ヴェネチアW受賞も納得! 『ヒミズ』
2012年1月20日(金) 16:03
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すでに公開しているのですが
試写会で見逃したので、劇場で鑑賞しました。
なんだかすごいモノを観てしまった、というのが正直な感想。
観終わってしばらく興奮状態が続きました。
 このポスターを最初に見たときは、ホラーっぽい作品かな?と思ってあまり惹かれなかったのですが、いま改めて見ると逆にドキドキするビジュアルです。カテゴライズするなら、ホラーではなく、青春映画でしょうか。タイトルの「ヒミズ」というのは「日不見」と書いて、モグラを指すのだそうです。
主人公は15歳の中学生、住田くん。
両親が経営するボートハウスに暮らす彼は、
普通の人生を送りたいと考えているのに
母は別の男性と家を出てしまい、父はたまに帰ってきては息子に暴力を振るう。
さらに父の作った借金を、闇金業者に取り立てられることにも……。
クールな住田くんに憧れ、住田語録を作って部屋に貼るなど
本人に煙たがれながらも、常に住田くんを追いかけまわすのが同級生の茶沢さん。
明るく元気いっぱいな彼女も、実は家庭に大きな闇を抱えていて。

もう何にも期待しない、といわんばかりの、
人生を達観したような表情の住田くんですが
そんな彼を素の中学生の顔に戻すほど動揺させる事件が、さらに起きて
深い絶望の中に突き落とされてしまう。
住田くんを演じているのは染谷将太さん。
この映画は彼と、茶沢さんを演じた二階堂ふみさんの演技が全てと言ってもいいかもしれません。
感情を爆発させたり、本気で取っ組みあったり。
とくに染谷さんが見せる表情の数々に引き込まれました。
極限まで追い込まれたときに見せる表情はゾクッとするほど怖くてリアルで。
昨年のヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞をW受賞したというのも納得です。
深く絶望した住田くんが選んだ道はなんだったのか。
映画の前半、中学校の担任教師が半ば彼をバカにしながら
「住田、夢を持て」「住田、がんばれ」と言うシーンでは
「夢」とか「がんばれ」って、なんて薄っぺらい言葉なんだ、と感じるのですが
後半、茶沢さんが「住田、がんばれ」と言うシーンでは、素直に泣けてしまう。
思わず観ているほうも「住田、がんばれ」と口をついて出そうになりました。
監督の園子温さんは、この作品を撮るにあたり
東日本大震災の後、脚本を大幅に変更したのだそう。
映画には、津波で被害を受けた地域の映像も出てきます。
まだ、冷静な気持ちでは見られないのですが、
抗えない力に流されて呆然とするしかない、という登場人物の感情が伝わってきました。
軽い気持ちでは観られないタイプの作品ですが
何か訴えかけてくるものがあると思います。
まずは、予告編を見てみてください。
 窪塚さんのこの役、合っていました。吉高由里子さんもちょっとだけ出演。周囲を固める役者さんも、個性派ぞろいです。
『ヒミズ』
監督・脚本:園子温
出演:染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、吹越満、神楽坂恵、光石研、渡辺真起子、黒沢あすか、でんでん、窪塚洋介、吉高由里子、西島隆弘、鈴木杏
新宿バルト9、シネクイント他全国公開中
(C)「ヒミズ」フィルムパートナーズ
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