Tさんの染めた藍のストール
夕方、残業をしていると私の職場の部屋の戸を叩く人が居た。
誰だろう?と思って戸を開けた。
私たちの施設から退所されるTさんだった。
「あの〜。随分お世話になりました。コレ私が昔染めたストール
です。お礼に差し上げようと思って持ってきました。」
Tさんは、糖尿病を持つ精神障がいを長く患ってきた方だった。
美大を中退されたが、病気をもった後も好きな染色の工房に
身を置いていた。
藍染めに造詣が深く、私の病室にいた頃より染色のお話などを
させて頂いていた。
60代の彼女は、これからアパートでの単身生活に挑む。
この暑い中大変なことである。糖尿病の管理もしなくてはならない。
「Tさん。こんな素敵なストールもらい放しじゃ申し訳ないよ。
明日ね、私が夜勤できますから、このお礼に、沖縄の大好きなガラスの
置物を差し上げたく思います。それも藍色ですけどね。」
Tさん「いいのかなぁ・・・。」
私「いいんですよ。Tさんから頂いた藍のストールは宝です。大事にす
るからね。ありがとう。Tさんも退所しても、相談事があったら、私の
所に来て下さいね。」
そんな会話をしてTさんと別れた。
私がサポートしている精神障がいを持ち社会復帰を目指している方々
には、すでに両親が他界していたり、両親や兄弟の援助が得にくい方も
いる。
Tさんから頂いた藍のストールは本当に宝ものにしなくては、
と思った夜だった。
Tさんに差し上げるのは
真ん中にある海をイメージした
ガラスのペーパーウエィト