
オダギリジョーの、なんかけだるい退廃的な雰囲気は好きなんだけど、でも演技というよりそれは持って生まれたキャラで、その辺、彼は得してるよねえって思ってたけど、でも「ゆれる」ではちょっと違ってた。それとやっぱり彼らしい「メゾン・ド・ヒミコ」も紹介します。(KI)
■「ゆれる」★★★★☆
東京で写真家として成功している弟(オダギリジョー)と、地方に残って実家の商売を継いでいる兄。兄にかけられた殺人の嫌疑をはらすため弟は奔走するが、裁判が進む中で沸きあがってくる兄弟の葛藤…。まず、兄役の香川照之がすごくうまい。素朴で誠実な人柄の兄が、飲み込んできた自分の人生と弟への複雑な気持ちを凄みのある、彼の中から立ち上ってくる空気のようなものとして表現する。そして、オダギリジョーがそれをけなげに真正面から受け止める。血のつながる者同士の「大嫌いだけど大好き」な感じがこのタイプの全く違う二人の男の間で火花を散らす。それにしても、監督の西川美和という人は今後も注目だ。28歳の時の長編デビュー作「蛇イチゴ」から4年、この作品もうまい。香川は、「西川監督と出会えて、金鉱を掘り当てたような感覚を覚えました」と言ったとか。
■「メゾン・ド・ヒミコ」★★★☆☆
「メゾン・ド・ヒミコ」はゲイのための老人ホーム。そこで働くことになった沙織(柴咲コウ)が繰り広げる濃いキャラの住人たちとの暮らし。住人それぞれが個性的で魅力にあふれ、やさしい。で、その経営者(田中泯)の恋人オダギリジョーと柴咲コウがからむんだけど、やっぱり彼女じゃいまひとつリアリティがない。彼女はノーメイクでがんばったそうなんだけど。私としては、「ハッシュ!」で、ゲイである2人の男性と暮らすことになる朝子役の片岡礼子さんが好き。彼女にはゲイの男性たちに負けない大人の女のリアリティがあった。まだ「ハッシュ!」見ていない人はおすすめ。ところで、オダギリジョーだけど、この映画では、恋人を癌で失う孤独な、綱渡りしているみたいなゲイの男性を、繊細に演じていてなかなかいい。