MOVIE HUNETER

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救われない話。でも、ずっしり残る『その土曜日、7時58分』 [2008年10月15日(水)]
 
今日は恵比寿で仕事があって、帰りにガーデンシネマの前を通ったら『その土曜日、7時58分』の上映時間が近かったので、観てきました。
フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークというキャストが気になっていたんですが、公開前にはチェックできなかったんですよね。今日はサービスデーで1000円で観られたのもラッキーでした♪

隣のスクリーンでは『トウキョウソナタ』が上映中。偶然でしょうが、どちらも壊れてゆく家族の話。『トウキョウ…』は最後に希望の光が差しますけどね

この作品、かなり重たいサスペンスです。
NY校外の宝石店に男が強盗に入り、店番をしていた老婦人が男の隙を狙って発砲。撃ち合いの末、どちらも死亡する。実はその強盗を計画したのは、なんと老婦人の2人の息子?!

スマートに見える兄のほうは裏で会社の金を横領、いかにもいい加減に見える弟のほうは別れた妻に娘の養育費を請求されていて、2人ともにお金が必要だったので、両親の宝石店なら盗んでも保険が下りて誰も損をしないと考えたんですね。ところが予期せぬ発砲で、読みがみごとに外れ、家族の運命が狂い出すことに……。

まず、時間軸と登場人物の視点をうまくずらしながら語られる手法にぐいぐいと引き込まれます。そして兄弟の演技にも。

フィリップ・シーモア・ホフマン演じる兄のほうは常に冷静でクール。イーサン・ホークが演じる弟のほうは気が弱いのに見栄っぱりのダメダメタイプ。最初のうちは、明らかに弟が足を引っ張る形に見えるのですが、後半、彼ら家族の中にある根本的な問題が明らかになって、強盗の問題とは別の深い闇が見えてくる。特に兄のほうが狂気を帯びてくるんです。



うーん、物語が進むにつれてどんどん重苦しい空気になっていくのですが、最後の最後まで目が離せません。兄と弟の駆け引き、それと後半重要になってくる父親の役割と演じるアルバート・フィニーの迫真の演技。この3人を観ているだけで息が苦しくなりそう……。

監督は、シドニー・ルメット。あまり聞き慣れないかもしれませんが、ちょうど最近リメイク作品が公開された『十二人の怒れる男』のオリジナルを撮った監督です。

実は私はルメット監督の作品は1本しか観たことがなく。それは『狼たちの午後』なのですが、強烈な印象でした。いい話に転じそうで、結局は甘くないと思い知らされる。うまいことまとめよう、という終わり方ではなかったのがインパクトありました。強盗役で出ていたのが若きアル・パチーノ。DVDで観るチャンスがあれば、ぜひチェックしてください。

で、ルメット監督、現在84歳になられたそうですが、今でもこんなに容赦ない作品が撮れるなんて、ものすごいエネルギーだなあと思います。

なんでこんな辛い話をわざわざ観るかな、という意見もありそうな作品ですが、ずっしり残りました。社会派映画好きの方にはおすすめです。

『その土曜日、7時58分』
監督:シドニー・ルメット
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、アルバート・フィニー、マリサ・トメイ
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プロフィール
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ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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