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KIの映画評vol.4 [2006年10月17日(火)]
観たいと思っていたのに映画館で観られなかった映画が新作DVDでレンタル屋さんに出た。私たちのまわりには世界中の情報がいっぱいあふれているようにみえるけど、これらの映画を観るとその情報は実はすごくかたよっていると感じる。この2本は実際に起きた事件を映画化したもの。(KI)

■「ミュンヘン」★★★☆☆
1972年9月、ミュンヘンオリンピック開催中に起きたパレスチナゲリラによるイスラエル選手人質事件。オリンピックが中断されたこの事件を知っている?銃撃戦の末、9人の人質全員が死亡したこの事件の後、イスラエル政府の暗殺部隊による報復が行われる。暗殺部隊元メンバーの告白によって、ノンフィクション「標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録」(新潮文庫)になったこの作品を映画化したのはかの有名なスピルバーグ監督。テロに対するテロの報復を国家に命じられた暗殺者の苦悩…、テロによる憎しみの連鎖からはなにも生まれないというメッセージがよく伝わってくる映画だ。彼の作品、「シンドラーのリスト」もそうだけど、エンターテイナーとして、映画を楽しませながらあまり政治的にならないよう工夫して、言いたいことを出してくるところはうまい。余談だがこの人質事件のとき、日本の選手団に非難が集まったという。人質全員死亡という最悪の結果に各国選手が沈む中、競技再開の知らせに喜び、追悼式にジャージ姿で参列したり、練習のためと称して参列しなかった選手が多数いたそうで、海外の一部マスコミから「メダル・アニマル」と批判されたという。選手だけの問題というより、当時の一般日本人の国際感覚欠如の反映なのだと思うけど、今はもう少しましと言えない気分。


■「ホテル・ルワンダ」★★★★☆
1994年、アフリカのルワンダで多数派のフツ族による少数派のツチ族への大量虐殺事
件が起きた。100日で100万人が殺されたという大虐殺。この事件、日本でどのくらい報道されただろう。ホテルにいた欧米系外国人ジャーナリスト、ボランティアには退避勧告が出され、ホテルには現地の人々が残される。ルワンダに駐在する国連軍も中立を守り、世界中が黙殺する中、外資系高級ホテルの支配人ポールが、殺される運命にあった1200人のツチ族の人々をかくまい命を救った、実話に基づいた映画だ。主人公のポールはホテルマンとして誇りを持って仕事をするフツ族の男性、ヒーローっぽくなく、ただ危険のせまったツチ族である自分の妻と子どもを助けたい一心で、ホテルにかくまう。虐殺がエスカレートする中、平凡なホテルマンが知恵を駆使してホテルに駆け込んで来た人たちを守っていく。その事実の前では、ハリウッド映画の超人的なヒーローなんかぶっとんでしまう。それにしても、大虐殺を目にしているのに退避勧告を受けて引き上げてしまうジャーナリストってなに?この映画は「日本公開を求める会」の署名活動などの結果、やっと日本での興行が決まったという貴重な映画。
Posted at 18:50 | 映画 | この記事のURL

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