始まりの鐘
第十章 神の土地−〈アグリア〉
1
「――――――ねぇ」
ルイードは「いつまでそうしてるつもり?」と言い、自分の目の前で動こうとしないリヴィアとロアを見た。
リヴィアは懐から煙草とライターを取り出し、火をつけ、銜えた。
紫煙を吐き出すと、「さぁな」と言い、笑った。
ロアを自分の後ろに隠し、一歩踏み出しながら。
「あっそ。じゃあ、一生そうしてれば?ボクはもう帰るから」
「帰る?」
「そ。そろそろ帰らなきゃ――――」
ルイードのセリフはそこで切られた。
なぜなら
「見つけた」
その声が聞こえた途端、ルイードは苦虫を100匹噛み潰したかのようななんとも言えない顔になった。
「遊ぶのもいいけど、今は修行の時間じゃないかな?ルーイ」
「フィルアーク・・・・・・」
赤髪に金色の目を持った少年は口元に笑みを浮かべたまま、「ダメじゃないか。勝手に抜け出しちゃ・・・」と言うと、右腕を上にあげ、回した。
その途端、
「ぐ・・・っ!!」
ルイードは首をおさえ、何かを取るかのように掻き毟った。
「ムダムダ」
少年はくすくす笑いながら、あげていた腕をゆっくりと、スローモーションを見てるかと錯覚するぐらい、ゆっくりと下ろした。
「!!」
ルイードは目を見開くと、その場に崩れ落ちた。
事の顛末を見ていた2人は、呆然とした表情で少年を見た。
少年は自分よりも背がやや高いルイードを抱えると「リヴィア・カーラにロア・クユラ」と言った。
名前を当てられたリヴィアは―いつの間にか落ちていた―煙草を足で踏み潰すと、「どうしてオレ達の名前を知ってるんだ?」と言いながら―箱から取り出した―煙草を口に銜えた。
「・・・・・・聞いたからさ」
「誰に?」
「それには答えられないな」
少年は薄く微笑むと、「今は、ね」と言った。
少年はリヴィアとロアに背中を向けると、「ああ。言い忘れるとこだった」と呟いた。
「早くここから出た方がいいよ。君のその状況じゃあ、立っているのも辛いだろう?」
「・・・・・・・・・・・・」
「?」
リヴィアはなにも言わずに銜えていた煙草に火をつけた。
リヴィアの後ろにいたロアは訳が分からないと言いたげな顔を少年に向けた。
「忠告はしたからね」
少年はそう言うと、霧の如く、姿を消した。
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