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5月の読書日記@

2008-05-14 22:21:37
33.浅田次郎 「中原の虹」第四巻

前作「蒼穹の昴」から数えれば10年以上に亘る、中国・清王朝の滅亡と革命を描いた大河ロマン。
大傑作。
それ以外の言葉でこの本を語ることはできません。

天命を持つ王の証である龍玉のゆくえ
極貧の中で生き別れ、馬賊になった兄・春雷、そして宦官になった弟・春児の再会
革命に敗れ日本に亡命した中国の知性・梁文秀の帰国
西太后と中国を心から愛したアメリカ人ジャーナリストの死

そして何よりも今回の主役であり、ついに長城越えを果たす真の勇者・張作霖のカッコ良さと言ったら!

読みどころ、泣かせどころがこれほどテンコ盛りになった小説は他にないでしょう。
もう一度、最初から読みたい。何度でも読みたい。
もちろん星5つ★★★★★

34.奥田英朗 「空中ブランコ」

常識の枠外で生きているトンデモ精神科医・伊良部シリーズ第2弾。

患者に
「この医者、脳みそにシワは入っているのか?」
と疑問を抱かせるほど、相変わらずぶっ飛んだドクター伊良部。

前作の「イン・ザ・プール」同様、向かうところ敵なしの伊良部のキャラにやられた!という感じ。
彼が医師の国家試験に受かったのはフリーメーソン関与説もある、というくだりに爆笑。

でも、患者は最後には必ず治っているので、もしかしたら天才医師かも?
と思うけれど、それは気のせいでしょうね。

今回登場する患者さんのひとり、女流作家のセリフ

「人間の宝物は言葉だ。
一瞬にして人を立ち直らせてくれるのが、言葉だ。
その言葉を扱う仕事に就いたことを、自分は誇りに思おう。
神様に感謝しよう。」


これは作者の思いそのものかもしれません。

こんな面白い小説を読む機会を与えてくれた作者と神様に、私も感謝しよう。
星5つ★★★★★

35.海堂尊 「チーム・バチスタの栄光」

難易度の高い心臓手術・バチスタ手術の成功率100%を誇る栄光のチーム・バチスタ。
しかし、3例続けて術中死が発生。果たして医療ミスなのか、それとも手術室という密室で行われた殺人か。。。

デビュー作ということで、多少の読み辛さはあったものの、キャラの立て方がとにかく上手い!

不定愁訴外来(通称:愚痴外来)の万年講師・田口
心臓移植の権威、チームバチスタを率いるMr.パーフェクト・桐生
一筋縄ではいかない歴戦のツワモノ、病院長の高階

この3人だけでも充分濃くて、ストーリーにぐいぐい引き込まれるのだけれど、後半登場する厚生省の変人役人・白鳥のキャラが更に強烈で、どんどん話が面白くなっていくところがスゴイ。

大学病院の旧体質
麻酔医の激務
外科医の傲慢
研修医の憂鬱
拝金主義の経営陣
権利ばかり振り回す患者たち

ラスト近く、麻酔医・氷室の
「これじゃあ、医者も壊れるぜ」
というセリフも仕方が無い事のように思われますが、その言葉を
「もともと壊れていたヤツが、今さら何を言ってやがる」
と切って捨てた主人公・田口。

著者は現役医師とのこと、田口のセリフは著者の心を代弁しているのだと思うし、このような医師が現実の医療現場に沢山いてくれることを心から望みたい。

個人的には愚痴外来の専任看護師・藤原さん(マコリン)の懐の深さに惹かれました。
奥田英朗のドクター伊良部シリーズに迫る傑作。
星4つ★★★★
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