GW、おすすめ映画いろいろ [2008年04月30日(水)]
GWですね。今年は暦通りだとちょっと少ないですが、平日をつなげて11連休にする方もいるとか。それはうらやましい。
毎日天気もいいので、映画の気分じゃないかも、ですが…(私もつい、更新せずに何日も経過)、この連休中におすすめの映画をいくつかご紹介します。
まずは、先週公開になった、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。主演のダニエル・デイ・ルイスが今年のアカデミー賞で主演男優賞を受賞。作品賞にもノミネートされて、最後まで本命視された作品です。
ヒトコトで言えば、男の執念の一代記。無一文から油田を掘り当て、富を手にしてのし上がっていく男の人生を描いています。冒頭に、何もない荒涼とした土地で、ひとりきりで黙々と穴を掘り続けるシーンがあって、そこからすでに主人公のプレインビューがタダ者ではない感じが伝わってきます。その後彼は石油を掘り当て、巨万の富を手にすることになるのですが、才能があったとかラッキーだったとか、そういうスマートさはまったくなく、手段を選ばずに欲望を形にしていく。執念の力を見せ付けられる感じがします。
特に、彼の宿敵ともいうべき若き伝道師イーライとのやりとりは見もの。
強欲さのカタマリ、のような2人にはなかなか感情移入もしにくいのですが、観ているうちに、強欲、結構じゃないの? なんて刺激されるような気もする、ちょっとコワい映画です。
そしてこの映画、時間が158分だったり重厚なテーマだったりで、観終わるとかなりぐったりくるのも事実。そのあと大きな予定が入っている日は厳しいかもしれません。観るなら、メインイベントにして行くべし、です。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
監督・製作・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ディロン・フレイジャー、ポール・ダノ
(C) 2007 by PARAMOUNT VANTAGE, a Division of PARAMOUNT PICTURES and MIRAMAX FILM CORP. All Rights Reserved.
もう1本は『パーク アンド ラブホテル』
タイトルにあるとおりなのですが、舞台となる裏ぶれたラブホテルの屋上に小さな公園があって、老人や子供がそこで憩っている。その設定にまず惹かれます。
ホテルのオーナーは、無愛想な女性。演じているのはリリィさん。すみません、私は映画を観るまでリリィさんのこと、よく知らなかったのですが、とても素敵です。
毎朝ホテルの前をジョギングで通って、オーナーに挨拶している主婦が、ホテルでバイトさせて欲しいと頼むシーンがあるんですが、バイトに雇ってからは、それまでいつも感じよく挨拶していたオーナーが急にぶっきらぼうになる。それが、意地悪ではなくて、「身内だからこその無愛想な感じ」になっている。どこか突き放しつつ、ちゃんと見ていてくれる。こういう人がいたら、コワいけど関ってみたくなる。そういう意味で、オーナーと関わる女性たちの気持ちは共感できる気がします。
この映画は、「ぴあフィルムフェスティバル」のスカラシップ作品。過去には、『かもめ食堂』の荻上直子さんや、『運命じゃない人』の内田けんじさん、もうすぐ公開される『ぐるりのこと』の橋口亮輔さんもこのPFFスカラシップでデビューしているという、日本の若手監督の登竜門的な制度。注目の若手監督という意味でも、要チェックの作品です。
『パーク アンド ラブホテル』
監督:熊坂出
出演:りりィ、梶原ひかり、ちはる、神農幸、津田寛治、光石研
(C)PFFパートナーズ
そして、GWといえば、毎年恒例のイタリア映画祭もあります。明日から開催なので、開会式に参加できたらリポートしますね♪
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『時効警察』のコンビで映画!? 麻生久美子さんほか舞台挨拶 『たみおのしあわせ』 [2008年04月20日(日)]
これは、先週行った完成披露試写会なのですが。
なかなかレポートできず、もう週明け……。ということで慌ててアップしています。
左から、音楽担当の「勝手にしやがれ」リーダー、武藤昭平さん、大竹しのぶさん、原田芳雄さん、麻生久美子さん、岩松了監督、小林薫さん。オダギリジョーさんは仕事でブラジル、ということで欠席。残念。
監督は岩松了さん、主演はオダギリジョーさんと麻生久美子さん。
ドラマ『時効警察』シリーズでおなじみの2人です。
岩松さんによれば「オダギリさんと麻生さんというキャスティングを決めたのは『時効警察』が始まる前。オダギリさんからはOKいただいていたんですが、途中でこの話自体が流れそうになって、麻生さんまでオファーが行かなかったんです!」とのこと。
たしかに見慣れた2人ではありますが、この作品では『時効警察』とはまったく雰囲気が違います。
オダギリさんが演じるのは、真面目すぎて女性との付き合いは苦手な青年、民男。シャツのボタンはきっちり上まで閉めないと落ち着かないタイプです。父と2人暮らしの民男が父の上司の紹介でお見合いをし、出会ったのがヒロインの瞳。瞳は清楚な感じを漂わせながら、どこかワケあり風。『時効警察』の三日月しずかちゃんとは相当イメージの違う「謎の美女」キャラです。
麻生さんは「ワケあり美女」の瞳役。今回の作品について「セリフがステキなんです。岩松さんの書いたセリフは魅力的で、言うのが楽しみでした」とコメント。
記者会見でこの映画を作ったきっかけを尋ねられて「20年くらい前にテレビ局の人にドラマを頼まれて書いた同タイトルの話があるんですが、3ヶ月くらい書き直しをさせられた末、ボツにされてギャラももらえなかったという恨みがましい記憶があって、何とか形にせねばと思っていた」と答えたり、「映画が完成して、幸せ絶好調ですか?」という質問には「人生訓として、喜びが高じたときはなるべく喜びを抑えるようにしているので。実は嬉しいんですけど、表面上はそんなに嬉しくないような感じをとるのが、世間に対する礼儀だろうと思っています」と前置きしたあとで「でも嬉しいです(笑)」とコメント。
岩松監督の発言って、とぼけた風情が漂いながら、どこかホッとするような感じがあるんですよね。オダギリさんと原田芳雄さんが演じる父子の会話やしぐさの中にも、世間からは理解されない、でも2人だけにはわかる世界観みたいなものがあって、観ていて和みました。
とにかく登場人物がみな強烈に個性的。ドタバタシーンも、笑えてジーンとするシーンもたくさんあります。公開はもうすこし先ですが、チェックしていただきたい作品です。
(C) 2007『たみおのしあわせ』フィルムパートナーズ
ところで。
この夏は日本映画が充実しています。
今回の作品もそうですが、最近マスコミ試写会に行った日本映画は、どれもしみじみ、いいなぁと思える作品でした。
なかでもダントツに素敵なのが、橋口亮輔監督、木村多江さんとリリー・フランキーさん主演の『ぐるりのこと。』 と、是枝裕和監督、阿部寛さん主演の『歩いても 歩いても』 。あとはタナダユキ監督、蒼井優さん主演の『百万円と苦虫女』も甘酸っぱくドキドキしました。どれも、試写会場がすぐに満席になってしまう人気作品。公開はもう少し先になりますが、このあたりもマークしておいて損なし!です。
『たみおのしあわせ』
監督:岩松了
出演:オダギリ ジョー、原田芳雄、麻生久美子
7月シネスイッチ銀座ほか、全国順次公開
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歴史と女性たちに翻弄された天才 『ラフマニノフ ある愛の調べ』 [2008年04月19日(土)]
今日から公開の『ラフマニノフ ある愛の調べ』。
ラフマニノフって、ロシアの作曲家であること以外、本人についてはほぼ何の知識もなかったんですが、この映画、楽しめました。
クラシックファン向けの“音楽映画”というよりは「歴史と女性たちに翻弄された天才ラフマニノフと、その妻」というテーマの“恋愛映画”といったほうが、近いんじゃないかなと思います。
冒頭はNYのシーン。ロシア革命から逃れてきたラフマニノフが、カーネギー・ホールでの演奏会で大成功を収める。で、それを機にアメリカ国内を延々ツアーでまわっていくことになります。
彼の演奏はどこでも熱狂的に迎えられるし、待遇も悪くない(列車で移動するのですが、彼らが乗っているのはピアノつきの豪華なサロンのような特別車輌)。でも、本人は日に日に憔悴して、弾けないし、曲も書けない状態に陥ってしまう。
常に不機嫌でイライラしているので、そういう人ってこと?と思って観ていると、回想シーンに変わり、ロシアの時代に若き天才ピアニストとしての才能を認められ、大恋愛も経験するという、演奏家としても作曲家としても華やかで自信に満ちていた時代が描かれる。
その当時のロシアのシーンがどれも本当にきれい。ライラックの森や美しい庭園のあるお屋敷が登場し、女性たちは美しく野生的。こういう環境にいたからこそ、優雅でロマンティックな名曲が生まれたんだなあと思えます。それだけに、その後、ロシア革命の恐怖を経験して、国を捨ててアメリカに逃げてきた彼が、作曲できずに苦しむのは当然といえば当然。
結局、天才が天才として輝くには、いろんな条件が必要なんですね。ラフマニノフの場合は環境もそうですが、女たちの影響、そして妻の腹のくくり方が大きかったようです。アーティストの妻って、本当に大変……。
もちろんラフマニノフの曲も流れます。
恋愛と歴史と音楽がいいバランスで入っている作品。デート向きです!
『ラフマニノフ ある愛の調べ』
監督:パーヴェル・ルンギン
出演:エフゲニー・ツィガノフ
Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマほか全国公開中
(C) 2007 THEMA PRODUCTION JSC (C) 2007 VGTRK ALL RIGHTS RESERVED
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絢爛豪華なセットで繰り広げられる、ドロドロの愛憎劇 『王妃の紋章』 [2008年04月15日(火)]
もう公開されていますが『王妃の紋章』、すごい映画です。何がすごいかというと、その豪華絢爛なセットと衣装。「瑠璃」という光る柱が使われた宮廷内は七色に輝いていたし、金糸をふんだんに使った衣装はどれも豪華で、全編まばゆいほどにキラキラした世界です。登場する女官やら兵士やら王に仕える人数もとにかく多い。なにせ製作費は50億円! ケタ違いにお金のかかった映画です。
王家のファミリー。衣装がキラキラです。ピンクに光っている柱が瑠璃。この柱がズラリと並んだシーンも圧巻です。
ストーリーは中国史上、最も華やかな唐王朝滅亡後の時代を舞台に、宮廷で繰り広げられる愛憎劇を描いています。王と王妃の間は冷え切っていて、王妃は隠れて継子の皇太子と関係を持っていたり、王が王妃の健康のために毎日運んでくる「薬」が、実は「毒薬」だったりと、ドロドロした関係がつぎつぎに明らかになる……。
かなり人間関係はぐちゃぐちゃですが、話自体はとてもわかりやすいので、ちょっと昼のメロドラマを観るような感覚に近いかも。ちょっとあり得ないストーリーですけど、ハマるとスーッと入るこめて楽しめます。特に王妃役のコン・リーの演技が圧巻。毒と知りつつ薬を飲み続けながら、取り憑かれたように菊の刺繍を続けるようすは、狂気を帯びていてゾッとしました。
次第にカラダに毒が回りながらも毅然とした態度。コン・リーが王妃を熱演!
監督は、北京オリンピックの開会式・閉会式の総合プロデューサーを務めることになったチャン・イーモウ。前作の『HERO』『LOVERS』でも、戦闘シーンで広場に数えきれないほどの兵士がズラーッと並んで矢を放つ、といった壮大なシーンがありますが、この作品もしかり。しかも今回、広場には菊の花が敷き詰められていて、戦いが終わったあとは、あっという間に菊が新しいものに置き換えられていく。そういう描写にも王の権力の強大さが出ていたと思います。
戦闘シーンで言えば、忍者部隊に注目です。突然シュルシュルーっと現れて、動きがすばしっこい。登場シーンでは毎回意表を突かれるので、コワいんですけど面白い。アクション映画としても楽しめました。
『王妃の紋章』
監督・脚本:チャン・イーモウ
出演:チョウ・ユンファ、コン・リー、リウ・イエ、ジェイ・チョウ、リー・マン
東劇ほか全国公開中
(C)Film Partner International Inc.
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涙なしには語れない文芸大作 『つぐない』 [2008年04月10日(木)]
今月は、今年のアカデミー賞にノミネートされた話題の作品が次々に公開されますね。前回の『フィクサー』もそうですが、今日ご紹介する『つぐない』もそのひとつ。
イアン・マキューアンの小説『贖罪』を映画化したもので、キーラ・ナイトレイと、今年大注目のジェームズ・マカヴォイが、うっとりするほど美しいカップルを演じています。
華奢なキーラは何を着ても美しいのですが、特に鮮やかなグリーンのドレス姿がキレイ! ジェームズ・マカヴォイは最近『ペネロピ』にも出ていましたが、今回の役は真面目で誠実、という感じでこれがまたステキなのです。
彼らを観るだけでも映画館に足を運ぶ価値は十分!ですが、この映画で描かれているテーマはタイトルの通り「犯した過ちを償うとはどういうことなのか」ということ。
実は、かなりずっしりくる作品です。
イギリスの政府官僚の屋敷に生まれた長女セシーリアと、屋敷の使用人の息子・ロビー。惹かれあう2人の微妙な関係を理解できないセシーリアの妹、ブライオニーは、ロビーのことを誤解して、ある嘘をついてしまう。その結果、セシーリアとロビーは決定的に引き離されることになり、ロビーはそのまま戦場の最前線に送り込まれることに。
成長するにつれて自分の誤解に気づき、犯した過ちの大きさを思い知らされたブライオニーは、罪を償うために人生を捧げることになる。そして3人のその後は…、という話。
ちょっとした勘違いから、つい嘘をついてしまう、というのは誰の人生にもありそうな話。でもそれが取り返しのつかない結果を引き起こしてしまった場合、どうやって償ったらいいのか、どうしたら相手に許してもらえるのか……。
もし順調に進んでいたら輝かしい未来があった2人の、悲しい恋の行方を思うと胸が詰まりますが、罪の意識を抱えながら生きるブライオニーの人生を考えてもやっぱり胸が詰まってしまう。
泣ける話なんですが、結局、罪を償うってどういうこと? なんてことについてもすごーく考えさせられる映画。
ひとりで観るより、誰かと一緒に観て語りたくなる作品です。
『つぐない』
監督:ジョー・ライト
原作:イアン・マキューアン
出演:キーラ・ナイトレイ、ジェイムズ・マカヴォイ、シーアシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ
4月12日より、テアトルタイムズスクエア、シャンテ・シネほか全国にて順次ロードショー
(c)2007 Universal Studios. All Rights Reserved.
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最後までドッキドキの展開 『フィクサー』 [2008年04月08日(火)]
今年のアカデミー賞の作品賞ほかにノミネートされた作品。監督は『ボーン・アイデンティティー』シリーズのトニー・ギルロイ。ボーンシリーズも、息をつかせぬ展開にドキドキでしたが、『フィクサー』もそう。最初は何が起きているのかわからず緊張の連続ですが、ラストに向かってクリアになっていく。時間をさかのぼったり、相手側の立場からのシーンを入れたりして、だんだん全体像がつかめていく過程はかなり快感です。
ただし、扱っているテーマは「ボーン」よりリアル。巨額な薬害訴訟を抱えている巨大製薬会社がNY最大の法律事務所と契約して訴訟を有利に進め、いよいよ解決という段階になって、担当の弁護士が良心の呵責から、ある事実の暴露を決意する。その動きを察知した事務所側が社内のフィクサー(もみけし屋)に事態を収拾させる、というストーリー。
製薬会社の法務部長(ティルダ・スウィントン)、事実の暴露を決意した弁護士(トム・ウィルキンソン)、フィクサー(ジョージ・クルーニー)の3人の駆け引きがメインになるのですが、それぞれに精神状態がギリギリ。
なかでも印象的だったのが、ティルダ・スウィントンが演じる企業の法務部長。訴訟に負けたら3000億円の損出という立場に立たされ、最近部長になったばかりの彼女としては、絶対に失敗できないし、女がどこまでできるか的な意地悪な視線も感じたりして、そのプレッシャーたるや、常に脇汗びっしょり、なのです。
悪い人なんだけど、つい同情したくなってしまう。ピリピリ具合が尋常じゃない法務部長。この役で、ティルダ・スウィントンはアカデミー賞助演女優賞を受賞。
役柄的には悪い人なんですけど、ストレスとプレッシャーでおかしくなりそうな彼女を観ているとつい感情移入してしまう。この演技で、彼女はアカデミー賞の助演女優賞を受賞したのですが、それも納得です。
ジョージ・クルーニーが演じるフィクサー役も、社内では日陰の存在で出世できないうえに、従兄弟の莫大な借金を肩代わりしてイライラしているし、この映画の登場人物はみなどこか病んでます。で、実際にこういう世界って普通にありそうなところが恐ろしい。
大企業が腐敗しきっていたり、登場人物がストレスでどんどん病んでいく姿に批判的なメッセージがこめられつつも、ギリギリの状態にいる人たちだからこそ、とんでもない駆け引きになって、サスペンスとしても面白い。最後の最後まで、目が離せません!
『フィクサー』
監督・脚本:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン、シドニー・ポラック
4月12日より、日比谷・みゆき座ほかTOHO系で全国ロードショー
(c)2007 Clayton Productions, LLC
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浅野忠信さんのチンギス・ハーン、カッコいい! 『モンゴル』 [2008年04月02日(水)]
今日ご紹介するのは『モンゴル』。今年のアカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされたことで、主演の浅野忠信さんの現地入りが話題になっていた、あの作品です。
曲がった剣とか弓矢とか。武器はどれも大ぶりで戦闘シーンは激しく痛そうでした…。
浅野さんが主演ではあるものの、ドイツ、ロシア、カザフスタン、モンゴルの4カ国合作の作品で、監督は、ロシアのセルゲイ・ボロドフ。映画は全編モンゴル語。浅野さんはキャストでただひとりの日本人。しかもチンギス・ハーン役。主演です。
チンギス・ハーンを演じるのにふさわしいアジア系の俳優を探し回った監督が、ぜひ出てほしいとオファーをしたことがきっかけで、浅野さんは単身で中国に乗り込んだのだそう。実はこの映画、浅野さんが出演しているとはいえ日本での公開は未定で、今回のアカデミー賞ノミネートを受けて急遽公開が決まったといういきさつがあるのだとか。観終わって、日本で公開が決まって本当に良かったと思いました。浅野さん、本当に素敵なんです!
素敵といっても、普段の浅野さんから連想されるオシャレで洗練された感じからはほど遠く、ヒゲも髪もぼうぼう。冒頭の囚われのシーンでは、石化しているのでは?っていうくらいに肌もガビガビ。でも、それがテムジン(チンギス・ハーン)の荒々しさとカリスマ性を伝えていて、カッコいいと思えてしまうんです。
この映画のCMやポスターでは、恐そうな戦闘シーンが多いし、チンギス・ハーンって世界を征服した恐い人のイメージがあるので、浅野さんの話題以外ではあまり食指が動かないかもしれませんが(というか、私がそう…)、私はこの映画、壮大な恋愛ドラマとして観ました。子どもの頃に運命的な出会いをした2人が、どんなに仲を引き裂かれても互いを求め合う。テムジンも強いけれど、妻のボルテもそれを上回るくらいに屈強で、彼女の存在があったからこそテムジンは成功したんだということがよくわかる。演じるモンゴル人の女優さんもキリリとしていて魅力的です。
この夫婦、本当にタフ。妻あってのチンギス・ハーンってところもいいんです。
モンゴルの広々とした草原や乾いた土の感じも、映画の雰囲気を盛り上げていますが、あんなに何もない大自然の中で撮影をしたんだと思うと、撮影チームの中に単身で乗り込んで歴史上の大人物を演じたという浅野さんの挑戦が、改めてカッコいいなーと思える。
いろんな意味で元気になれる作品です。
『モンゴル』
監督:セルゲイ・ボドロフ
出演:浅野忠信
4月5日(土)より丸の内TOEI 1、新宿バルト9他にて全国ロードショー
(c) 2007 CTB FILM COMPANY/ANDREYEVSKY FLAG FILM COMPANY/X FILMECREATIVE POOL/KINOFABRIKA/EURASIA FILM.ALL RIGHTS RESERVED.
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