週末に来客あり。
ということで、うちのおもてなし定番メニューのちらし寿司を作ることにする。
日本人のお家にお邪魔する、となると、お客の方は和食を期待するだろうし、こちらの人が思い浮かべる和食はまず寿司、かな。
寿司の知名度もいまではかなり一般的になりつつあるけど、それはやっぱり握り寿司、のことなんだよね。
もしくは、日本人のお家でお招きメニューの定番である手巻き寿司、とか。
簡単だとは皆言うけれど、私が実はこの手巻き寿司がいまひとつ苦手。
具次第だけどさ、あんまり豪華な具もうちでは用意できないし、説明するのも面倒だし、あんまり私が手巻き寿司に馴染みがないのだ。
思えば実家でも手巻き寿司ってやったことがあるかどうか。なんとなく思い出せる気もするが、一度か二度か、そんなものかな。
代わりに母はよくちらし寿司を作った。
誕生日とか、雛祭りとか、何かのお祝いごとにはたいていちらし寿司。
バラ寿司のように具がいろいろ載るものや五目寿司もあったけど、母のちらし寿司といえば、鮭の身をほぐして胡麻と一緒にすし飯に混ぜていくらを散らす、親子チラシ。子供の頃、食が細くて毎晩の白いご飯を食べるのが億劫だった私も、このときはたんとごはんをいつもの倍は食べた。いまでも実家に帰省すると、必ず出てくるメニューだ。
さて、所変わってここはドイツ。
鮭もいくらも手に入ることは入るが、塩鮭というものは自分で塩を振って作らねばならない。いくらは瓶詰めのものがスーパーで買えるが、ほんのちょっぴりの量でなかなかお高い値段。しかも皮が厚くてあまりたっぷり食べたい味ではない。
ので、私のちらし寿司はこれ、塩漬けの若ニシン、マチェスを載せたもの。
そのまま食べると塩辛くて生臭いマチェスも、水でよく洗って水気と油気を拭き取り、レモン汁を振っておけば、しめ鯖にも似たお味。しかも半生さが寿司にいいのです。ハーブとごまを混ぜたすし飯の上にそぎ切りにしたマチェスを並べて錦糸卵を振りかける。と、これがなかなかの見栄えとお味。
ドイツ人だけじゃなくて日本人のお客様にもおいしいと言ってもらえる安心のレシピなのだ。
ちなみにドイツ人からよく来る質問は、この黄色いのは何?
錦糸卵の説明をすると、へええ、卵!と驚きの反応が返ってくる。卵を薄く焼いて刻んで、というひと手間が、さすが繊細な日本文化、と映るらしい。(本当はもっと丁寧に細かい錦糸卵を作るべきなんだけどね)
母の親子チラシもいつか作りたいなあと思いつつ、いいイクラをたんまり買えるようになることが先かも。ははは。
6歳の愛らしい娘さんにも食べられるものがあるようにと、洋風のキッシュも作ったのだけど、むしろそれは食べずにお寿司を食べておりました。あんこと生クリームを添えた抹茶シフォンケーキもデザートに出し、さくら風味のほうじ茶をお出しして満足してもらえたよう。今回来てくれたお客様、ご主人の方は私がドイツに来たばかりの頃、研究の相談に乗ってくれた人。初めて会ったというのにデュッセルドルフの和食レストランでご馳走をしてくれたのでした。今は仕事のボスでもある彼に、今回のお昼はささやかな恩返しです。
来客へのご馳走は、新しいレシピを試す機会でもあります。今回のヒットは、根セロリのサラダの山椒風味。ネットで見つけたレシピに少しアレンジを加えましたが、うまっ!白ワインに合いそう、と一人うきうき。次回友人相手かもしくは一人でワインを開けるときにでも作りそうですな。