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bP7 入園したら、大魔人

2008-07-24 17:32:34
 医療施設の玄関先に車はついた。忠のほかにも入所するらしく、車を降りる障がい児が見られた。
 福祉事務所の人間が大きな玄関のドアを開けた。今子に抱かれ忠は、施設内に入った。すぐに玄関の横にある、診察室の待合い室に案内された。忠は今子に抱かれたままだった。
 その時、スブ太い声で「いつまで、甘えてんの、あんたはこれに座って」と言うが早いか、忠は声の主に抱き上げられ車いすに乗せられた。(車すい初体験である。)
突然のことに理解する間もないまま声の主を見ると、身長が高く、がっしりとした体格のおばさん看護師が忠を見下ろしていた。まるで当時のあるテレビキャラ、大魔神のようだった。
 
ちなみに、この番組はよく好んで見ており、魔人が悪人を投げ飛ばし、踏みつけて退治するシーンがたまらなく好きだった。
 話を本文に戻して、

 しばらくして、忠は診察室に呼ばれた。診察室を入ると、正面に大きな窓があった。その窓からはお昼の日差しが差し込んでいた。その直ぐ横に医師の机と椅子があり、そのイスに白衣を着た医師が座っていた。
 忠は看護師に連れられ医師の横に行った。医師が忠の方に向いた。見覚えがある顔だった。そう、巡回検診で見た顔。
 医師が車椅子の忠を自分に引き寄せた。
「足、診るからねぇ」
 医師の手が忠の膝に来た。曲がり具合と伸び具合を診ていた。少しくつぐたく思えた。しばらくして、
「よし、いいだろう」
 と医師。 
「部屋に連れて行きます」
 大魔人看護師が診察室の外に忠を連れ出した。
「じゃ、部屋に案内するからここで待っていて」
 そう言って、大魔人看護師は診察室へ入って行った。
 忠は母と待っていた。
「忠くんだね」
青の上っ張りを着た女の職員が忠の顔をのぞき込んだ。
「お部屋に案内するからねぇ」
その職員が車椅子を押しはじめた。今子も後をついてきた。車いすを押されながら、廊下の先を見て、(長い廊下だな)と思った。
間もなくして、左側に幾つも部屋が並ぶようになった。部屋が並ぶ真ん中あたりで、部屋から何人かの声が忠の耳に入った。声の元の部屋の中を見ると、三人の子供か大人か分からない女の人たちが足にギブスをはめベッドにいた。
「おっ、可愛いやつじゃん、あとでお姉さんたちと遊ぼう」
 と言い、笑っていた。
 忠は不思議に思った。
「からかうんじゃない、あんたたちはー。あんなお姉さんたちは、無視、無視」
職員が車いすを押しながら話していた。そして職員の足の歩みは、長い廊下の突き当りの部屋で止まった。
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