
キャリアを拓くヒント8: 課題の本質を文章で定義する
堂々巡りの思考を打開するためには、今あなたが何を壁だと感じているのか、なぜそれらが壁なのか、つまり課題の本質を文章に起こして定義するのも有効です。攻めるべき本丸はどこなのか、克服すべき課題の本質を確認するのです。課題の本質をきちんと見極めないと、的外れな解決策しか打ち出せないからです。
イメージが湧きにくいかもしれませんので、筆者の留学時代、先のレトリックの授業での一こまを例に説明します。前述のY教授から、今現在諸君が抱えている問題を文章にせよ、という課題を出されたときに書いた文章とY教授とのやり取りです。できるだけ短く、無駄な情報を削ぎ落とし、本質のみを3センテンスにまとめよ、という指示がありました。
第1稿:
カリキュラムをこなすためには、たくさんの課題図書を読まなければならない。すべての本を読もうとして速読すると、内容の理解が疎かになる。大切な部分だけ拾い読みしようかとも思うが、それで授業についていけるか不安がある。私はどのように課題図書を読めばよいのか。
Y教授いわく:
「君の問題は何かね? 問題はそれ自体が自然に存在するわけじゃないよ。君の問題は君自身のために存在する。いいかい、問題を解決するとは、君自身を変革することなんだ。君はこの文章に、君自身を賭けられるかね?」
修正稿:
じっくり課題図書を読み、内容を理解する時間がない。かといってこれ以上睡眠時間を削っては、健康が保てない。どのようにすれば内容を十分理解しつつ本を速く読めるのか。
自分が抱えている問題をこう定義して、内容を十分理解しつつ本を速く読むこと、つまり速読の質の向上は一朝一夕にはできないことであり、できないことに焦っても仕方がないことに気づきました。
そして、当時の私にできる解決策はタイムマネージメントを厳格に実行すること、具体的には、しなければならない各作業にプライオリティを付け、それぞれの作業に充てる時間を割り振り、その範囲で集中し、できなかった部分は割り切って捨てること、それらを続ける中で、読む力が次第につくはずだと考えました。自分にとっての解決策が決まれば、あとは実行するのみです。