たまの休日に写真機材を抱えて京阪神のいずこかに出没、目指すは紀信かアラーキーか。みずからの愚かさ、未熟さ、時にはクライアントの理不尽さに嘆きつつも、世界を股にかけ写真を撮りまくることを夢想する・・・。
デジタル化の波に否応なく呑み込まれ、もみくちゃにされながらもどっこい生き残りを賭ける赤貧写真家の徒然なるブログである。

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悠遊国記 城崎にて [2007年04月02日(月)]
今日からしばらく西日本各地を撮影行脚。

福知山線経由山陰線で城崎に降り立つ。ここには2年前の冬にも来た。その時は一面雪化粧で、真白い雪と、湯元から湧くこれも白い湯けむりとの対比が、温泉街らしい風情を醸し出していた。
今回は一面桜化粧、まさに春爛漫、陽気だっていた。

城崎は江戸時代の頃から、いろんな文人とゆかりのあるところでもあり、静養に来ていた志賀直哉の『城の崎にて』が有名なのは、しかし国語の教科書で習って以来のこと。気取って城崎文芸館なるものを見学、その志賀直哉が属した白樺派という名称を、これまた学生時代以来久しぶりに聞いて、イッタイゼンタイそれを読んでみても、シラカバ派なのかクロカバ派なのか見当もつかない自分がそこにいる奇妙さを感じた。

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山あいを縫うようにして走る鉄路は、見下ろす海岸とトンネルの連続だった。そしてあるトンネルを抜けると長い鉄橋に差し掛かり、目もくらむ高さからの光景に息を呑む。

「餘部鉄橋」。1986年年末、日本海からの強風に煽られた鉄橋通過中の回送列車落下事故は、私にその存在を強烈に印象づけた。

餘部駅は崖っぷちにある無人駅で、狭い坂道をひーこらいって登らないといけない。乗り遅れそうだ、と走っていけるようなものではない。そんな無人駅だが、明治時代に作られた鉄橋の独特の景観が鉄道マニアを中心に人気を呼び、そしてその鉄橋が老朽化に伴い架替え工事に入るため、今が見納めと団体ツアー客がどっと下車する、ちょっと不思議な光景が展開される。

駅から少し高いところある鉄橋の景観ポイントが、わざわざ案内表示されており、多いときはカメラを構える人でぎゅうぎゅう詰めになるというだけあって、「譲りあって撮影してください」という注意書きも。

それはまるで立体万華鏡のよう


列車は鉄橋の上をゴトゴトとゆっくりと走る


昨年の春か秋ごろ工事開始と聞いていたが、それはまだのよう。当初コンクリート製橋脚にする案が、どうも観光資源としての鉄橋の景観を損ねるということで、すったもんだしているようだ。
鉄橋を見てみると、規則正しく組まれた鉄骨が幾何学的文様を描いているが、一本一本の鉄骨は今の基準からすると細く、繊細さを感じる。それが荒々しい日本海との対比を生み、絶妙な景観を作り出しているのだろう。事故が忘れられたわけではないが、事故を呼んだ日本海が、観光客を呼ぶ。不思議な因果である。

暗くなりだした頃、餘部を離れ、あとはひたすら山陰線を西へと進み、出雲にたどりつく。列車の接続がうまくいき、予定より1時間ほど早くついた。

餘部の少し手前、香住駅にあった2メートルはある巨大カニの爪
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