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本しゃべりずむ

パンドラの匣から

2006-06-11 22:47:06
思わず、何度も読み返してしまう本ってある。

かの三島由紀夫も鉛筆片手に読み返すたびに、その時々、心に残る1文を線引いていたそう。

私の場合、月に2度ほどの本棚整理の際に、やっぱり読み返す。
再読本の面白いところは、その時のメンタリティだとか自分の属性の変化によって驚く程に、印象や感動する箇所が違うところ。ひどい時には、過去、赤面モノに読み誤っていた事が露見したりする。

こんな本を代表して、私の廻りでよく云われるのが『星の王子様』
読み度に印象をコロコロ変えて、私を愉しませてくれる。
でも、『星の王子様』については、云いたい事がたくさんあるので、またの機会に。。。

今日紹介したい1篇は書籍『パンドラの匣』から『正義と微笑』
何故だか、多感な頃の私はこんなに素敵な物語を「太宰にしては妙に清清しいなぁ」くらいで、スルーしてしまっていたのです。ところが再読するとびっくり!ガッツンガッツン心に響いてきます。






書籍名  『パンドラの匣』
著者    太宰治
出版社   新潮文庫
価格    500円(税込み)


この『正義と微笑』は
主人公が16歳の春から17歳の年の暮れまでに書いた日記を基に物語が薦められていく。
裕福で、尊敬する兄の影響で芸術や哲学に憧れ、多感で繊細な日々を送る少年の素直さが、青春時代を懐かしく、胸を打つ。爽やかな作品です。

あくまでも日記が基にあるから、そこには日常が書かれているわけだけど、その日常の中にある不変さがすばらしい。

中でも、ハッとした一文を抜粋すると。。。

先生嫌いの主人公が「1人だけもう一度会ってもいいかな?」と思い出す、学校を辞めてしまった先生の別れのひと言


「勉強というものは、いいものだ。−学校を卒業してしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。−日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。−勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。−覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるという事なんだ−心を広く持つということなんだ。つまり、愛するという事を知る事だ。」


今更ながら心に響きました。
きっと、私の父や母、先生、おじさん。。。
所謂、年長者の人たちが何度も何度も、それこそ耳にタコが出来るくらい、私に教えてきた言葉だったから。
それなのに、いちばん色んな事を吸収しなくちゃいけない時は、もう過ぎて。。。
過ぎてしまってから、その大切さが身にしみて気づく。。。
なんとも切ないものです。


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