洋の東西を問わず、森のおいしいものを人間は集めて食べてきたんだなぁ。
このウィーンの常設青空市、ナッシュマルクトでは、ザワークラウト屋さんにも心惹かれました。

ザワークラウト専門店。いろんな菌が棲んでいそうな大きな木の樽にキャベツの千切りが漬け込んであります。お店の人が素手を樽に突っ込むあたりが発酵系っぽくてナイス。
大きな木の樽がいくつもならんでいて、まさに日本の味噌専門店の雰囲気。オーソン・ウェルズかワーグナーかといったしかめっ面のヒゲのお客さんがやってきて、店主にあれこれ言っています。店主は店頭の樽に手を突っ込んで、素手で樽の中身をつかんで差しだし、お客に味見を薦めます。
ワーグナーさんはしかめっ面をいっそうしかめながら、樽ごとに次々に味見していき、渋い表情のままひとつの樽にかすかに頷き、1kgぐらいを1ユーロで買って行きました。
店主は横でヨダレを垂らさんばかりに覗き込んでいた私にも何か話しかけてくれますが、ドイツ語わかりません。英語で返してみたけど、先方も英語はダメのよう。ザワークラウトをホテルに持って帰っても食べにくいし、自転車で背負って背中に汁が垂れたらいやだし、味見だけさせてもらって逃げるのは悪いし、残念ながらここでザワークラウト探検は終わり。

ナッシュマルクトの花形はやっぱり八百屋さん。ヨーロッパの八百屋さんはディスプレイがきれい。

カフェで朝食を食べる人たち。奥はチーズ専門店。湯葉のようにひねってちぎったフレッシュチーズがおいしそうでした。同じヨーロッパでもイギリスのチーズ専門店と全然内容が違います。

これは細長いナッシュマルクトの最も外側のあたり、毎土曜日に立つ蚤の市。だいぶ人々の顔立ちが変わってきました。
ナッシュマルクトは1kmほど細長く続いています。外側の蚤の市のさらに端のほうは中古の靴が山積みになっているような市になっているのですが、ここまで来て、すごくありていに言うと人々の肌の色が浅黒くなっているのに気づきました。さっきの「白っぽい」カフェと違う国に来たみたい。私にとってはまだあまり出会ったことのない顔の人々。
いま自分がいるのはオーストリアの東端。東隣はハンガリー、その隣のルーマニアが黒海に面していて向こうはトルコにグルジア、アルメニア。もうアジアという名前が見えてくる。東のほうを向きながらそんなことを想像していました。
環境問題のことを考えると地球の小ささを痛感しますが、こうやって大地に立って見回すと地球はやっぱりすごく広い。久しぶりにバックパッカーに戻って旅に出たい気持ちをかきたてられました。