| 待人 来るが少し遅し |
時間もたっぷりある事だし、調べておいた新神戸駅近くの
熊内八幡神社に、お参りに行くことにした。
インフォメーションで道を聞くと、意外と近かった。
お賽銭を奮発し、草男くんの事と家族の健康を願った。
そしておみくじを引くと、吉だった。
そこには、
「物事が十分の形である 十分はやがて欠ける
はじまりである故 万事慎み控え目にすれば益々よく
神社のご加護は おのずから」
と、まさに言い当てていた。
「恋愛・縁談 控え目なればよし
待人 来るがすこしおそし
失物 おそくとも出る
旅行 慎みあればよし
金運 分を知れば開かれる
受験 勉学の成果が着実にみのる」
と、あった。
苦労して、おみくじの写メを撮っている時、大切なことに気付いた。
神戸で買った帽子を、持ってくるのを忘れた事に。
ショックだった。
草男くんの前で、まだ一度しかかぶっていない。
取りに帰ろうかと真剣に思い、メールした。
「5月会ったときで、いいやん」
でも、生地がウールだ。春にはかぶれない。
「だったら、来年の年末やね。
取りに帰らなくていいから。」
と、返事がきて、諦めることにした。
とことんついていない。 |
2012年3月21日(水) 23:13 [ 草男 ]
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| 何度も言うけど、まだ死なないからね |
翌日、1日も早く目が覚めた。
そこで、早く出発することにした。
お雑煮を作り、お天気をチェックし、
「強風注意報が出ているから」、と草男くんにメールを送ったら、
「みらのさんは重いから」、と憎たらしい返事が返ってきた。
念入りにメークし、ペラペラのポリエステルのワンピースを着た。
最低気温2℃、という気温では、まずありえないアラフォーの
ファッションだけれど、やっぱりスカートを着たかった。
可愛い格好をしたかったのだ。
新神戸に到着したのは12:30頃で、ちょうど草男くんが
淡路島を出た頃だった。
「予定通り、バスに乗ったよ」、と送ったメールの返事に、
「もう着いちゃったから待ってるね」、と返信した。
「ちょっと早すぎないか?
何度も言うけど、まだ死なないからね」
という返事がきて、くすりと笑った。 |
2012年3月20日(火) 19:24 [ 草男 ]
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| 一生忘れない。ありがとう |
「寒いから、そろそろ部屋へ行こうかな」
と、草男くんの言葉に、はっと我に返った。
「本当に、電話ありがとうね。
明日、気をつけてね。」
電話を切った。
そして新年のメールには、
「明けましておめでとう。本年もよろしくね。
昨年とは違った意味の挨拶になったけれど、
みらのの気持ちは、ずっと変わらないよ。
急に冷たくしたら、今度は私が寂しくて
死にそうになっちゃうかもわからないから、優しくしてね。
いきなり彼女から、友達への格下げはきついから、
とりあえずしばらくは、彼女未満でお願いね。 」
と、送った。
でも、そのあと来た草男くんのメールには、
「今までありがとう。
みらのさんと出会って、色んな経験が出来た。
ありがとう。
ほんとうにありがとう。
一生、忘れない。
ありがとう」
そしてスクロールした最後の行に、
「ごめんなさい」
と書いてあった。
冷水を浴びせされた気分だった。
みらののメールは、これからもよろしく、と
いう感じで送ったのに、草男くんのメールは
完全なお別れのメールだったから。
そこで思い切って、
「ごめんなさい、は何に対して?」と送ってみた。
すると、
「前に考えていたメールだから、あまり気にしないで。
責任を感じてたんだと思う」
と、返ってきた。
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2012年3月13日(火) 23:07 [ 草男 ]
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| 大晦日の電話 |
気付けば紅白が始まっていた。
食欲がない・・・・
とりあえず、サラダだけの食事。
後で、年越しそばを食べよう。
ぼーっとしながらテレビを見ていたら、なんと草男くんから電話がかかってきた。
「もしもしー」
私の声も、思わずはずんだ。
「ごめんねー電話くれて。
今、大丈夫なの?
お風呂に行く、って言って、かけてくれたの?」
「うん。おばあちゃんとお母さんが先にお風呂に行って、帰ってきてから、
父さんとお風呂にきたんだ。」
「諦めてたの。
だから、嬉しいな。」
とっても素直な気持ちだった。
「晩ご飯、美味しかった?」
と振ると、「美味しかったよー」と、
食べ物の事を語る草男くんの声もはずんだ。
「年越しそばは、食べたの?」
「うん。もう食べた。
みらのさんは?」
「まだ。これから食べようと思って。」
「今から?太るよ。」
「意地悪ねー
今日デパートに行ったら、イベントをやっていて、
草男くんへのプレゼントを買ったの。」
「え?何?」
「お楽しみ。」
「なんだか、いっぱいプレゼントをもらって悪いな・・・」
話しながら、そう言えばクリスマスディナーの時、
草男くん、初めてみらのが作ったお料理の写メを撮っていなかったな・・・
と、いうことに気付いた。 |
2012年3月11日(日) 01:43 [ 草男 ]
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| 名前入りのお箸 |
朝早く起きてファンヒーターをつけていると眠気が襲ってきて、
うたたねしてしまったようだ。
その時、黒豆を火にかけている事を思い出し、
慌ててキッチンに行くと、見事に焦げていた・・・
新しい黒豆を買いにスーパーを回ったけれど、
ほとんど売り切れ。
9:30になるのを待って、あちこち探して見つけてきた。
これで、もう一度作り直せる。
途中、草男くんから神戸の写メが送られてきた。
オークラとポートタワーは、はるか遠い昔のように思えてきた。
立ち寄ったデパートで、若狭塗の箸のイベントをやっていた。
お箸に、名前を彫ることができるらしい。
ひらがなで、くさお、と。
ミッドナイトブルーに、うさぎの絵が描いたお箸があり、
これを草男くんにプレゼントしたいな、と思った。
帰って、テレビを見ながら夕食の準備をしていると、
「5杯もご飯をおかわりした」、と草男くんからのメールが入った。
家族が揃って、テンションがあがっている草男くんの姿が、目に浮かぶ。
そして、「家族と一緒だから、夜に電話できない」、とメールがきた。
かなりショックだったけれど、仕方なかった。
「もしできそうなチャンスがあれば、して」
、と送っておいた。
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2012年3月6日(火) 00:28 [ 草男 ]
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| いつまで彼女なの? |
「いつまで彼女なの?」
と聞くと、
「うんと・・・日付が変わるまで。31日の。」
草男くんに、地下鉄まで送ってもらったけれど、
みらのがまた、送ることにした。
いいの?と、草男くんは断らなかった。
そして軽快に、改札の奥に消えていった。
家に帰って、早速ipodを梱包し、
返品する為に、郵便局に持って送ってきた。
「今日はありがとう」、と送ったメールの返事は来たけれど、
その返事を送ってももう返ってこなかった。
草男くんなりに、ケジメをつけようとしているのかもわからない。
いつもなら、草男くんから返事が返ってこなければ
次は送らないけれど、夕食の事が気になったので送ってみた。
早速写メがきたので、「いつか食べさせてね」、と送ってみた。
なんて返ってくるだろう。
すると、「仕方ないな。良い子にしてたらね」、と返事が返ってきた。
「やっぱり草男くんは優しかったね」、と、
ハートマーク付きのメールを送ったけれど、
そのあと返事はなかった。 |
2012年3月5日(月) 01:13 [ 草男 ]
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| 最後の写真 |
だって、会っている時に言ってしまいたいから。
「昨日草男くんが、京都で働いている時、私が電話に出てくれるだけで
嬉しかった、って言ってたでしょ?
あれを聞いて、胸が痛んだよ。
あの頃、自分が、忙しいとか疲れてるとか言って、
草男くんの思いに、なかなか応えようとしなかったものね。」
「いいんだよ。もう。」
「あ、草男くんの写真を撮ろうと思って、カメラ持ってきたんだった。」
「遺影?俺死なないよ。」
これで3回目だ。言われるのは。
それで諦めた。
「草男くん、それからね、私・・」 |
2012年2月28日(火) 22:30 [ 草男 ]
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| 二人の携帯 |
そして手をつないで歩きながら、私達は、色々必要な事を話していった。
「一緒に買った、携帯はどうする?」
「まだ、しばらく持っていよう。」
「二年の期限は、10月までだものね。
今解約したら、解約料がかかってしまうから。」
「うん。
結局、一年しか持たなかったね。
これがつながらなくなったら、みらのさん、
ふっきれたのかと思うよ。」
「そんなこと、言わないで。
今朝早く目覚めて、草男くんが以前手紙を送ってくれたことを思い出したの。
引っ越して、合鍵を送ってくれた時の。
思わず、読み返したわ。
読む?」
「いや、やめておくよ。」
「それから、草男くんにメールの書き方とか教えてもらった。
改行するように、とか絵文字を出来るだけ使う事、とか。」
「そうだね、みらのさん絵文字を最初全然使ってなかったものね。
どういう人や、って思ったもん。」
「それから・・」
と、言っておくことを書いたメモを見ているみらのに、
俺、死ぬみたいやな、とまた草男くんが言った。
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2012年2月27日(月) 23:31 [ 草男 ]
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| 音楽のない指輪交換 |
「婚約指輪を、本当は返さなければいけないよね。」
「いいよ。みらのさんに、あげたものだから。
でも、あれを売って二人で分ける、って手もあるよ。」
「そんなお金、もらえないよー
あれはこれから、勇気をもらいたい時に、つける事にするわ。
それに死んだ時、お棺に入れてもらおうと思ってる。」
「俺、その時、即効、灰の中から、取りに行くわ。
で、すぐ売る!
自分で買った、一番高価な物だよ。
しかも、それを人にあげた、ってすごい。」
「お母さんが指輪の事を知ったら、怒るよ」
「言わないよ〜」
ファッションビルの地下に到着した時、みらのは草男くんがつけていた
以前おそろいで買った指輪を抜いて、左薬指にはめてあげた。
そして、みらのがつけていたおそろいの指輪を草男くんに渡すと
草男くんは、みらのの左薬指にはめてくれた。
草男くんは、何も言わなかった。
「あのね、おととい神戸で、草男くんが、
今までみらのさんが、嬉しくて泣いたことなかったから残念だ、って
言ってたでしょ?
だから、嬉しくて泣きたかったの。」
と言って、涙をこぼした。
「悲しいんじゃないの?」
「違うよ。
嬉しいの。ありがとう。」 |
2012年2月22日(水) 22:51 [ 草男 ]
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| 俺、死なないよ |
「草男くん、みらのやっぱり、神戸に行く事にする」
家族で年末に淡路島に行く草男くんは、
1日に、ひとり新神戸から帰る予定でいた。
「遠いし、いいよ」
「行きたいから。
もし行かなかったら、ずっと後悔するような気がして。」
「俺、死なないよ。」
そう言って、草男くんは少し笑った。
「31日、年が変わったら電話くれる?
今年、一番最初に話す人になって欲しいもの。
それから、メールも送って。」
「うーん、努力してみる」
「それから、お願い。
別れた事を、お母さんにまだ言わないで欲しいの。
草男くんがお母さんに、みらのと別れた、と言ったら、
お母さんは、きっとほっとした顔をすると思うんだ・・・
その顔を見て草男くんは、この判断が間違ってなかった、って
きっと思うはずよ。
そう思って欲しくないから。
お母さんには、電話で言って欲しい。」
「そんなの、考えすぎだよ」
草男くんは、こう言ったけれど、力がなかったのは
図星なのかもしれない。 |
2012年2月19日(日) 21:43 [ 草男 ]
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