たまの休日に写真機材を抱えて京阪神のいずこかに出没、目指すは紀信かアラーキーか。みずからの愚かさ、未熟さ、時にはクライアントの理不尽さに嘆きつつも、世界を股にかけ写真を撮りまくることを夢想する・・・。
デジタル化の波に否応なく呑み込まれ、もみくちゃにされながらもどっこい生き残りを賭ける赤貧写真家の徒然なるブログである。

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悠遊国記 ここまで来て… [2007年04月04日(水)]
撮影行脚3日目、今日、明日は北九州市を巡ろう。

この時期の旅行はちょっと服装に迷う。寒暖の差が大きいからだ。冬の服装はかさばり、春の装いでは寒いこともある。しかし九州まで来て、もうコートはもう要らないだろうと、荷物と共にコインロッカーにしまいこんだのが、裏目に出た。この日は真冬並みの寒波が襲来、強烈な風が寒さを倍増させた(東京では雪が降ったんだって?!)。

そんななか、北九州市若松区の埋立地響灘にある、通称軍艦防波堤に向かおうとしていた。ここは戦後、3隻の旧海軍艦艇が、港湾整備のために文字通り防波堤として敷設された場所。いまは護岸工事などで埋め立てられ、1隻だけがむき出しにされている。釣のスポットしても有名らしい。

右) 八幡製鐵所東田第一高炉。20世紀幕開けの
1901年建設、改修をしながら72年まで操業

下) 東田第一高炉の熱風炉。まるで大洋を眼下に
見る宇宙ステーションのモジュールのよう 

とはいっても観光地ではないので、事前に調べてみてもその行き方が判りにくい。結局バス、船、バス、タクシーを乗り継いでいかないと行けない辺鄙なところだった。市営バス若松営業所で下車、団地や学校が並ぶ静かなところで、こんなところでタクシーを捕まえられるんかいな、と思いながら10数分ほど、ようやくタクシーを見つけた。

「軍艦防波堤へ行きたいんですけど…」
マニアックな箇所だけに、運ちゃんが知らなければどう説明しようかなと、不安に駆られたが、それは杞憂だった。いやそれ以上の答えが返ってきた。
「軍艦防波堤は今、向かいの戸畑とつなぐ大規模なトンネル工事中で、大きな柵がしてあって中には誰も入れませんよ。その柵の前に軍艦防波堤がこの先にあるという標識がありますが、それを見るので良ければ行きますけど、撮影目的で行かれるなら、無駄足かもしれませんね」
カメラをぶら下げていた私の目的を察し、運ちゃんは淀みなくそう言った。恐らく何度も同じような目的の客に出くわしているんだろう。

そういえばネットで調べていると、「軍艦防波堤は現在工事中で、立入禁止です」と出ていたが、昨年2月時点の情報だったので、1年以上たった今、もう工事は終わっているだろう、という甘い判断をしていた。また、バス案内所で、軍艦防波堤への行き方を尋ねたが、誰も工事のことは言わなかったし、いちいちそんなことを知るはずもなかろう。

ここまで来たんだから標識だけでも撮るのか、ここまで来て標識しか撮れないのか、一瞬迷ったが、撮ったところで不満感は残るので、断念した。

その後、またバスを乗り継いで日本近代重工業の発祥地、官営八幡製鐵所、現新日鉄八幡製鉄所に向かう。

一帯は合理化や再編などで跡地にスペースワールドができているほか、役割を終えた同製鐵所東田第一高炉が当時の威容そのまま保存され、それらを含めると途方もない広大な敷地だったと伺える。

1945年8月8日深夜、ここ八幡製鐵所は空襲に見舞われた。翌朝になっても残った猛煙は東へ流され、テニアンから2個目の原爆を積み、隣の小倉市(当時)を目指して飛来したB-29ボックスカー号の視界をさえぎり、攻撃目標は第二の長崎へと切り替えられた。

このあたりも現代史の宝庫だ。

左) 涎を垂らした土偶? 製鐵所高炉を覆っていた鉄皮だとか 右) 門司港駅から数分のバナナの叩き売り発祥地の碑
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