2007年が明けたと思ったらあっという間に3月に。なんてことを言ったら笑われる?
暖冬のせいでぼんやりしている間にアメリカのアカデミー賞も決まったけれど、いまひとつぱっとしない感じでは(しかし、自分のぼんやりを暖冬のせいにしてもねえ)。助演男優賞、脚本賞をとった『リトル・ミス・サンシャイン』と、候補になった『硫黄島からの手紙』は見てみたいと思うけど…。
さて、今回はしばらくぶりのブログなので、アフリカを描く映画を一挙に4本紹介。(KI)

■「ルワンダの涙」★★★★☆
■「ナイロビの蜂」★★★☆☆
・1994年4月に起きた「ルワンダ虐殺」をテーマにした「ルワンダの涙」。実際に虐殺の舞台となったアフリカ、ルワンダの首都キガリにある公立技術専門学校で撮影をしたこの映画制作には、当時この学校で事件に会い、生き残った体験者たちもスタッフとして参加している。物語は、海外青年協力隊のイギリス人英語教師の目を通して語られる。ナタを持ったフツ族の集団に学校が取り囲まれる中、生徒たちや避難してきた多くのツチ族の人々を残し、白人たちだけが救助されていく。そして国連軍も彼らを残して撤退しようとする時、「ナタで切り殺される前にその銃で子どもたちを殺して」と頼むツチ族の男性の言葉が痛い。実際、そこに残された人々のほとんどが惨殺されたその事実を、当時、世界のメディアは黙殺。記者として現場に遭遇した英国BBCのデヴィッド・ベルトンは、危険の迫る中一人の白人神父に助けられ、数年後、その神父の死を知ったことでこの映画化を決意したという。公開中。
・「ナイロビの蜂」は、アフリカ、ケニアの首都ナイロビでイギリスの外交官として働く夫と、弁護士で救援活動家の妻テッサの物語。「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス監督が、冒険小説の巨匠ジョン・ル・カレの原作を映画化した。テッサは救援活動をするうちに、イギリスの薬品メーカーによる現地の人々を使った国ぐるみの組織的な人体実験を突き止める。彼女は事件を追っている中で突然不慮の死を遂げ、その原因を探る夫はその裏に世界的な陰謀の存在を嗅ぎ取る。薬品メーカーによるアフリカでの組織的な人体実験というその設定はフィクションとは思えないリアルさで見るものに迫り、その追及に命を賭ける夫に起こる結末も恐ろしい。ナイロビの雄大な自然を背景に繰り広げられる「先進国」のエゴイズム。レンタルで見られる。

■「ツォツィ」★★★★☆
■「輝く夜明けに向かって」★★☆☆☆
・「ツォツィ」は「不良」「チンピラ」を意味する南アフリカのスラング。旧黒人居住区ソウェトの貧しいスラム街に住むツォツィと呼ばれる若者、彼はたったひとり怒りと憎しみを心の中に積もらせ犯罪と暴力にまみれた毎日を送っていた。ある日、その彼が手に入れたひとりの赤ん坊、そして彼の心の中に変化が…。この映画は、世界一の格差社会といわれるアパルトヘイト終焉後の南アの現状をリアルに切り取った初めての映画といわれ、2006年アフリカ映画初のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した。シンプルで奇をてらわない抑えたつくり、そこに流れる音楽がとてもいい。今南アでもっとも流行っているというクワイトという音楽、ゾラの代表曲「Mdlwembe」が冒頭からガンガン流れ、見るものをツォツィの世界に引き込んでいく。公開は4月から。
・「輝く夜明けに向かって」は、同じ南アの.アパルトヘイト下での実話に基づいた映画。
反アパルトヘイト組織ANCのメンバー、パトリック・チャムーソを主人公に、白人のテロ対策捜査官ニックとの攻防を描く。政治に関わることを避け、穏やかに暮らす平凡な市民パトリックが無実の罪で拘束、拷問を受け、その後、自由の戦士として闘いを開始する。彼は政府側から見れば危険なテロリストとなったのだ。「遠い夜明け」「ワールド・アパート」「サラフィナの声」など、アパルトヘイト政策を告発した映画は数多くある。しかし、この映画の現代的な意味は、差別政策撤廃後、長い拘束と拷問を経て釈放されたパトリックが解職された仇敵ニックを前にして報復をせず、テロの連鎖を自ら断ち切った事実そのものにあるのだろう。映画の中ではネルソン・マンデラ元大統領の「自由になるために敵を許そう」という演説も挿入される。監督は、オーストラリアにおけるアボリジニの白人同化政策を描いた「裸足の1500マイル」の監督、フィリップ・ノイス。捜査官ニック役は「デッドマン・ウォーキング」で自ら監督、脚本を手がけ、アカデミー監督賞をとったティム・ロビンスが演じる。重大なテーマの貴重な作品だが、★が2つなのは、女性の描き方が添え物的でいまひとつリアリティが感じられなかったから。残念!