思わず応援したくなる! 『オフサイド・ガールズ』 [2007年08月30日(木)]
さて、この写真に男子は何人写っているでしょうー?
正解は、ひとり。一番左の兵士の彼。あとはみんな女の子なんですねー。
『オフサイド・ガールズ』は、イランのサッカーファンの女の子たちが、男装してスタジアムに紛れ込む、というお話。
イランでは、女性がスタジアムで男性のスポーツ観戦をすることが法律で禁じられているんです。
でも、女だからってテレビ観戦だけじゃイヤ! というサッカーファンの女の子はもちろんいるわけで。彼女たちが考えたのが、男装、というわけ。
うまく潜入できる子もいれば、バレちゃう子もいて、捕まった少女たちが連れて行かれるのが、スタジアム脇の仮設留置所。スタジアムからの歓声は聞こえるけれど、試合の様子は観られない。そんな状況にたまらなくなった彼女たちは、見張りの兵士に抗議したり、中継をせがんだり…。
イランの女性問題を扱う映画、と言ってしまうと、ちょっと重苦しい感じがするけれど、この映画はそういう重たいテーマだってことを忘れてしまうくらい楽しい作品。
どうしても試合を観るんだ、という決意をもった少女たちは、みんな元気ですがすがしい。
最初は、どう見ても男子でしょ? って感じだったのが、後半はそれぞれのキャラクターが立ってきて、やっぱり女の子に見えてくる。
プロの役者さんはいないそうですが、試合の行方に一喜一憂してキャッキャッとはしゃぐ感じとか、本当に試合が観たいんだなーというのが伝わってきて、こっちも何とかしてあげたい、って気になりました。
この映画、ドキュメンタリーではないんですが、スタジアムなどでは一部リアルなシーンを使っている。イランの人もこうやって応援するんだー、とか、街が大騒ぎになると、こんな感じなんだー、とか。それも新鮮でした。
サッカーシーンはほぼゼロでしたけど(!)、思いがけない展開が多くて、試合を見たように興奮できました。面白かった〜。
『オフサイド・ガールズ』
製作、編集、監督:ジャファル・パナヒ
脚本:ジャファル・パナヒ ジャドメヘル・ラスティン
9月1日(土)より、日比谷シャンテ シネほか全国順次ロードショー
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意外な展開にドキドキ! 『厨房で逢いましょう』 [2007年08月26日(日)]
これは、昨日から公開されている作品。
「孤高の天才シェフが、平凡な主婦に恋をした。『あなたに食べてほしい。ただ、それだけ』。彼の想いは料理に注がれ、その味は人々の舌と心をとろかせてゆく…」
チラシに書かれているこのコピーを読んだときは、穏やかで心温まるラブ・ストーリーなんだろうなーと思っていたのですが、観てみたら、かなりイメージが違ってて、思わず「えーっ!?」と声をあげてしまうシーンも。
予想のつかない展開が、この映画の面白さだと思います。
料理の腕は超一流。でも、他人とのコミュニケーションが苦手で、ひとり黙々と料理の研究に励む、変わり者の天才シェフ・グレゴア。主婦エデンに恋をしたものの、彼のとる行動は、彼女へ美味しい料理を創ってあげるということだけ。その一途な想いが、彼のレストランの評判をさらに高めることになっていくのです。
観ているほうが、じれったくて切なくなるような、超プラトニック恋愛なのですが、後半、主婦エデンの天真爛漫ぶりが加速して、周囲を傷つけはじめるあたりから、展開が変わってきて、ラストまで勢いが止まりません。
監督のインタビューによると、この映画を撮ろうとしたいきさつは、シェフのグレゴアを演じた俳優、ヨーゼフ・オステンドルフさんを起用したかったから。さらにこのオステンドルフさんが、美食にお金を惜しまない人だから。そこからスタートしているだけあって、シェフ役が本当によかった。かっこいいわけではないけれど、この人の料理なら美味しそうだという説得力がある。ほどよく太ってるから、というのもありますけどね。
波乱があるとは言っても、デートで気まずくなるような展開ではないので、ご安心を。
登場する料理はどれも本当に美味しそうなので、観終わって食事に行くにはおすすめの作品です。
『厨房で逢いましょう』
監督:ミヒャエル・ホーフマン
出演:ヨーゼフ・オステンドルフ、シャルロット・ロシュ、デーヴィト・シュトリーゾフ
Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開中
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『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』完成披露試写会&舞台挨拶 [2007年08月22日(水)]
昨日になりますが、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の完成披露試写会に行ってきました。
上映前の舞台挨拶は、ご覧のとおりのゴージャスなメンバーが登壇。
左から安藤政信さん、佐藤浩市さん、伊藤英明さん、桃井かおりさん、主題歌を歌う北島三郎さんと三池崇史監督
この作品、「和製ウエスタン」ということで、話のベースになっているのが平家物語と西部劇。さらに、キャストがみんな日本人なのに、(クエンティン・タランティーノさんが出てますけどね)全編セリフが英語という、「和製洋画」であったりもするのです。
日本人が演じているのに字幕に頼る映画って、不自然では? と思ったのですが、冒頭こそ違和感あったものの、話が進むと、あまり気にならなくなりました。衣装やセットも平家とウエスタンが絶妙にマッチしていて、カッコよかった。
東北の山村の雪景色の中で、二丁拳銃あり、日本刀あり、というシーンに三池監督の美学を感じました。
舞台挨拶では、三池監督に「出演メンバーをすき焼きの具にたとえて」という質問があり、監督は、桃井さんは絹ごし豆腐、佐藤さんは白菜、安藤さんはお醤油、伊藤さんは春菊、と答えていましたが、映画を観ると、なるほどと納得。
みなさんもこのたとえ、覚えておくとちょっと笑えると思います。
昨日は、主演のガンマン役、伊藤英明さんの取材もしてきました。
こちらの内容はまた改めて紹介しますので、どうぞお楽しみに〜。
(c) 2007 Sukiyaki Western Django film partners
『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』
9月15日より渋谷東急ほか全国ロードショー
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中国の今の空気がここに! 『長江哀歌』 [2007年08月17日(金)]
明日から公開になる『長江哀歌』。
昨年のベネチア国際映画祭で、グランプリの金獅子賞を受賞した作品です。
舞台となるのは、中国・長江の三峡ダムの建設地。
このダムというのが、実際にいま建設中のもので、2009年に完成すると、貯水量も発電量も世界最大になるのだそう。
貯水量で言うと、日本最大の奥只見ダムの65.5倍!
2倍とか3倍ならイメージもできますが、65倍って…。想像の域を越えてますよね。「万里の長城」に続く国家レベルのプロジェクトというので、とんでもない規模であることは確か。
このダム建設で、130万人以上の人たちが移住を強いられるというのも、規模の大きな話。さらに、三峡は、「三国志」の舞台であったり、山水画に描かれたような歴史のある土地なので、多くの遺跡がダムの底に沈むことになるわけで…。
ダム建設にまつわる話だけでも、ドキュメンタリー映画が何本も作られそうですが、この映画は、ドキュメンタリーではなく、ダムの完成とともに水没していく都市を舞台に、そこに生きる人々の物語を描いています。
16年前に別れた妻子に会うために、ダムに沈む街にやってきた炭鉱夫、サンミンは、日雇いのビルの解体作業で生計を立て、安宿で暮らしはじめる。そこで彼が出会うのは、チンピラの青年や、工場の事故で働けなくなった夫を支える宿の女主人など。
社会的には弱い立場の人ばかりですが、それぞれにたくましく生きている。いつもランニング姿のサンミンはじめ、カッコいい人は皆無ですが、かえってそれで親近感を覚えてしまうんですよねー。
最初はさえない無口なおっちゃんにしか見えなかった、サンミンの人生のドラマが、物語が進むにつれて少しずつ明らかになってきて、すごく感情移入しちゃいました。
『長江哀歌』(ちょうこうエレジー)
監督・脚本:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、ハン・サンミン
8月18日よりシャンテ シネ ほか全国順次ロードショー
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『クワイエットルームにようこそ』完成披露試写会で、松尾スズキさん舞台挨拶 [2007年08月14日(火)]
もう、先週の話になってしまうのですが、秋に公開される映画『クワイエットルームにようこそ』の完成披露試写会の場で、原作者であり監督でもある松尾スズキさんの舞台挨拶がありました。
松尾さんは、舞台に映画、テレビ、小説、雑誌連載と、多忙なあまり体調を崩して、しばらく休養中だったのですよね。久しぶりに登場した第一声「元気です!」を受けて、司会の方が「お元気そうで何よりです」と答えていましたが、ほんとうに「何より」です。会場全体からも「何より!」とコールが聞こえてきそうなくらい、来ていた人たちみんなが松尾さんをあたたかく見守っている空気を感じました。
今回の映画に対する意気込みとして「1作目は『映画を壊してやろう』という意気込みがあったけれど、2作目になって『映画を撮ってやろう、映画を作ろう』という気になった」と言っていた松尾さん。前作『恋の門』は、たしかに「映画界に挑戦状!」的なテンションの高さでしたが、今回はじっくり見せるタイプの作品。
28歳のライター明日香が、閉鎖病棟に入院させられ、そこで過ごした14日間を描いたストーリーなのですが、明日香と患者たちの抱える問題はそれぞれに重たくて、ちょっと『カッコーの巣の上で』を思わせる内容。松尾スズキテイストのコメディタッチの要素が散りばめられているので、つい笑いながら観ちゃいましたけどね。
9年ぶりに長編映画主演という、内田有紀さんをはじめ、蒼井優さん、大竹しのぶさん、そしてクドカンなど、キャストもよかった。映画を観るまでは、原作の明日香のイメージと、内田有紀さんがつながらなかったのですが、みごとにハマッてました。
『クワイエットルームにようこそ』
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ジョージ・クルーニーがフレディ・マーキュリーに!? 『オーシャンズ13』 [2007年08月09日(木)]
いよいよ明日から公開ですね。『オーシャンズ13』。
街中でも大きなポスターをよく見かけますが、あの、オーシャンたちの顔がズラーッと並んでるバージョンは、いつも立ち止まってジーッと見てしまう。
3作目で、メンバーのキャラがそれぞれわかっているからなのか、全体が3Dっぽい感じだからなのか。不思議です。
さて、写真は、先週行われたジョージ・クルーニーの来日記者会見のようす。
プロデューサーのジェリー・ワイントローブと
記者会見では、開口一番、「ブラッド・ピットです」と発言していたジョージ・クルーニー。
冗談とも本気ともつかないコメントが続くなか、お笑いコンビ「ダイノジ」の二人が、「トラ」の顔がデカデカとプリントされたセーターを見せて、「ダンディーなジョージから見て、この服はキマってるか」と質問してからは、ジョークが加速。
以降は、コメントのたびに「タイガー」をからめてました。
これって、お笑い芸人トークのようでは? と思っても、サマになる。むしろ、クールに見えるところが、さすが!です。
話を映画に戻すと、今回のストーリーは、ラスベガスのカジノ経営で騙された仲間の仇を討つためのリベンジ作戦。
お楽しみは、オーシャンズ・シリーズおなじみの、メンバーの変装パフォーマンス。
記者会見では「今回は、フレディ・マーキュリーをイメージしていて、気に入ってる」と自ら発言していましたが、たしかに、映画中盤でフレディ・マーキュリーにそっくりなジョージ・クルーニーを発見! ほんの一瞬でしたので、お見逃しなく。
ほかにも、ブラピのヒッピースタイルに、マット・デイモンの付け鼻。どの変装も、設定上必要だったというよりは、本人が好きでやってるのでは? と思わせるほどの凝りよう。
大掛かりなリベンジ作戦はどれもスカッと楽しくて、わかりやすいのがいいところ。最後のオチまで裏切りません!
(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc - U.S., Canada, Bahamas & Bermuda.
(C)2007 Village Roadshow Films (BVI) Limited - All Other Territories
『オーシャンズ13』
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンほか
8月10日より丸の内ピカデリー1ほか、全国ロードショー
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忘れてはいけない『ヒロシマナガサキ』のこと [2007年08月08日(水)]
今日ご紹介するのは『ヒロシマナガサキ』。
今週はテレビでも、特集番組が組まれていたり
週末は『はだしのゲン』のドラマが放映されるなど、
戦争や原爆について考える機会が多い時期。
とはいえ、終戦からすでに62年が経過していて、身の回りには体験者がほとんどいない、ということも事実ですよね。
この映画は、渋谷にいる10代の女の子たちに、1945年8月6日に日本で何があったかを聞いても誰も答えられない、というエピソードから始まります。
日本人であれば当然知っている話ではなく、ほうっておくと、どんどん風化してしまう。そのことが、まずショックでした。
「ヒロシマ・ナガサキの事実を伝え、核の脅威を世界に知らしめる」ために、25年という歳月をかけ、500人以上の被爆者に取材をして、この作品を作ったのは、スティーヴン・オカザキ監督。日系三世のドキュメンタリー作家です。
14人の被爆者の証言と、爆撃に関与した4人のアメリカ人の証言を中心に構成されていますが、特徴的なのは、原爆の威力とか、政治的な背景、といった説明はほとんどなく、それぞれの個人的な体験を、淡々と紹介していること。
原爆のすさまじい威力を目撃してしまったこと。
戦後も、被爆者に対するひどい差別に苦しんできたこと。
アメリカから医師や研究者がやってきても、まったく治療をしてもらえずに、研究対象として扱われたこと。
ひとつひとつの体験から見えてくるのは、被爆によって経験した、肉体的にも精神的にも想像を絶する苦痛。
広島、長崎で何が起きて、それからの人生がどうなったのか。
音楽や再現シーンなどによる過度な演出はありませんが
被爆者の方々の静かな語り口が、忘れられません。
ヒロシマ・ナガサキを知らない世代がいることもショックでしたが
ヒロシマ・ナガサキについて、自分が知っているつもりでいたことが、実は、表層的な部分だけだったのかもしれない、ということもショック。
風化させてはいけないテーマだとあらためて思いました。
『ヒロシマナガサキ』
監督:スティーヴン・オカザキ
岩波ホールにて公開中
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『インランド・エンパイア』公開で、裕木奈江さん凱旋帰国 [2007年08月03日(金)]
今日は、公開中のデヴィッド・リンチ監督の最新作『インランド・エンパイア』のためにロスから緊急凱旋帰国した、裕木奈江さんの舞台挨拶に行ってきました。
裕木奈江さんといえば、『北の国から』シリーズの、はかなげな役のイメージしか浮かばないのですが、その頃とはずい分変わって、強くたくましい印象。
彼女は、2004年にギリシャに留学。その後、アメリカに渡り、昨年公開の『硫黄島からの手紙』、本作品と立て続けに映画に出演しています。
記者会見は何年か振り、とのことで緊張しているようすでしたが、「アメリカでは、オーディションには落ちるのが日常ですから、悩んだり悲しんだりしていられません」ときっぱりコメントしていた彼女。今後は、中国人、アジア人の役にも挑戦したいと意欲的でした。
彼女の役は、ラストのほうに登場する、ホームレスの女の子。
長いセリフを延々としゃべり続ける、不思議ちゃん的なキャラクターを演じています。
彼女が出演しているのを知らなかった私は、この女優さん気になるなあと思って観ていたら、ん? 裕木奈江? こんなキレイな人だったっけ? と驚愕。
本人がキレイになったことに加えて、デヴィッド・リンチ監督の映像の中では、女性がみな魅力的に見えるという、リンチ・マジックの効果でしょうか!?
話を映画のほうに戻すと、
『インランド・エンパイア』は3時間という、とても長い作品です。
街の実力者と結婚して豪邸で暮らす女優ニッキー。彼女が女優としての再出発をかけて新作の映画に臨むところから話が始まります。実は、その映画というのは、未完に終わったポーランド映画のリメイクで、未完に終わった理由は、主演の2人が殺されたから…なのですが、しばらくたってから、ニッキーはそのことについて聞かされます…。
と、このあたりまでは、付いていけたのですが、突然に「ウサギ人間」がリビングでくつろぐシーンがはさまれたり、ポーランドの映画のシーンが出てきたり。時間と空間がねじれてきて、途中からはストーリーを追うのはほぼ不可能になってしまいました。(私だけ、かもしれませんが…)
話を理解することを放棄して、自由に映画を観たらいいってことなのかもしれません。
ひとつ、私の提案としては、「まどろむような感じで観る」。
この映画は、ストーリーを追っても追えないので、うとうとしながら観るのがいいかも。脈絡なく場面が変わる映像は、本当に夢を観ているような錯覚を起こすほど。
ただし、ラストシーン近くになって突然、雰囲気がガラリと変わって明るくなります。ここは、観ているだけでワクワクして、気持ちが高揚してくるので、うとうともしていられない。
晴れやかで、豪華なラストシーンです。
インランド・エンパイア
監督:デヴィッド・リンチ
出演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン、ジャスティン・セロー、カロリーナ・グルシュカ 、スコット・コフィ
恵比寿ガーデンシネマ、梅田ガーデンシネマにて公開中
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