たまの休日に写真機材を抱えて京阪神のいずこかに出没、目指すは紀信かアラーキーか。みずからの愚かさ、未熟さ、時にはクライアントの理不尽さに嘆きつつも、世界を股にかけ写真を撮りまくることを夢想する・・・。
デジタル化の波に否応なく呑み込まれ、もみくちゃにされながらもどっこい生き残りを賭ける赤貧写真家の徒然なるブログである。

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全世界沈没 [2007年01月10日(水)]
学生のころ筒井康隆にハマった。ほとんどが文庫本にして数ページのショートショートなので手軽に読め、ひねりと毒の効いた展開が刺激的だった。特にテスト期間中、ちょっと息抜きのつもりで読み始めたら止まらない止まらない。勉強そっちのけで読み耽てしまうこともよくあった。そういえば国語の授業で自ら思う推薦図書を書けという宿題で、『家族八景』だかその続編『七瀬ふたたび』(これらは長編)を書いたっけ。

『日本以外全部沈没』。人を食ったようなタイトルだが、すぐ判るように小松左京原作大ヒットSF小説『日本沈没』をモチーフにした同氏公認のパロディ。どうも読んだ覚えがない。くしくも、その『日本沈没』のリメーク映画と時を同じくしてそれが映画化された。

近未来、日本以外の世界中の陸地がわずか数週間で沈没、何億人もの難民が日本に押し寄せてきて巻き起こる珍騒動をブラックユーモアたっぷりに描かく。今や死後となりつつある「ガイジン」の連発なんてほんの序の口。徹底的にガイジンをコケにし、さらには不良ガイジンは有無を言わさず国外追放(ってどこに追放するんや?!)。逃げおせた外国の首脳が“安泉純二郎”首相に媚びる姿は痛々しい。

氏の作品には戦慄を覚えそうな物が少なくない。それが映像でラジカルに展開されるとシニカルに笑いながらも、一瞬引いてしまう。筒井氏本人も「何か面白い芸を見せろ」と言って、酒場でたむろしている大物ハリウッドスターとおぼしきガイジンをからかうチョイ役で出演しているが、ちと悪ノリだな〜、あれは。

反面、日本以外が沈没したことを分析する地学者田所博士(「日本沈没」で日本沈没を予見した田所博士と同姓なのは寄寓か?)の、S・キューブリック監督『博士の異常な愛情』のDr.ストレンジラブを思い起こさせるマッドサイエンティストぶりは秀逸。

チープなつくりで見事なB級おバカ映画だが、こういうテーマで笑えるのはまだ世の中平和といえよう。でなければかなりヤバイ作品かもしれない。
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