先日、NHKBSの番組で、1903年ドイツ・ハンブルグで作られたコンサート用グランドピアノ
Steinway&Sons モデル D の修復、再生の行程が紹介されていました。
このピアノは、英国北東部のHULL市議会が所有していました。
第二次世界大戦中、HULL市は爆撃され、市立のコンサートホールも大被害を受けたそうです。
そんな中、このピアノだけは奇跡的に残ったそうです。
終戦後、HULL市は戦争で傷ついた市民の心を慰めようと、このピアノを修復しながら市の主催するコンサートで使い続けたのです。
そして、名だたる当時の演奏家が、ボランティアでこのピアノを弾きに来たとか。ピアノには、誰がいつ演奏したか、記録のプレートが残されています。
その後ニューヨークにある、アンティークピアノの修復、販売で名の知れている
「Klavienhaus(クラビアハウス)」に引き取られ、レイシンガー兄弟の手により、工房で本格的な修復、再生作業が行われ、ぼろぼろだったピアノが見事に生まれ変わりました。
ちょうどピアノを修復していた時に9.11ワールドトレードセンターのテロが起き、何かの縁を感じたレイシンガー兄弟は、テロ後のコンサートに無償でこのピアノを貸し出したそうです。
ワールドトレードセンターの跡地、「冬の庭」でニューヨーク市民の心の痛手を和らげるかのように再生なったSteinwayの澄んだ音色が響き渡ったそうです。
Klavienhausのオーナー、レイシンガー兄弟は、このピアノだけは絶対に手放さないと決めているそうです。叙情的なすばらしい音色は、年月をかけ、愛情を込めて修復した結果、人間の情感に響く音色のピアノに生まれ変わったのです。
工房の地下に置かれたこのピアノは、堂々として存在感たっぷりでした。
時折開かれるこじんまりとしたミニ・コンサートで、バッハを弾いていたのが、
シモーヌ・ディナースタインSimone Dinnerstein。
このSteinway&Sonsのピアノに出会い、素晴らしい音色のとりこになって、このピアノでCDを録音したそうです。全く無名のピアニストだった彼女は、このCDで全米クラシックCDランキングで1位になり、今や世界中でコンサートを開くまでに名を上げたそうです。
翌日、早速amazonで購入しました。
ピアノ曲のCDを買うときは、作曲者や奏者の名前で選んでいましたが、今回は再生された古ピアノ、スタインウェイ&サンの音色

の魅力に惹かれました。