真似っ子B2008-01-08 19:18:08
|
僕は目の前の女の子に、行かなきゃと言い捨てると、親父の後を追うために走った。まだ夜は始まったばかりなのに、下戸のはずの親父の顔は真っ赤で、なぜか千鳥足だった。靖国通りを渡り、歌舞伎町と呼ばれる街へ向かっていた。僕は一人ヨタヨタ歩いている親父の後ろに少し距離をおいていた。どこへ行くんだよ、なんで酒を飲んでそんなに飲んで、駅とは家とは反対方向だろ。心で呟きながら、親父の背中に問いかけた。
親父が突然路地に入ってしまい、慌てて小走りに追うと、路地を曲がって直ぐの場所で、親父がオエーオエーと嘔吐していた。僕はその場で立ち尽くし、親父の情けない姿を呆然と見ていた。通り行く人々は、汚ねぇなとか、こんなとこで吐くなよとかの暴言を親父に浴びせていたが、聞こえていないのか、親父は反応していなかった。ただ、苦しそうに唸っていた。
息子なら駆け寄って介抱してあげるべきだったのかもしれない。だが、僕は情けない気持ちになり、大人って最低だなと思い、少し遠くから見続けた。その屈んだ背中に向けて無言の非難の目を向けていた。それまでに路上で嘔吐する大人は見掛けたこともある。その度に、いい大人が吐くまで飲むなよと、軽蔑していた。
今は、自分の親父が酔っ払い嘔吐オヤジになり、他人から軽蔑されている。悔しい気持ちで胸が苦しくなった。仕事ばかりしてるはずの親父が、どこかの汚い親父に見えた。
僕は、とうとう座り込んで丸く小さくなった親父を見つめると、はぁと溜め息をつくと、踵を返してその場を離れた。新宿駅までの道のりは果てしなく長く遠く感じ、頭の中はたくさんの「なぜ?」で埋まっていた。途中の客引にも気付かないほど、飲めない酒を飲み路上で嘔吐した親父を理解できない自分がいた。駅が見えると胃がムカムカし始め、電車に乗る前に途中のトイレで吐いた。親父と同じ行動をした自分に腹が立った。
それから先の事は今でも覚えていない。夜中に親父が帰ってきた物音がして、それから…気が付いたら朝だった。
続く…
親父が突然路地に入ってしまい、慌てて小走りに追うと、路地を曲がって直ぐの場所で、親父がオエーオエーと嘔吐していた。僕はその場で立ち尽くし、親父の情けない姿を呆然と見ていた。通り行く人々は、汚ねぇなとか、こんなとこで吐くなよとかの暴言を親父に浴びせていたが、聞こえていないのか、親父は反応していなかった。ただ、苦しそうに唸っていた。
息子なら駆け寄って介抱してあげるべきだったのかもしれない。だが、僕は情けない気持ちになり、大人って最低だなと思い、少し遠くから見続けた。その屈んだ背中に向けて無言の非難の目を向けていた。それまでに路上で嘔吐する大人は見掛けたこともある。その度に、いい大人が吐くまで飲むなよと、軽蔑していた。
今は、自分の親父が酔っ払い嘔吐オヤジになり、他人から軽蔑されている。悔しい気持ちで胸が苦しくなった。仕事ばかりしてるはずの親父が、どこかの汚い親父に見えた。
僕は、とうとう座り込んで丸く小さくなった親父を見つめると、はぁと溜め息をつくと、踵を返してその場を離れた。新宿駅までの道のりは果てしなく長く遠く感じ、頭の中はたくさんの「なぜ?」で埋まっていた。途中の客引にも気付かないほど、飲めない酒を飲み路上で嘔吐した親父を理解できない自分がいた。駅が見えると胃がムカムカし始め、電車に乗る前に途中のトイレで吐いた。親父と同じ行動をした自分に腹が立った。
それから先の事は今でも覚えていない。夜中に親父が帰ってきた物音がして、それから…気が付いたら朝だった。
続く…
Posted at 19:18
| この記事の詳細


