勤め先が神戸やったお祖父ちゃんは、
お給料日になると、毎回と言うてええぐらい、
元町駅前にある
四興楼の

豚まんを10個買うて来てくれました。
食べ物に贅沢を言わへんし、
食べ歩くこともないお祖父ちゃんやったんで、
孫はその「質素」な血を引けへんかったみたいやね〜 
お給料日に豚まんを買うて帰る言うのんは、
めちゃくちゃ贅沢やったんちゃうやろか。
駅から自宅までの途中にある我が家に
まだ

ほの温かい

豚まん10個を置いていく。
我が家に誰もおれへんかったら、
取りに来いと言うたり遅なってから自転車で届けに来たり。
せっかく届けてくれたからお茶でも、と、上がってもらうねんけど、
もともと、口が重たい言うのんか愛想がない言うんか、
だまぁ〜って座ってる。
そやけど、軍人やった人やから、座ってる姿がほのぼのしてへんで、
ジッと私らを見る目が、

温かいというより、
カッと睨んでるみたいやったなぁ。
それでも私らが
子供の手にはいっぱいになる大きさの豚まんを持って、
「

豚まんや〜

じいちゃんありがと〜

」言うて喜んだら、
睨んでる目がちょっとふわぁ〜っとなって、「ほな帰る」って。
ほんま愛想なしや。
こっちが大きなってからは定年で、
そうしょっちゅう神戸に行くこともなくなってたから

豚まん10個は毎月ちゃうようになったけど、
それでも神戸に言ったときのお土産は、
四興楼の

豚まん10個。
その頃には「豚まんかー

」って、
変わり映えのせえへんお土産に慣れてしもて、
「たまにはケーキとかやったらエエのになー」と、
心の中で思ったりしてた。
神戸言うたらセンスのええケーキ屋さんとか、
美味しいフランスパンとか、洒落たビストロとか、
たっかい珈琲とか、景色のええ高台の喫茶店とか。
憧れるお店がいっぱいあって、そんなとこばっかり行くようなって、
私にとって四興楼はかっこ悪い店になってしもた。
ほんでもって、行列の出来る老祥記を覚えて、
並ぶのがステータスみたいになって、
四興楼の

豚まんを忘れてしもてた。
ほんでもって神戸の震災。
四興楼は無くなっってしもたんかなー、と、
ちょっと気になったりしたけど、そのまんま。
そしたら、こないだの「卓」を探したときに、
真っ先に目に入った

四興楼
めっちゃド派手になって健在健在
こうなったら買わんことにはおられませんわなぁ。
なんの迷いもなしに「ください

」ってお店に入ってった。
前のお店がどんなんやったかゼンゼン覚えてへんけど、
お店に入ったときの空気は、
なんかほのぼのと嬉しくなる温度がおんなじ気ぃしたわ。
10個はやっぱり買われへんかった。
「ホンマに美味しかったんやろか」
そう思う気持ちが10個買うのんを躊躇させましてん。
やわらかくてちょっと甘めの具と皮が、
「こんなんやったかなー」と、
思い出されへん私のおなかをあったかぁ〜にさせて、
気ぃついたら


2個食べてましたわ。
お祖父ちゃんはあの時、
どんな気持ちで買うてきてくれてたんやろなぁ。
お祖父ちゃんの思い出を繋いでくれる

豚まん。
これからはたまに買うてみよかな。
かりんちゃんの味作りの
お手伝いが出来てるんだなーと思うと、
とても嬉しくなります
色々ご紹介できるよう、はげみます!!
さっすが〜
花巻にチャーシュー