兄・ヒデアキが東京から駆けつけ、主治医・Dr. 池田のご説明を一家で聞く。
Dr. 池田はおそらく30代半ばの若い先生だが、部長だった。やるな。
どうでもいいが説明に「ベネフィットが〜」「アグレッシブな〜」と英単語が混じるのが気になる。これは研究者に多く見受けられる癖であるので(私の本職研究所にも多い)、研究出身の臨床屋なのかもしれない。母・くみこも気になっていたらしく、「なぁ〜にがベネフィットだ、けっ」と悪態をついていた。口は元気な患者である。
Dr, 池田は、英単語まじりだが、実に丁寧に説明をしてくれて安心。だが病状は決して楽観視できるようなものではなく、腫瘍としては進行速度の遅いものだけれど、発見が遅れて現時点で既にかなり成長しており、全身に転移しているため、末期の状態だとの事だ。
そして、兄・ヒデアキの期待した免疫療法には反対されてしまった。抗がん剤投与前のサンプル(体内組織)を取り出さないと始められない治療法なので、がんセンターで執刀してもらえないとなると、他の病院を探さなければならない。しかし、母・くみこにはその時間がない。残念だが、やむなく断念し、抗がん剤治療に専念することに。
私の本職のボスが、がんセンターの総長と一緒に仕事をしているので、なんとか執刀してもらえるよう圧力をかけてもらえないだろうか。無理か。 |