中村仲蔵は二百数十年前の歌舞伎役者で、苦労の末に、「名題」と呼ばれる大部屋から個人の楽屋がもらえる、弟子や付き人も持てる格が上の役者になった人なのですが、なって喜んだのもつかの間、先輩役者の嫌がらせで忠臣蔵の五段目「山崎街道の場」に登場する斧定九郎を配役されました。
この斧定九郎は、山賊の格好で頭巾もかぶってるから、格上の役者じゃなくてもいいんじゃないの?と言った感じの役柄なうえに、ほとんど台詞無し。見入るほどの場面じゃないからお弁当を食べようかな、と言った軽〜い幕。
仲蔵は、そんな役をまわされて、何とか工夫が出来ないものか、声がかかるような工夫が出来ないものかと願掛け参りをし、満願の日にビッショリ雨に濡れた浪人の姿にヒントを得て、それまでの山賊まがいの格好を、現在演じられている姿で演じ、大評判を取りました。
斧定九郎は、勘当されたとは言え五万石を越える上級武士の息子です。それなのに山賊の格好は無かろうと、黒羽二重の着物に白献上の帯、もちろん白塗り。
初日お客は呆気にとられて息を呑むばかりの静けさ。仲蔵はこの工夫が失敗したと思い、江戸には居られないと旅支度をしているところへ師匠から呼ばれてほめられた。客の評判が評判を呼んで大盛況。その後名優として名を残したというお話し。
お後がよろしいようで。
この話、初めて聞いたのが志の輔さん。その後何人かの落語家さんで聞いたけど、志の輔さんが一番多い。4年ほど前、仲蔵を主人公にした「夢の仲蔵千本桜」が上演され、見に行ったけど、落語を聞いて知っていたので見て面白く、知っていなかったらきっと寝てたかも。
そして久々の仲蔵は、国立の大劇場で、揚げ幕や拍子木を効果音にして、更に大きく深く語られました。
こうなると、今度は五段目が見たくなるのよねー。
余談やけど、定九郎はイノシシと間違えられて死んでしまうねん。
撃った勘平は次の幕で切腹するねん。
イノシシは逃げたなーと思たら、
勘平、牡丹鍋食べ損ねたわけかー、って、私の感想。
食い意地たっぷりの感想でかんにんどすえー。