たまの休日に写真機材を抱えて京阪神のいずこかに出没、目指すは紀信かアラーキーか。みずからの愚かさ、未熟さ、時にはクライアントの理不尽さに嘆きつつも、世界を股にかけ写真を撮りまくることを夢想する・・・。
デジタル化の波に否応なく呑み込まれ、もみくちゃにされながらもどっこい生き残りを賭ける赤貧写真家の徒然なるブログである。

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廣島行脚 軍都は今 [2007年05月27日(日)]

広島城周囲は戦時中まで、陸軍第五師団司令部と関連施設が置かれていた。そのひとつ西練兵場の一角(現広島市民球場付近)にあった護国神社は、戦後お城の手前に移ってきた。その神社はちょうどみたま祭の最中、奉納子ども相撲大会が行われていた。目の前には中国軍管区司令所跡、むき出しにさらされたコンクリートの破壊跡が、その凄まじさを今も見せている。
他には日清戦争時の大本営跡、歩兵第11連隊門跡、陸軍幼年学校(軍幹部養成のための、いわば陸軍付属中高校)跡など軍関係のものが、ひっそりと、しかししっかりと残され、かつての軍都を偲ばせている。

そこを離れた。しばらくしてまた、何処からか賑やかな音が聞こえてきた。行ってみると小学校の運動会。そういえば絶好の運動会日和だ。
運動会は私にとっての稼ぎどころ。グラウンドに入って子どもたちと一緒に走りまわって、写真を撮りたい衝動に駆られながらも、しばらく見ていた。
小さな小学校だった。そして幼稚園と保育園とが隣り合っている。高層集合住宅が立ち並ぶこの一帯が「原爆スラム」と呼ばれていたことは、数日後知った。その戦慄的な言葉の響きにショックを覚えるとともに、両者があまりにも対照的であるがゆえに、かえって街の変遷が露骨に浮かんできた。

原爆で傷つき、家を焼かれた人たちが、広大な敷地だった陸軍用地跡に流れ込んだことは想像に難くない。そして貧困の象徴たるスラム街の一掃と、近代都市として再び膨張し始めた広島の都市政策はまさに表裏一体の課題だった。

そういえば子どもの頃見たTVアニメ『タイガーマスク』に、こんな物語があった。タイガーマスクこと伊達直人が広島巡業の際、原爆ドームの模型を持った男性に出会い、どうしてもそれを譲って欲しいと言ったが、被爆者としての思いがあるので譲る気はないと断られる。その老人のいたのが狭くて、小さくごちゃごちゃした家並みだったようなおぼろげな記憶が蘇ってきた。ひょっとするとそこは「原爆スラム」だったかもしれない(違ってたらゴメン)。


子どもたちの歓声と躍動的な音楽が鳴り響いていたその街に、いまやスラムの面影はかけらもない。そしてスラムの住民たちも吸収したその高層住宅街も、高齢化が進んでいるという。
ちょっと異様に見えた1階部分の商店が軒並み閉まっていたのは、たんに日曜日だったからという理由だけではなさそうだ。

大阪行バスに乗るため、広島バスセンターに行くと、また賑やかな雰囲気。
近くで見てもちょっと大きな市民会館くらいにしか見えない(?)、かつて護国神社のあった広島市民球場で、セパ交流戦、対西武戦が始まるところだった。この市民球場も老朽化で新球場建設問題がいったりきたりした後、ようやく本決まりとなった。
このあたりの街並みも数年後には様変わりするんだろうな。

爆心地にもっとも近い被爆樹木(約370m)。広島球場すぐ近く
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