ヘビーな展開。でも美しい『パンズ・ラビリンス』 [2007年09月27日(木)]
最近は連休続きで、1週間が早いですねー。
先週末、公開中の『題名のない子守唄』を観てきました。『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督とはいえ、『マレーネ』ではかなり女性をいたぶるシーンもあったので、穏やかな気持ちでは観れないだろうと覚悟して行ったはずなのに、想像を上回る重たい展開に気分が沈み、コラムも書けずにおりました(これは言い訳ですね)。
でも、時間が経つと、ある女の一代記として凄みのある話だったなあと、ちょっと客観的にもなったりして。好き嫌いは分かれそうですが、いろいろと考えさせられる作品です。
今日ご紹介するのは、『パンズ・ラビリンス』。これもかなり凄みのある話です。
(c)2006 ESTUDIOS PICASSO,TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
写真を見ると、少女の幻想世界への冒険、みたいなイメージですが、ハリウッド映画のような明るく彩られたファンタジーではありません。親子でぜひどうぞ、とはとても言えないし、どちらかというと狂気ギリギリのファンタジー。でも、その暗さが魅力的で、すごく惹きつけられました。
舞台は1944年のスペイン。空想好きな少女オフェリアは、母親の再婚相手で独裁者フランコに心酔するヴィダル大尉の山荘に身を寄せる。大尉の子どもを宿した母親は日に日に衰弱、さらに、容赦なく村人を殺すような大尉の残忍さを感じ取り、オフェリアは不安と孤独でいっぱいに。そんなとき彼女の前に現れた妖精に「あなたは魔法の国のプリンセスに違いない」と言われて、オフェリアは空想の世界にのめりこむ。ところが空想の世界でも、自分がプリンセスだと証明するには3つの試練を克服しなければならず…、といった話。
幻想的な空想世界と、恐怖に満ちた現実世界が同時に進行して絡み合っていくのですが、どちらにも後には引けない怖さがある。でもそんなホラーな世界にいてなお、無垢であり続けるオフェリアの純粋さが本当に美しくて切ないのです。
目を背けたくなるシーンもあるし、グロテスクな生き物もいろいろ出てきますが、おとぎ話のワクワク感もある不思議な作品。
デートにはどうかなあ。気楽には観れないけど、一緒に行ったら強く記憶に残る作品になるはず。
『パンズ・ラビリンス』
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ、セルジ・ロペス、アリアドナ・ヒル
10月6日(土)より恵比寿ガーデンシネマ他にて全国ロードショー
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気さくなキャサリンに勝手に親近感!『幸せのレシピ』来日記者会見 [2007年09月20日(木)]
キャサリン・ゼタ=ジョーンズさんの来日記者会見に行ってきました!
セクシーでゴージャスなルックスはオンナの目から見てもうっとりするほどでしたが、会見ではとても気さくでまじめな印象。記者からの質問に、丁寧に答えていました。
シャツのボタンは3つ開け。
この堂々たるカンロクはさすがです!
今回『幸せのレシピ』でシェフの役を演じるにあたって、ふだん料理をしない彼女は撮影前に料理を猛特訓したそう。「得意ではなかったけど、腕が上がって、夫(マイケル・ダグラス)からは“7年かかってやっと一人前になった”と褒められた」なんて答えていましたが、ほかの質疑の中でも、夫と子どものことが話題に出ることが多かったのが印象的。美しさのヒケツも「家族がいて自分が幸せだから、内面から美しくなるのかも」なんて堂々と言っていて、好感が持てました。
25日に38歳の誕生日を迎えるキャサリンへ、バースデーケーキのサプライズが。喜んで、すぐにキャンドルを吹き消してくれたキャサリン。このリアクションも好感度大!
映画の話をすると、キャサリンが演じるNYの売れっ子シェフ・ケイトは、仕事一徹のカンペキ主義者。ところが、ワケあって姪っ子を引き取ることになったり、突然副料理長を名乗る男が厨房に現れたりで、これまでの生活のペースを変えざるを得なくなる。
戸惑いながらも、新しい生活を少しずつ楽しむようになって…というのがおおまかなストーリー。
仕事中心の生活を続けるあまり、恋には不器用だったり、子どもと無邪気に枕のぶつけ合いをするようなキャサリンって、これまでのセクシーゴージャス路線とはちょっと違うけれど、等身大のヒロイン的なキャラが意外にもしっくりと合っていました。特に、子どもとのシーンでは2人の息がぴったり。子役の演技もすばらしいのですが(この女の子『リトル・ミス・サンシャイン』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた天才子役ちゃんなのです)やっぱり母親の貫禄なのかも。
と、そんな感じで、ゴージャスセレブなキャサリンに対して勝手に親しみやすさを覚えてしまう作品&記者会見でした。
公開はもう少し先ですが、観終わってハッピーになれるのでデートにもぴったりです。
(C)2007 Waner Bros. Entertainment Inc-U.S.,Canada,Bahamas & Bermuda. (C)2007 Village Roadshow Films(BVI)Limited - All Other Territories
『幸せのレシピ』
監督:スコット・ヒックス
出演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン
9月29日(土)より 丸の内ピカデリー1 他全国ロードショー
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壮絶な人生に涙…『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』 [2007年09月18日(火)]
エディット・ピアフと言われても『愛の賛歌』で有名な伝説的シャンソン歌手、くらいのイメージしか持っていなかったんです。実は。で、この映画を観て、彼女の出生から晩年までの波乱続きの人生に圧倒されました。
(C)2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION
OKKO PRODUCTION s.r.o.- SONGBIRD PICTURES LIMITED
路上で生まれ、娼館で育てられ、視力を一時期失い、その後は路上で歌って稼ぐようになる。歌唱力を認められてからも順調にキャリアが進むわけでもない。いつもギリギリのところで生き抜く道を探してきた少女時代について丁寧に描かれているので、大人になった彼女が持つ、肝の据わり方や信仰心の篤さはそういうところからきているんだ、とごく自然に理解できます。
20代から晩年までのピアフを演じているのは、マリオン・コティヤール。彼女の素顔を見ても全然ピアフには結びつかないくらいのなりきりぶりです。ちょっと鼻がつまったようなしゃべり方やヒョコヒョコと歩く姿もピアフのイメージどおり。歌の部分は、大部分は録音されたものをかぶせているそうですが、息遣いがまるで一緒なので違和感がなくて、資料を読むまではピアフの歌声まで習得しているのかと思ってました。
よく知られている曲も流れますが、そこにこめられた意味がわかるので、まったく違って聞こえてきます。
特に、ラストに流れる「水に流して」という曲。
いいえ、ぜんぜん
いいえ、私は何も後悔していない
私に人がしたよいことも
悪いことも
という歌詞はまさにこの映画の締めくくりにぴったりの説得力。
「いいえ、ぜんぜん」と言い切る強さが、ピアフのカッコよさですね。
『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』
監督・脚本 オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール、ジェラール・ドパルデュー、エマニュエル・セニエ
9月29日より、有楽座ほか全国ロードショー
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この秋、たそがれるなら『めがね』 [2007年09月16日(日)]
フィンランドを舞台にした『かもめ食堂』のスタッフとキャストが、こんどは南の海辺で作った作品が『めがね』。
まず、タイトルがシンプルすぎてストーリーが想像できず、チラシのビジュアルも主演の5人が片足挙げて踏ん張っているような何やら不思議なポーズ。これは気になりますよね。マスコミ試写会も、ものすごい混雑ぶりでした。ちなみにこのポーズは、「メルシー体操」といって、もたいまさこさんが演じるサクラさんが作ったもの。テキパキした体操でもなく、太極拳ほどためた動きでもない。手足をブラブラさせたりカラダを揺らしたりして、自由な感じがこの作品のテイストにぴったりです。
これがチラシのメルシー体操
ケータイも通じない、観光名所もない南国の海辺。やることといえば、たそがれること。
大きなスーツケースを抱えてやってきたタエコ(小林聡美)は、宿ではそっけなく出迎えられ、何もないところに放っておかれることに最初は戸惑うけれど、しだいにそこにながれるリラックスした空気になじんでいく。
タエコを迎える宿の主人・ユージ(光石研)と、そこをたびたび訪れる高校教師・ハルナ(市川実日子)。2人が信頼を寄せる、謎の女性・サクラ(もたいまさこ)とタエコを追ってやってくる青年・ヨモギ(加瀬亮)。それぞれにどんな過去があるのかは語られず、お互いに干渉もせず、ほどよく距離感を保ちながら同じ空間にいることがほんとうに居心地よさそう。
それは、そこにいるメンバーそれぞれが「たそがれること」を大切に思っているからなんだろうということが、薬師丸ひろこが演じる役が中盤に出てくることで、強く実感できるのです。
食事が美味しそうなのもこの映画の特徴。シャケと玉子焼きのごくごくふつうの朝食が食欲をそそります。下の写真のえびにかぶりつくシーンも、かなりそそられました。
こういう映画を観ると、ふらりとどこかに行きたくなります。たそがれ休暇、取りたいなあ。
(C)めがね商会
『めがね』
監督:荻上直子
出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ
9月22日(土)よりテアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマ、シネセゾン渋谷ほかにて全国ロードショー
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Posted at 23:52
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オンナ友達と
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監督と主演の関係にジーンとくるドキュメンタリー『ミリキタニの猫』 [2007年09月09日(日)]
昨日から公開の『ミリキタニの猫』を、渋谷のユーロスペースで観てきました。
チケットと一緒にもらったハガキ
「ミリキタニ」というのは日系アメリカ人の「三力谷(みりきたに)」さんのこと。
ニューヨークの路上で絵を描いて生活していたミリキタニ氏に声をかけ、猫の絵を買おうとしたところ、お金は要らないから写真を撮ってほしいと頼まれて、写真を撮る代わりに映像を撮ることにしたというのが、監督のリンダ・ハッテンドーフさんがこの映画を撮ることになったきっかけ。
その後、911のテロがあり、路上で生活することが危険だと感じたリンダさんは、自宅のスペースをミリキタニ氏に提供する。そこで2人(と猫一匹)で生活するなかで、実は彼が広島で育ったこと、戦争中に強制収容所にいたことがあることなど、歴史に翻弄された過去が少しずつ明らかになってくる。
この映画の面白いところは、なんとなく撮り始めた作品だという気負いのなさ。が、その撮影中に911があり、それに触発されるようにミリキタニ氏が戦争体験の話をはじめ、彼の親族が見つかり…と、作品自体はどんどんドラマティックに展開していくんですよねー。
それにしてもリンダさんの行動力がすごい!
その才能に興味を持ったとはいえ、ホームレスのおじいさんを一人暮らしの自宅に住まわす、という決断にまずびっくり。しかも食事の世話をしたり、彼の親戚が生存しているかどうかを調べたりと、家族のように彼の世話を焼くところが、エライのです。
リンダさんの帰宅時間が遅いとミリキタニ氏が心配して怒り出したり、レンタルビデオショップに一緒に行ってサムライ映画を探すようすは、まるで孫とおじいさんのような関係。監督と主演ということではない、2人の信頼関係が伝わってきます。
映画のサイトには、ミリキタニ氏が映画のプロモーションで来日したときのレポートがありました。挨拶の代わりにいきなり歌を歌いだしたりして、映画同様、型にはまらないカッコいいおじいさんなのでした。
『ミリキタニの猫』
ユーロスペースほか、全国順次公開中
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ダイアン・キートンにホレボレ 『恋とスフレと娘とわたし』 [2007年09月05日(水)]
ダイアン・キートンの最新作。数年前に出演していた『恋愛適齢期』では、50代になっても相変わらずおしゃれでステキな彼女の姿にホレボレしましたが(ヌードまで披露していて、カッコよかった!)、本作でももちろんそれは健在。かえって、若い頃の「インテリ美人」というイメージに、年齢ゆえの余裕というべきお茶目さが加わって、ますますステキになっているような気がします。
(c)2006 Gold Circle Films LLC All rights reserved.
ストーリーは、若くして夫と死別して3人娘を育て上げ、スイーツショップを経営するダフネ(ダイアン・キートン)が、恋人に恵まれない末娘ミリー(マンディ・ムーア)の行く末を心配して、ミリーに隠れて恋人を募集する、といった内容。
ミリーもほかの娘たちもそれぞれかわいいのに、どのシーンも、ダイアン・キートンに目がいってしまう。センスのいいファッションとチャーミングなしぐさや表情。これはどうしたって、出てくる男性がみんな娘よりも母親に惚れるんじゃないかとハラハラするくらい。実際、自分の母親がこんなことになってたら、娘としては困るだろうなあ。
とまあ、べつに修羅場に発展するような話ではないのですが、母と娘がお互いに素直になれずにギクシャクするような関係がリアルに描かれていて、観ていてジーンとくる場面も多々ありました。女どうしで親友みたいな関係、なんて言ってみても、やっぱり母と娘って特別なつながりがあるんですよね。
女性たちがみんなキラキラしているのに比べると、男性陣の印象がちょっと薄かったのが残念でしたが、観終わって、ハッピーになれる作品。
デートにもオススメですが、母親を誘って行くっていうのもいいかも。ちょっと照れくさいですけどね。
『恋とスフレと娘とわたし』監督:マイケル・レーマン
出演:ダイアン・キートン、マンディ・ムーア、ガブリエル・マクト、トム・エベレット・スコット
シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国にて公開中
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