
現在、葉山巨人軍に所属する小学生はジュニアと
トップの両チームを合わせて71名。
そして、総監督の宮本さんを筆頭に11名のコーチが指導にあたる。
驚くことに、このコーチ陣はいずれも甲子園や社会人野球で活躍した
輝かしい球歴の持ち主。

さすが宮本さん、豊富な人脈を生かしてのチームづくりですねと感嘆すると、
「ほとんどが今まで面識のない人たちなんだよ(笑)」。
なんでも、宮本さんが親しい仲間のひとりに少年野球チームの
結成を打ち明けたところ、口コミで話が伝わり、次々にコーチとして参加したい
と名乗りを挙げたくれたのだとか。しかも、全員ボランティア!
「本当にうれしいよね。みんな甲子園をめざしてがんばってきた仲間だから、
世代は違ってもつながり合える。
いわば、“野球人の絆”。一生のつきあいですよ」
野球という共通の志をもって集まってきた仲間たち。
「野球が好き!」「野球の楽しさを子どもたちに伝えたい!」
多忙な日々の合間を縫って、葉山のグラウンドに駆けつける理由は
それぞれあるだろう。けれど、根底にあるのは、
「同じ野球人として、誰かがやるなら自分も一肌脱ごう!」
という心意気なのではないだろうか。なによりその“誰か”が宮本さんであるならば。
野球人の絆といえば、現・読売巨人軍の原監督からも
「何かできることがあれば喜んで協力する。
応援するからがんばれ!」とエールを送ってもらったという。
尊敬する原監督の指導法は、
宮本さんにとっても学ぶべき良き手本であり、
“原監督イズム”と称して自身も受け継いでいる。
「とにかく選手一人ひとりに声をかけてあげること。
そうすれば、子どもたちは『ちゃんと自分のことを見ていてくれるんだ!』
とうれしくなるし、やる気もどんどん湧いてくる」
とはいうものの、71名もの大所帯。
一人ひとりに声をかけていくなんて、そう簡単にできるものではないと思うが…。
「でも、やっぱり一人ひとりわかってあげないと。
子どもの目をきちんと見て、あいさつの声にも耳を澄ませて。
声のトーンでどんな状態かわかりますから。
指導する側はつねにアンテナを張っていないと!」
そう語る宮本さんは、チーム全員の名前と顔を一致させ、
練習中もたえず子どもたちに声をかける。
取材時にもこんなことがあった。久しぶりに練習に参加した選手を見つけるや、
「おー、○○くん、久しぶりだな。元気だったか?」
総監督直々に声をかけられた子は、緊張でちょっとドキマギしながらも「…ハイ!」。
しばらく練習を休んだせいで、顔を出しづらい気持ちもあっただろう。
でも、宮本さんのひと言で、その子はきっと心が軽くなり、
野球がまた好きになったはずだ。
野球人の絆――。
それはこんなささやかなエピソードがきっかけとなって固く結ばれる。
取材/文 室作幸江