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日曜ドラマ、細部をはしょってかなり巻きで進行中ですが、私もチェンマイのトリートメントのあいまに巻で上中下読み終わりました。
ドラマにはそこまでねちっこい描写が出てこないんですが、山崎豊子さんが書きあらわしているこの一族、ものすごい一族なんですよ。1970年代という時代なのに、
「マドモアゼル コマン トゥルヴェ ヴ ラ スープ ドジュルデュイ(いかがです。今日のスープの味は)?」
「セ エクセラン ムッシュ サ ム フェ ラプレ パリ(美味しいです、ムッシュ、パリを思わせるお味ですわ)、まあ、いやだわ・・、お父さま、今は日本のお正月ですのよ」
末席に座っている末娘の三子が、淡いピンクのカクテルドレスの棟を若々しくふくらませ、関西なまりの標準語で甘ったれるように云った。万俵家では、一族が揃った晩餐の席では、今夜はフランス語、明晩は英語の会話でというのが、一種の習慣のようになっていた。
・・・・・わけですから。お父さまおやめになって、フランス語でスープの味を聞いたりなさっちゃイケズすぎますーってかんじ。
華族から万俵家に嫁いできたお母様は藍大島のお着物にゲランの香水ざますの。そして温室で「皇太子様ご夫妻がハワイへご訪問になった時 美智子妃殿下がお好み遊ばしたというのにちなんでクラウン プリンセスミチコと名付けられた」カトレアを育てているんですの。
それでもって愛人の相子さん愛用の香りはジャンパトゥのJOYなんです。さすがです。ゲラン家というフランスの華麗なる一族の持ち物であった(現在はLVMH)ゲランの香りに、最も高級といわれていた甘く妖艶な香りJOY。本妻も愛人ともにこうして身につける香りでも暗黙のうちに戦っているわけです。
アクセサリーはさすがにコンサバにパールのご様子で娘たちは
「それよりお父さま、今度のお年玉は南洋真珠を買って下さいな。ロビーのショーウィンドーですばらしい珠を見つけましたのよ」
「私は指輪、店員さんにもう押さえてもらっているから。お父さま、お覚悟のほどを」
なんちゃって、パパ会計でちゃっかり南洋真珠(ブラックなのかバロックなのか?)を手に入れるお嬢たち。服に関してはあまり描写はありませんがバッグはやはりエルメスらしい。趣味がよろしおます。
TVのストーリーは先回の段階で激しくはしょるあまり原作の込み入った政治家と銀行家と大蔵省とのかけひきのあやが見えなくなってしまっています。原作を読むだけでドラマをはるかに越える超大作映画級の画像が目に浮かびますので、原作をお読みになることをお薦めします。ドラマはキムタクの鉄平さんが主役扱いですが、原作は大介という父親を中心とした銀行の生き残りをかけた死闘と、日本のアンシャンレジームともいうべき昭和のお金持ち一家が近代化の波に押し流され彼らもまた新しい時代にめざめて自分なりの家を離れた生き方を模索する・・・という旧家の変わり目を描いているように思いますね。
つまりそのぶん壮大なスケールなわけで。隠れた主役は70年代という時代そのもの。そして悪いヤツほどよく眠る。悪の上には上がいるという事実を気が遠くなる取材を積み上げてパズルのように全体像を見せてくれる構成になっています。
70年代の話だけどついこの間行われた銀行再編時にも同じような取引や駆け引きが各銀行間でおこなわれたのだろうなぁと。ビックリするような禅問答のうちに政治家との間で手打ちが行われていくのです。さっしが悪いと悪人もつとまりませんね。
ただいま上中下巻とも文庫ベストセラー10位以内にランキング中。私は長年の課題だった「沈まぬ太陽」に進むことにして5巻買いそろえて参りました。でもチェンマイでは「プラダを着た悪魔」の作者の第二作も読んできましたので次回はその話を。
*華麗なる一族は新潮文庫で上中下
文庫の初版は昭和55(1980)年
先日買ったものは、平成18年12月5日発行の46刷版でした
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