たまの休日に写真機材を抱えて京阪神のいずこかに出没、目指すは紀信かアラーキーか。みずからの愚かさ、未熟さ、時にはクライアントの理不尽さに嘆きつつも、世界を股にかけ写真を撮りまくることを夢想する・・・。
デジタル化の波に否応なく呑み込まれ、もみくちゃにされながらもどっこい生き残りを賭ける赤貧写真家の徒然なるブログである。

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旧国鉄宇品線を行く G [2008年05月31日(土)]
現代史彷徨:廣島行脚 旧国鉄宇品線を行く G 上大河駅〜広島駅 4/9


上大河駅は旧宇品線の中でも最も賑わった駅だろう。
駅の真東、約27万uに及ぶ陸軍兵器補給廠は戦時中、兵器増産のため学生や女性が多数動員された。多いときは昼夜を分かたず、30分おきに走っていたという宇品線を使って大量の武器弾薬がここから宇品港へ、そこからさらに戦場へと送られた。が、戦争末期には輸送船すらも次々に沈められ、武器弾薬はおろか、兵士も食糧も医薬品さえも海中に没した。

戦後は46年6月から10年間は広島県庁、57年10月以降は広島大学医学部(後に薬学部と歯学部も設置)が兵器補給廠跡を利用、最大9000人近い人々が通ったという。が、一時期1日23往復あったダイヤも、並行する広島電鉄宇品線の利便性に太刀打ちできず、乗客数は伸びなかった。66年12月、上大河駅−宇品駅の旅客営業廃止、広島駅−上大河駅は定期券の客のみ、平日4往復(休日2往復)という変則的営業に切り替えた。これは実質、広大医学部関係者以外の利用が皆無になったということだ。それさえも、72年3月までだった。

大学正面前、一車線ずつの車道に、絶え間なく車が行き交う。かつてそこに鉄道が走っていたとは想像がつかない。

宇品線跡は、段原南交差点でいったん途切れる。そこを迂回すると静かな裏通りといった雰囲気になり、未整地状態で再び現れた線路跡を境に東側は宇品線時代からの古い民家、西側はそれを知らない比較的最近の民家や集合住宅が建ち並ぶ。その南端、段原南第5公園、別名宇品線広場には10mほどの線路が敷かれ、歯車のついた車輪、「南段原駅」の駅名表示板といったモニュメントが設置されている(写真上)。


そこから少し先、10m弱の幅だった線路跡が東側に直角三角形状に広がるあたりが、実際に南段原駅のあったところ。菜の花や雑草が繁る中、線路を柱に転用したと思われる土台が数箇所見つかった。他にも数辺のコンクリート礎石も残されていた。雨に濡れた小さな鉄塊が、かつての駅舎か、小さな倉庫といった建物が存在していことを、微かに窺わせている(写真中左)。

うっすらしたと緑の絨毯のような線路跡に、一本の踏みしめたわだちが延びていた。

未整地の線路跡は猿猴川の手前でフェンスに囲まれ、またその東側、段原中学の付近は一面更地となり、造成工事が始まっているようだ。段原地区は市の再開発地域。すでに完了した旧宇品線西側に遅れて、東側の再開発が前進し始めた。今見てきたところもそう遠くない時期に、街並みが一新することになる。

猿猴川を渡ると、すぐに巨大なクレーンが何本も見えてきた。新市民球場の建設現場だ(写真下段上)。手狭で老朽化著しい現球場の建替え問題も、数年に亘ってすったもんだしたが、09年シーズン開幕までに、メジャーリーグ並みのボールパークが生まれるという。それにあたって、約半世紀を経て再び市民からのたる募金を行い、建設資金の一部に充てたことは、カープと地元広島との親密度が偲ばれる。


物流の主役が鉄道からトラックへと移ることによって遊休地となったJR貨物ヤード跡地への新球場建設は、現球場が戦前軍都広島の陸軍西錬兵場跡地に造られたことと同様、ここでも時代の移り変わりを象徴しているように思う。

宇品線跡はこの貨物ヤードの一番西に沿って走り、広島駅0番ホームへと続いていた。約1年後、ここあたりの光景も劇的に変わっていることだろう。


*「旧国鉄宇品線を行く」参考文献
「ヒロシマの被爆建造物は語る−未来への記録」 被爆建造物調査研究会:編 広島平和祈念資料館:発行 1996年
wikipediaほか多数のインターネットサイト
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