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本しゃべりずむ

『食物のある風景』

2007-05-23 01:44:18

お食事をする時、大切なのは何だろう?まだ私が会社員で飲食PRをしていた頃に、社長から聞いた眼から鱗の話があった。「味・雰囲気・価格・サービス」この4つのクライテリアは高かろうが低かろうが宜しいが、絶対にバランスだけはきっちりとらなくてはいけないとの事。

確かに、味がそこそこでも安くて雰囲気もカジュアル、サービスもまずまずであれば納得するのだが、何処かが飛び抜けすぎて居心地の悪さを感じたりする事は、ままある事だと思う。

現時点でただのお客さんになっている私は、顧客側の視点としてもう一つ、あえて付け足したいと思う。それは店側の事ではなく顧客側の事だけれども。。。そう、一緒にお食事をする相手である。

女性の立場から言ってしまうと、どんなに素敵な所であろうとも如何に美味しかろうが高かろうが、きちんと会話の出来にくいや恐ろしいくらいのマナー違反の相手と一緒であれば、美味しくなくなってしまう。

もしも、まだそんなに良く判り合えていない人と食事をしている際、あなたの正面に座っている人が口に食べ物が残っている状態でぺらぺら話し出したら?また、そんな状態でつばが顔に飛んで来たら。。。考えただけでも恐怖である。過ごす時間は最悪で味も判らなくなってしまう。。。まぁ、ここまでとは云わず、こんな経験をした人は、結構いるのではないだろうか?

そんな風に感じる人はきっと、誰かと食べる時間の大切さを感じるのではないかと思う。そんな人には非常にお薦めの1冊。
池波志乃さんの『食物のある風景』




内容をアマゾンから転用すると

女優にしてエッセイスト、夫・中尾彬とともに美食家として知られる池波志乃が、さまざまな食材を取り上げ、沖縄の食を語る。

と、異様に素っ気ない紹介であるが、内容はそんな風に素っ気ないものではない。落語家の志ん生を祖父に金原亭馬生を父に、生粋の下町江戸っ子として芸能一家に生まれた著者が、食物を通して綴る人生の出会と別れの吟醸エッセイなのである。池波志乃さんというと「春は伊達巻きから!」というCMを懐かしく思い出す。(オーバー30の人しか判らないかも知れませんが)

タイトルを見て、食べ物の話だろうと想像するのだが、いやいやこれはテーブルの向こうにいる人の話なんだ、と途中で気づくのだ。そして彼女の視点が非常に温かい事が、心地よい読書時間を誘ってくれるのである。そしてふと思う。「美味しいね」と言い合える身近の存在が、如何に自分に大切なのかを。
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