更新日:2011年4月06日



キャリー・ブラッドショウではないけれど、セックスコラムに

カテゴリ:ゆるい話題です  2008年12月07日

  今日も、部屋を整理するつもりが、いつものように「積ん読」状態の雑誌やあとで読もうと思って破りとっておいたスクラップの束にひっかかってしまいました……。昔、『ドラえもん』にたしか読書パンというのがあったけど、あんな感じでスキャンするように資料を一気に読めたらいいのに。

  それはともかく、ふと読み始めたのが、イギリスのリベラル寄り高級紙『ガーディアン』の女性向け付録雑誌。イギリスは新聞各紙の週末の挟み込み雑誌がかなり充実していて、なかなか読み応えがあるのです。


高級紙の中では、『The Times』が保守なら、この『Guardian』はリベラル。『Independent』も相当リベラル。

  しばらく東京にいたのでイギリスの紙媒体から少し離れていたけれど、この中のあるコラムを読み始めてすぐに、「ああ、やっぱりイギリスのメディアって好きだ」と思いました。

  それは、キャリー・ブラッドショウではないけれど、セックスと女性の人生についてのコラム。「40代子持ちシングルでも、自分を好きなら思いもかけないイイコトがある」というサブタイトル。もうすぐ40代に突入する身なので、思わずぐっと読み始める。

  内容はたいしたことはなくて、45歳の女性作家が「子どものために」離婚を選ばず、生涯セックスレスを貫くことにした——という本を出した——のを読んだこのコラムの著者が、それをコテンパンにけなしているもの。

  「子どもたちのために安定した家庭を提供することは、エキサイティングなセックスライフを送ることなんかよりよっぽど大切なこと」と言う作家に、コラム著者は「はーん、私も子どもはいるけど、離婚は人生最大の正解だったわ。冷めきった仮面夫婦の家庭がそんなにいいものかしら? 40代といえば、女がオーガズムを得られる最高潮の年齢よ。私なんて先週も20代のオトコノコに誘われちゃったわ」と容赦なく反論を浴びせかけています。

  私があらためて感心したのは、どっちの意見が正しいかではなくて(人それぞれでしょう)、こんな風にコラムニストや作家・ジャーナリストたちが、オープンにお互いの意見をけなしあえる、それが読者に許されるどころか期待されているメディア事情です。これはアメリカもおおむね同様だと思います。

  欧米の新聞記事の大半が署名記事なのも、ニュースや意見はバイアスがかかっているものだから、発信者を明らかにしなければいけないという認識があるからです。私も発信する立場として思うのは、自分の看板で意見を言うほうがよっぽど責任が重いし、誠心誠意取り組むし、反応をもらえればやり甲斐もあります。また変にこれが真実とうそぶく必要なく自分の考えを述べられるので、発言しやすくもあります。それが理由で、cafeglobeもほとんどの記事を署名にしました。

  自分の看板でガンガン意見を言い、ガブリと噛み付かれたら、グサリとやり返す。相手のプライバシーには決して踏み込まないけれど、残酷なまでの煽りもスキルのうち。もちろん、視聴者読者はケンカを見たいのではなくて、ハッキリ対立する意見とそれぞれの理屈を聞いて、自分の意見をまとめる材料にするのです。とくに国を左右する、たとえばイラクに侵攻すべきか否かというようなときの英メディアの侃々諤々ぶりはすさまじかったです。

  日本も「朝生」や「日曜討論」「論点」「(久米宏時代の)ニュースステーション」などがそのスタイルですが、もっともっと、たぶん今の50倍くらい「遠慮のない意見」が増えてほしい。世の中の見方はひとつではなくて、ありとあらゆるバリエーションがあって、それをどうみんなで摺り合わせて合意を形成していくか。自分の意見はどうなのか、考えさせてほしい。

  よく政治家さんが「〜については国民的議論を」なんて発言しますが、日本のマスコミがこんなにお行儀良く遠慮がちにしている限り、国民的議論なんてあんまりできないと思うわけです。もちろんマスコミは政治と同じく、その国の一般市民が形作っているわけですから、私たちももっと自由に意見を持って言っていかないと。

  あー、アラフォーのセックスライフの話から、またマジメになっちゃいました。すみません。根がマジメなもので。そういえば「アラフォー」が流行語大賞をとったんですね。アラサーのほうが先に出て来たのに。アラフォーのほうが世の中に注目されている印なら、まぁ、名誉なことです。


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おお、すごい面白い議論ですね。確かに日本ではここまであけっぴろげに議論する人は少ないですね。でも意見が違ったとしても正当に戦わせられる関係ってすごーく大切だと思います。

そういえば、留学中はよく「なんでなんで?」ってオランダ人の親友に聞かれて、意見をたたかわせてました。でもそれで仲良くなれたし、お互いのことがよくわかった気がする。


署名記事の意味、あらためて考えました。

素敵な材料をありがとうございます!

投稿者 mihoaku : 2008年12月20日 09:34

おととい、近所人たちのクリスマスパーティに参加したんですが、BBCの方針では、ウチの左隣の人とその左隣の人がかなり激論になりましたね。NHK同様公営放送なので、「くだらない番組やるな!」「売れ筋のタレントにギャラ払いすぎ!」「いやあいつは面白い!」などなど。
議論は喧嘩とはちがうというのはかなりハッキリしてるようです。どちらかというそれで楽しんでいるようなところもあります。
でも政治と宗教は本気になりすぎるのでタブーとはよく言われます。たしかに。

投稿者 青木陽子 : 2008年12月22日 22:46







青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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illustration / Nakagawa Isami

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