インドとアメリカに生きる家族の大河ドラマ『その名にちなんで』 [2007年12月23日(日)]
|
いよいよクリスマスですね。今日も、心温まるお勧めの映画を。
ミーラー・ナイール監督の『その名にちなんで』です。 ![]() インドで見合い結婚をしたカップルが、アメリカに移住して家族を作り上げていくようすを30年にわたって描いた物語。原作は、ピュリッツァー賞受賞作家、ジュンパ・ラヒリのベストセラー小説です。彼女はアメリカで生まれたインド系移民の2世で、2つの文化の間に生きる自身の体験からこの小説を執筆。同じようにインドからアメリカにわたって活躍しているナイール監督は、この作品を読んで自分のことのように感じ、そこから映画化の話が始まったのだそう。 タイトルの『その名にちなんで』というのは、主人公のアショケ・ガングリーが息子に「ゴーゴリ」という名前をつけた由来から来ています。とても感動的なエピソードなのですが、この映画の面白さは、ガングリー一家の家族の人生を見つめることにあると思います。 学生時代に出会った老人に「外国に出て世界を知るべき」と言われ、インドを飛び出したアショケ、インドに一時帰国した彼と見合い結婚をして、何もわからないままニューヨークでの新生活を始めることになった、妻のアシマ、ニューヨークでインド系2世として生まれ、アメリカ社会に生きる、息子のゴーゴリと娘のソニア。2つの国への関わり方が違うので、家族の中でもインドとアメリカに対する思いがそれぞれに違うのです。 たとえば、ニューヨークに暮らしても、サリーを着てインド人社会の付き合いを大切にしている母親に対して、息子たちはファッションもライフスタイルも普通のアメリカ人と同じ。息子のガールフレンドに「アシマ」とファーストネームで親しげに呼ばれてギョッとするエピソードとか、日本人に置き換えてもありそうで、なるほどと思ってしまいました。 ![]() こういう問題って、国際結婚をしたり、移民として生きる家庭には常に起こっているんですよね。自分の子どもが流暢に外国語をしゃべって、自分よりずっと簡単にその国になじんでいくのを見るのって、母親としてはどんな気持ちになるんでしょうか。いっぽうで、生まれた国でふつうに暮らしていても、顔つきから外国人として扱われることってどんな気持ちなのか。 この映画は、2つの国に挟まれたアイデンティティの問題について考えるきっかけにもなると思います。 ガングリー一家の30年の歴史。ラストになる頃には、勝手にこの一家を見守ってきたような気になって、とても感慨深い気分になりました。大河ドラマを1本観終わったような満足感です。 『その名にちなんで』 監督:ミーラー・ナイール 出演:タブー、イルファン・カーン、カル・ペン シャンテ シネほか全国順次公開中 |





