http://www.jca.apc.org/femin/

« peace one day | Main | ル=グウィンインタビュー掲載できました »
 
KIの映画評vol.2 [2006年09月22日(金)]
持ち味の違う作品だけれど、各地で賞を受賞するなどそれぞれ高い評価を得ている女性の新人監督のドキュメンタリー2本。(KI)

■「Dear Pyongyangディア・ピョンヤン」★★★☆☆
大阪生野区に住む在日1世のアボジ(お父さん)を一人娘のヤン・ヨンヒが10年かけて撮り続けた。朝鮮総連の幹部である父は、日本で生まれ育った3人の兄たちを祖国に送る。最愛の父が信じるものにどうしようもない違和感をいだきながらも、カメラを回し続ける彼女だが、ステテコ姿で路地裏を自転車で走る父を追うそのまなざしはやさしい。彼女の目を通すと、駄々っ子のような愛嬌のある父親の姿と共に、祖国を一途に思う気持ちと現実のギャップに引き裂かれる彼の深い悲しみが浮かび上がる。下町の庶民の生活、カメラをかまえる娘に始めは抵抗していたアボジが映画の進む中で彼女に向ける笑顔が可愛らしい。政治的な難しい話になりがちな題材をヤン・ヨンヒ監督の気負わない視線でしみじみとした良い作品に仕上がった。ベルリン国際映画祭 最優秀アジア映画賞など多数受賞。


■「チーズとうじ虫」★★★★☆
癌を宣告された母親の看病のために群馬に帰省した加藤治代は、「退屈しのぎに、あるいは遊びの道具として」カメラを回し始めた。母の病気が治ることを信じ、その奇跡を記録するためにというつもりで彼女は祖母と母との3人の生活を記録し続ける。平凡で単調な日々、歯を磨きながら笑う母、三味線の練習をしながら笑う母。映画って、普通存在するのはカメラの前に現れる人たちで、カメラを回す人間はたいていその場面にいないことになっているじゃない?でもこの映画では加藤は、一緒に暮らす人間の一人として、カメラを回しながら祖母と語り、母と笑い合う。祖母も母もカメラにまっすぐ向かい、その視線は、加藤に向ける視線そのものだ。だから映画を見ていると、このまっすぐで温かな視線に包まれる。加藤は母の苦痛をともなう闘病生活の間はカメラを回せなかった。その死後、淡々と表現されていく出来事、穏やかだが喪失感に胸がつまる。そして記憶の中から、生前の母とのなにげない生活がきらめいて立ち現れてくる。山形国際ドキュメンタリー映画祭小川紳介賞、国際批評家連盟賞など受賞。
Posted at 22:50 | 映画 | この記事のURL

この記事のURL
http://www.cafeblo.com/femin/archive/9


プロフィール


ふぇみん編集部
プロフィール
生い立ち
ブログ
リンク集
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
2006年09月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30






 
(c) 1999-2007 Cafeglobe.com All rights reserved